ターゲット スタインハフェルCEOが7000万人顧客情報流出で引責辞任
米国第5位の小売業ターゲットは、同社で35年間のキャリアを持つグレッグ・スタインハフェルCEOの辞任を取締役会で決定した。今回の決定は即時に実行され、スタインハフェル氏は兼務する取締役会議長と会長職からも降りた。
後任が決定するまで、ジョン・マリガンCFO(最高財務責任者)が暫定的に会長とCEOを務める。またログザンヌ・S・オースティン取締役も暫定社外取締役会議長に任命された。体制移行が完了するまで、スタインハフェル氏は顧問として留まる。
スタインハフェル氏は2008年5月にCEOに就任。リーマンショック後の金融危機の中、リーダーシップを発揮し、カナダへの進出を実現したほか、アクティビスト・ファンド(いわゆる「もの言う株主」)のウィリアム・アックマン氏との委任状争奪戦を乗り切った。
しかし、昨年のクリスマス前に顧客情報の流出が発覚。その量は最大で7000万人分にも及び、現在も業績に影響を与えていることから、スタインハフェル氏がその責任をとって辞任した形だ。
世界第1位の小売業ウォルマートと同業態を展開するライバルのターゲット。これまでウォルマートとは対比的なコーポレートカラーを打ち出し、店づくりや商品政策でも対極の軸を構成していただけに、今回の失速とCEO辞任は業界全体に大きな影響をもたらす。
ターゲットの取締役会は、次のようにコメントしている。
「我々はこの会社の将来に自信を持っています。今回の体制移行は、ターゲットのビジネスを前進させ、改革を加速させる機会だと捉えています」
つまりピンチをチャンスに変えるという意思表明。果たしてどこまでチャンスに変わるか。暫定的なCEOと暫定的な取締役会議長ではそれは不可能だ。まずはトップマネジメントの人事を素早く決めて、全社一丸となった体制を築くことが必須だろう。
ターゲットは現在、アメリカ国内に1789店舗、カナダに127店舗を展開。2014年2月期の売上高は725億9600万ドル(約7兆2596億円、1ドル=100円換算、前年同期比▲1.0%)、当期純利益は19億7100万ドル(約1971億円、同▲34.3%)だった。
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