3月百貨店統計|主力春物衣料不振で▲0.9%と、13カ月連続マイナス

日本百貨店協会が3月の百貨店売上高概況を発表した。調査対象店舗は80社231店。前月より1社3店減少。

売上高は5195億円。既存店の前年同月比は▲0.9%。13カ月連続でマイナスとなった。

顧客別に見ると、シェア3.8%のインバウンド売上げは、花見目的の訪日ツアーの増加により、24.6%と驚くほどの伸長。一方、96.2%を占める国内市場は▲1.6%と、8カ月連続でマイナスとなった。しかし前月よりはわずかながら0.6ポイントの改善。

主要10都市は対前年同月比0.2%。2015年2月以来、13カ月ぶりに全体ではプラスとなった。
その中でプラスとなったのは、大阪3.4%、札幌1.5%、名古屋1.4%、仙台1.0%の4都市。
一方マイナスは6都市で、京都▲3.9%、神戸▲2.3%、横浜▲1.2%、広島▲1.2%、福岡▲1.0%、東京▲0.2%。

10都市以外の地域は、▲3.1%と、残念ながら17カ月連続でマイナス。
すべての地域でマイナス。北海道▲11.1%、近畿▲7.0%、東北▲6.9%、中部▲4.5%、中国▲3.0%、九州▲2.7%、関東▲1.5%、四国▲1.2%。その中でも関東は22カ月連続でマイナス。都市圏以外の地方百貨店は、高額消費やインバウンドの貢献が小さく苦戦が続く。

主要5品目の3月の動向は以下のとおり。

主力の衣料品は、1691億8137万円、▲4.6%で、17カ月連続マイナス。春物衣料が伸び悩み、婦人服▲5.6%を始め全カテゴリーでマイナス消費となった。

身のまわり品は、665億8459万円、▲1.5%。8カ月連続マイナス。

雑貨は、941億8840万円、4.5%増と、4カ月連続プラス。とくに化粧品は11.7%の二桁増で、24カ月連続で好調を維持。一方、美術・宝飾・貴金属の高額品は▲0.6%、13カ月連続のマイナスとなった。

家庭用品は、247億3565万円の▲4.6%、15カ月連続減。とくに家電は▲29.4%と大幅に落ち込んだ。

食料品は、1318億8894万円で▲0.1%、13カ月連続マイナス。生鮮食品は▲3.6%で、36カ月連続、つまり3年間マイナス基調。その中で、バレンタイン商戦の2月でさえマイナスだった菓子が2.2%プラスとなった。ホワイトデー商戦が牽引したと協会はみているが、花見効果があったのではないか。

2回目を迎えた3月24日のプレミアムフライデーは天候に恵まれず、効果は薄かった。

大手百貨店グループの3月の業績は下記のとおり(%はすべて対前年同月比)。

㈱三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業(三越伊勢丹計+国内グループ百貨店計)1.3%。
三越伊勢丹合計は3.2%。
気温の低下により、春物衣料の売上げは伸び悩んだが、リビングや婦人雑貨などが好調に推移。また3月20日に営業終了した三越千葉店の「ご愛顧感謝セール」が売上げに大きく貢献し。インバウンドは、客単価はマイナスだったが、客数が二桁増だったこともあり、売上高を確保した。

J.フロント リテイリング㈱  ▲1.4%
インバウンド需要により、化粧品やラグジュアリーブランドは好調。またホワイトデー効果で菓子も売上げを伸ばしたが、気温低下の影響で春物衣料が苦戦。全体ではマイナスとなった。

㈱髙島屋および国内百貨店子会社17店舗 2.8%
円安や株高の影響により免税や高額品が好調に推移。また、3月15日~21日に実施した「春の全館スーパーポイントウィーク」企画が貢献した。インバウンドは消耗品・一般品ともに前年を上回り、50.8%増と大幅な伸びとなった。

エイチ・ツー・オー リテイリング㈱  百貨店は0.8%
阪急阪神百貨店の数字は、衣料品(▲5.3%)以外はプラスとなり、雑貨が8.6%、食料品が3.2%と伸び、好調に推移した。

好調だった都市部に比べ、地方の店舗が苦戦したことにより、協会の結果は13カ月連続でマイナスとなった。都市圏に出店する三越伊勢丹ホールディングス、髙島屋、エイチ・ツー・オー リテイリング3社が好調だったことからも、その傾向がわかる。

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