米国アマゾンの「無料即日配達」とプライベートブランド「エレメンツ」
アマゾン・ドット・コムの攻勢が続いている。
昨年度も売上高が2割の増加で889億9000万ドル(1ドル100円換算で8兆8990億円)にも関わらず、2億4100万ドルの赤字を計上。それはプライム会員獲得のための30日間無料配達などへの投資を試みたからだ。
これまでは、プライム会員に対しては5ドル99セント、非会員に対しては8ドル99セントと1個あたり99セントで配達していた。さらに35ドル以上の購入の場合に、即日配達をしてきた。
しかし、今後はプライム会員に対して35ドル以上の購入商品は「無料即日配達」する。
ウォルマートは年間50ドルで3日配達サービスを実験し始めた。
グーグルは「エクスプレス・ショッピング」と呼んで、1カ月10ドルまたは年間95ドルで、即日配達サービスをしている。
アマゾンのサービスはこのウォルマートとグーグルを多分に意識したものだ。今、会員を獲得しておけば、それはずっと続くことになる。だから目先の赤字を覚悟しつつ、会員獲得に奔走する姿が見える。
そのアマゾンは、同時に、食品や家庭雑貨カテゴリーで、新しいプライベート・ブランド商品を開発しはじめた。2009年に、家電のカテゴリーで「アマゾン・ベーシックス」を開発、発売。現在も好調に販売されている。今回はドライグロサリーのフードとノンフードで、特許局にも「エレメンツ」のブランド名を申請。飲料水、コーヒー、シリアル、ビタミンといったフードと、ペットフード、カミソリ、清掃用品などのノンフードが登録されている。
「エレメンツ」ブランドは、昨年末からプライム会員向けにベビー・オムツなどの一部カテゴリーで販売されていた。
それがいよいよグロサリーに拡大されることになる。好評ならばプライム会員のみから、一般会員にも対象は広げられる。
アマゾンは品揃え型マーチャンダイジングで急成長してきた。それが自らプライベート・ブランド開発に至った。自然な流れではあるけれど、それが顧客に受け入れられるか。
もちろんアメリカにはプライベートブランドメーカーが揃っているから、アマゾンがどんな仕様を選択するかにかかっているが、無料即日配達とグロサリーの低価格プライベートが組み合わされると、ウォルマートだけでなく、多くのスーパーマーケットに打撃を与えることは確かだ。
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