アマゾンnews|不動産仲介会社「リアロジー」と提携し不動産事業展開

アマゾン・コム(ワシントン州シアトル市、ジェフ・ベゾスCEO)は、7月23日、米国最大手の不動産仲介会社「リアロジー・ホールディングス(Realogy Holdings)」と提携し、「ターンキー(TurnKey)」という不動産事業を展開することを発表した。

米国の個人住宅の不動産市場は33兆ドルを超えていると推定されている。テクノロジー会社にとっては魅力的だが、市場が細かく分かれていて取り引きが複雑なため、総合的なオンラインサイトはない。また、高額な取引では不動産エージェントと顧客の個人的な信頼関係が重視されるという事情もある。

グーグル(Google)も、フェイスブック(Facebook)も、直接不動産事業は行っていない。だが、グーグルは不動産仲介会社から多額のSEM(Search Engine Marketing:検索エンジンマーケティング)費用を得ている。不動産仲介会社の収益源は主に仲介手数料なので、グーグルも間接的に不動産仲介市場から売上げを得ていると言える。フェイスブックも不動産広告を掲載して広告収入を得ているという点ではグーグルと同様だ。

リアロジーHDは「センチュリー21」「コールドウェル・バンカー」「サザビー・インターナショナル・リアルティ」などを傘下に持つ不動産斡旋会社で、全米各地に約30万人のエージェントを抱えている。

ターンキーはこの仲介エージェントを紹介するマーケットプレイスである。ターンキーと同業種の最大手「ホームライト(HomeLight)」でもネットワーク化しているエージェントは約12万人だ。アマゾンはリアロジーHDとの提携で30万人のエージェントを一気に確保できる。

「ターンキー」は以下のような仕組みになっている。
⑴住宅の購入希望者はまず、アマゾン・ドット・コムのターンキーのサイトにアクセスする。そして氏名、電話番号、メールアドレス、住宅購入を希望する都市名を入力する。

⑵数分後、ターンキーからメールで返信があり、その後、電話で連絡を取る。ターンキーは購入希望者が住宅を探している地域の不動産エージェントを選び、両者をマッチングする。そこから先はエージェントが引き継いで住宅探しを開始する。

顧客がエージェントを通じて実際に住宅を購入すると、アマゾンはスマートホーム製品や掃除サービスなどアマゾンの商品やサービスを最大で5000ドル分プレゼントする。

アマゾンはスマート機器一式とそのセットアップを無料でサービスするわけだが、顧客がその家に住む限りアマゾンのスマートホームによってLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)を獲得できるという仕組みだ。LTVは、自社の商品やサービスに対してロイヤルティの高い顧客になってもらえれば、長期にわたってのリピート購入が期待できることを意味する。アマゾンはそれを狙っている。

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