12月訪日外客数統計|2017年は2869万人/前年比19.3%増と過去最多
日本政府観光局(JNTO)から12月の訪日外客数と2017年の年間総括が発表された。
[12月の訪日外客数]
252万1000人で23.0%増。12月として過去最高だった2016年の205万1000人を47万人以上も上回った。韓国・シンガポール・マレーシア・インドネシアが単月としては過去最高、その他の16カ国も12月として過去最高を記録した。
[2017年年間総括]
年間の訪日外国人数は2869万1000人で前年比19.3%増。1964年に調査を開始して以来最多の訪日数となった。主要20カ国すべてで過去最高の人数を記録した。とくに韓国と中国は700万人台に達した。またこの2カ国に台湾と香港を加えた東アジアは、2129万2000人で前年比21.9%。これは、訪日外国人客数の70%以上を占める。
2017年の主要国の訪日状況を見てみよう。
[東アジア]
中国は735万5800人。12カ月すべてで過去最高を記録した。5月のビザ緩和措置に伴い個人旅行が増えたことやキャンペーン効果もあり、年間を通して毎月50万人以上が日本を訪れた。とくにハイシーズンの8月は始めて80万人を突破した。
韓国は714万0200人。毎月40〜60万人台と安定した訪日数で、12月は67万8900人と単月として過去最高の人数を記録した。「私らしくもっと、日本でもっと」をコンセプトとした映像制作での訪日アピール、また地方への誘客にも力を入れたことが訪日意欲を喚起した。
台湾は456万4100人。2月以外のすべての月で過去最高を記録。夏の需要を見込んで運行されたクルーズ船やチャーター便運航により7月は過去最高の44万6604人となった。
香港は223万1500人。イースター休暇のあった4月は単月で初めて20万人を突破し、前年同月64.6%増と驚異の伸び。リピーター率の高い香港からの訪日客に対しては、北海道・東北・中部・中国・四国など地方をアピールする取り組みをした結果、小松や仙台などのチャーター便の就航や増便が相次ぎ、7月は単月として過去最高となった。
[東南アジア]
タイは98万7100人。7月を除くすべての月で過去最高を更新。タイ正月のソンクラーン休暇があった4月は単月として過去最高。リピーターが増加傾向にあり、目的地の多様化が進んでいる。地方への誘客を意識した取り組みが功を奏している。
マレーシアは43万9500人と、初めて年計で40万人を超えた。航空会社各社が実施したセールスプロモーションや旅行博への出展、共同広告の実施に効果があった。また地方への旅行会社招請や、日本の四季の魅力をウェブサイトやSNSで発信した効果もあった。3月にはJNTO事務所をクアラルンプールに開設している。
フィリピンは42万4200人と、こちらも初めて40万人を超えた。イースター休暇がずれ込んだ3月以外は、すべての月で過去最高を更新している。逆にイースター休暇となった4月は単月として過去最高を記録した。また、7月には札幌を舞台にしたフィリピン映画「Kita Kita」が公開され、現地で大ヒットを記録。これを受けて9月末にメディアを撮影地に招請した。JNTOではマニラに事務所を設置予定。
シンガポールは40万4100人。上半期シンガポール経済が厳しかったことで外国旅行需要が停滞したが、プロモーション効果などにより年間を通じて堅調に推移した。10月以降は、「シルクエア」が広島線、「Jetstar」の那覇線、「Scoot」の関西線など、地方空港への直行便就航が訪日数増加につながった。
インドネシアは35万2200人。初めて年計で30万人を超えた。レバラン(断食明け大祭)休暇の時期が動いたことで影響を受けた7月を除き、前年同月比2桁以上の伸びとなった。
ベトナムは30万8900人。初めて年計で30万人を超えた。すべての月で過去最高の訪日数を更新した。団体旅行の割合が比較的高く、2月にはJNTO事務所をハノイに開設し、さらなる訪日旅行プロモーションの強化に向けて取り組んでいる。
インドは13万4400人。4~6月の学校休暇時期に向けたプロモーション、有名人起用によるメディア掲載、旅行博への出展などが訪日増加に貢献した。9月に安倍首相が訪印したことで日本への注目度が高まった。3月にJNTO事務所をデリーに開設した。12月にはインド国内の学生らに対して個人観光一次査証の申請手続きが簡素化されている。
[豪州、北米]
米国は137万5000人。月次で10万人の訪日者数を維持した。9月に、ニューヨークで開催された国連総会に合わせて「日本の地方と食」をテーマにレセプションを開催。こうした取り組みが日本への認知・関心を高めている。
オーストラリアは49万5100人。イースター休暇のあった4月の訪日者数は前年同月比40%を超える高い伸びを示した。2016年冬にカンタス航空が新規路線を就航したこと、さらに7月に人気の料理番組で日本特集が1週間放映されたことが好影響をもたらした。
カナダは30万5600人。初めて年計で30万人を超えた。2017年はカナダ建国150周年に当たり、国内施設の無料開放などで国内旅行志向が高まったものの、訪日者数は増え、イースター休暇のあった4月は、前年同月比48.6%増となった。
[欧州]
イギリスは31万0500人。初めて年計で30万人を超えた。継続的な訪日旅行プロモーションが訪日者数の伸びを後押しした。
フランスは26万8500人。テロ事件による非常事態宣言の延長、仏大統領選挙決戦投票や国民議会選挙などが消費者心理に影響を及ぼしたものの、広告やメディアの露出、継続的訪日旅行プロモーションの効果から年間訪日数は過去最高となった。
ドイツは19万5600人。経済の好調が消費意欲を喚起するなか、航空座席供給量の減少や、前年3000人規模のクルーズ船が寄港したことの反動により、10月は前年を下回った。しかし、年間では過去最高を更新した。
イタリアは12万5800人。イタリア経済の停滞や航空座席供給量の減少などで8月はマイナスだったが、プロモーションの効果もあり、年間では過去最高となった。3月にJNTO事務所をローマに開設している。
スペインは9万9900人。2016年10月に約18年ぶりに直行便が就航し、年間を通して堅調に推移した。3月にJNTO事務所がマドリードに開設されている。
ロシアは7万7200人。ロシアの極東地域発の新規就航および増便が実現し、航空運賃が値下がりした。さらに、ビザ発給要件緩和もあり、追い風となった。桜鑑賞を主としたツアーにより4月は前年同月比66.6%増の伸びとなった。
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