9月百貨店統計|売上高4.4%増/秋冬物動き衣料品23カ月ぶりにプラス

9月の百貨店売上高概況が日本百貨店協会より発表された。調査対象店舗は80社226店。売上高は4351億6199万円、前年同月比4.4増と、2カ月連続で前年同月を上回った。また1月~9月の累計も0.2%増となり、8月までのマイナスからプラスに転じた。

好調要因の一つは、気温低下による秋冬物需要の伸び。衣料品が2.2%増と23カ月ぶりにプラスとなった。また円安株高を背景に、富裕層やインバウンド需要で高額商品が好調だった。シェア5.3%のインバウンドは、売上高232億円で過去最高を記録し、86.4%増。客数53.4%と客単価21.6%とともに大きく伸長した。さらに94.7%を占める国内顧客も1.9%増と、国内外ともにプラスとなった。

地区別に見ると、主要10都市の対前年同月比は6.8%と2カ月連続でプラス。
大阪13.9%、名古屋13.8%、京都7.3%、福岡5.8%、東京4.6%、横浜4.0%、仙台3.8%、札幌3.7%の8都市がプラス。どの都市も伸び率は高く、とくに大阪と名古屋は二桁増と好調だった。一方マイナスは2都市で広島▲2.7%、神戸▲1.8%。

10都市以外の地域は▲0.8%で5カ月連続減少。
プラスだったのは、四国1.6%、中国1.5%、関東1.3%の3地域。
近畿▲8.2%、北海道▲6.2%、東北▲3.7%、中部▲1.8%、九州▲0.6%の5地域は昨年を下回った。

大都市と地方都市で明暗が分かれたが、地方都市の減少率は小さくなっている。

主要5品目の9月の動向を見ると、雑貨、身の回り品に加え、衣料品が23カ月ぶりにプラスとなった。
[雑貨] 882億4622万円、16.4%と二桁増で10カ月連続プラス。化粧品は28.5%増と30%に迫る勢いで30カ月連続で好調。美術・宝飾・貴金属も11.1%と二桁増、6カ月連続で増収となった。
[身の回り品] 592億5359万円、4.4%で2カ月連続のブラス。
[衣料品]1344億4539万円2.4%増、23カぶりでプラスに転じた。紳士服7.3%、子ども服3.1%、婦人服1.5%と前年を上回り、とくに紳士服は大幅な伸びとなった。その他衣料だけは▲2.4%と減収。

一方、2項目はマイナスとなった。
[家庭用品]190億1571万円、▲3.1%で21カ月連続前年割れ。家具は1.1%増だったが、家電は▲12.2%と二桁減だった。
[食料品]1068億2514万円、▲0.6%で4カ月連続マイナス。惣菜だけは0.6%増と2カ月連続で増収となった。しかし、生鮮食品は▲2.3%と42カ月不調が続き、菓子も▲0.4%と2カ月ぶりに伸び悩み。

大手百貨店グループの9月の業績は下記の通り(%はすべて対前年同月比)。

(株)三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業(三越伊勢丹合計+国内グループ百貨店合計)+3.0%。
三越伊勢丹合計は+3.2%。
気温低下により、全国的にアウター商品を中心に秋物商品が売上げを伸ばした。基幹3店(伊勢丹新宿店、三越日本橋本店、三越銀座店)では、化粧品・宝飾時計・ラグジュアリーブランドなどが好調で、客単価を押し上げた。インバウンド売上げも好調に推移した。

J.フロント リテイリング(株)  百貨店事業 +6.3%
秋物婦人紳士衣料、美術宝飾品が大きく売上げを伸ばした。それに加えて、化粧品、ラグジュアリーブランドも好調を維持。百貨店事業は6カ月連続で前年を上回り、大丸松坂屋のインバウンド売上高は112%増、客数67%増、客単価26%増と大幅な伸びとなった。

(株)髙島屋 +8.7%
髙島屋および国内百貨店子会社 +8.3%
ジャケットやセーターなどの秋物衣料に動きが見られたほか、高額品、免税品も好調。免税売上げは62.5%増と大幅に伸長した。また「スーパーポイントウィ―ク」などの販促も成功した。

エイチ・ツー・オー リテイリング(株)  百貨店は+7.4%
阪急阪神百貨店の実績は、雑貨は22.4%、家庭用品11.0%と二桁増。身の回り品は9.1%、衣料品も6.1%と好調に推移したが、食料品だけが▲1.6%と前年に届かなかった。

9月は秋冬物衣料、インバウンド需要で大手百貨店4社は揃って好調だった。

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