米マクドナルド世界で健康メニュー提供へ

脂肪分、塩分、糖分。

マクドナルドは自社のメニューにつきもののこうしたイメージを払拭するために、今後、健康的なメニューの提供に注力すると発表した。

 

26日のニューヨーク。

クリントン・グローバル・イニシアチブ(CGI)の年次総会の会場に、元大統領でクリントン財団会長のビル・クリントン氏、Alliance for Healthier Generationの最高責任者であるハウエル・ウェシュラー博士とともに、アメリカ・マクドナルド本社のCEOドン・トンプソン氏の姿があった。

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左からドン・トンプソン米マクドナルドCEO、ビル・クリントン元大統領、ハウエル・ウェシュラー博士。

 

この席上でトンプソンCEOは、栄養学的に劣る子ども向けメニューをこれ以上投入しないことと、大人用のメニューにもフルーツと野菜を組み合わせることを発表した。

 

今回のメニュー変更計画は、アメリカをはじめ世界で問題になっている肥満児を減らそうとキャンペーンを行っているクリントン財団との連携によるもの。しかし、それだけではない。健康志向の強いミレニアル世代への対応が大きな背景としてあるのだ。

ミレニアル世代とはY世代(Generation Y)とも呼ばれ、ベトナム戦争期の終盤からベルリンの壁崩壊までの間に生まれた年代の人々のことを指す。

2020年までにアメリカの総人口の約20%を占める世代になることから、消費の中心世代としていま注目されている。

 

ミレニアル世代に人気のチェーンレストランは、いまやベーグルやサンドイッチを主体にするファストカジュアルのパネラブレッドや、メキシカン・グリルのチポトレだ。パネラブレッドやチポトレは、健康的なファストフードのランキングで1、2位を争う。

そんな中、マクドナルドは消費のボリュームゾーンとなるミレニアル世代をロイヤル・カスタマーにできていない。しかも、女性をターゲットに健康的なメニューで積極的なマーケティング・プロモーションをかけているライバルのサブウェイからも、強いプレッシャーを受けている。

 

だからマクドナルドは、バリューミール(日本ではバリューセット)のフライ製品の代わりに、フルーツや野菜を選択できるようにする。

また、子ども用セットのハッピーミール(同ハッピーセット)では、糖分が多く含まれる炭酸清涼飲料ではなく、100%果汁のジュースやローファット・ミルク、あるいは水を選んでもらえるようなプロモーションを行うとしている。

 

マクドナルドは全世界売上げの85%以上を占める主要20市場で、今回のメニュー変更を行うとしている。20市場とはアメリカ、日本、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ブラジル、カナダ、中国、香港、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ポーランド、ロシア、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、イギリスのこと。

しかし、これら20市場の半数の店舗でメニュー変更がされるまでには、3年以上を要すとしていている。さらに、すべての店舗で計画が完了するのは2020年。

 

スーパーマーケットの世界では、ホールフーズ マーケットがオーガニック・ナチュラルフーズを武器に躍進しているし、つい先日も主にベジタリアン向けの食品を揃える店と考えて良いスプラウツ・ファーマーズマーケットが上場したばかり。

 

マクドナルドはどこまで健康的なメニューへの転換に取り組むのか。長期的に見れば、同社にとって大きな問題であることは間違いない。

 

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