全米小売業協会news|ホリデー商戦の返品に関する4つの俗説と考え方

全米小売業協会(National Retail Federation:NRF)のリサーチチームは、毎年クリスマス後に大量発生する「返品の4つの俗説」を挙げ、返品は損失ではなく機会と捉えることを推奨している。

日本ではあまり考えられないが、合理主義のアメリカでは、クリスマスにもらったプレゼントや購入した商品を返品・交換する人が非常に多い。12月26日から1月末まで、小売業は返品対応に追われる時期となる。昨2020年で見ると、小売企業はホリデー商戦の売上げは平均で13.3%が返品されたとみており、年間では合計1億ドルを超える商品が返品されている。

返品の俗説その1、「返品はビジネスに悪い悪影響を及ぼす」。返品を単に「売上げの損失」とみることは簡単だ。しかし、店舗に返品に来るという行為は、オンライン購入者がリアル店舗で買物をするチャンスとなり、追加購入を促すことができます。多くの返品をしている顧客こそ、ロイヤルティの高い良い顧客だという事実を忘れてはならない。

返品の俗説その2、「オンライン・ショッピングによって返品数が急増した」。リアル店舗での購入より、オンライン購入の方が返品率は高いというのは事実だ。NRFの調査では、ホリデー・ショッパーの69%は必要のないプレゼントやホリデー・アイテムを「返品したい」と答えている。昨年はパンデミックによってオンライン購入が急増したが、NRFとアプリス・リテイル社の調査によると、小売業者の73%は返品率は2019年と同じか少なかったと答えている。つまり、eコマースの成長が業界全体の返品の増加につながっているわけではないのだ。

返品の俗説その3、「返品対応は面倒」。返品には、返品対応にかかわる費用だけでなく、顧客との関係にも一定のリスクが伴う。返品処理と再販を事業とするオプトロ社の調査によると、返品で嫌な思いをした消費者の42%は、「その小売店で二度と購入しない」と答えている。一方で、97%の消費者は、「返品時の対応が良ければ、またその店で買物をするだろう」と答えている。したがって、返品の取り扱いによって、常連客が生まれる可能性がある。

返品の俗説その4。「返品のほとんどが必要のないプレゼントやホリデー・アイテム」だと思われているが、NRFとアプリス・リテイル社の年次レポートによると、2020年のホリデー商戦の返品では、平均10.1%が不正な返品だった。これは、ホリデー・シーズン以外の時期の不正率5.9%を大きく上回っている。不正返品の例として、万引きや盗難された盗品の返品、社員による不正返品、欠陥がないにも関わらず使用した後に返品する「ワードロービング」などが挙げられる。ただし、このような不正を防ぐための対策をとる一方で、返品を必要とする良い常連客に嫌な思いをさせないような方策が必要となる。

返品は複雑で難しい問題だが、小売業にとっては、経費を減らしつつ顧客とエンゲージするチャンスだと捉えることが重要だ。

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