イオンnews|いなげやを子会社化し「関東1兆円SM構想」加速 

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イオン(株)(千葉市美浜区、吉田昭夫社長)、(株)いなげや(東京都立川市、本杉吉員社長)、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(株)(東京都千代田区、藤田元宏社長、U.S.M.H)の3社は4月25日(火)、「関東における1兆円のSM構想」実現のための経営統合に向けた基本合意書を締結した。

3社は、提携関係にあるイオンといなげやの関係を強化し、いなげやがイオンの連結子会社としてイオングループに参画するとともに、U.S.M.Hといなげやの経営統合を実現し、U.S.M.Hとともに「関東における1兆円のSM(スーパーマーケット)構想」を進めることが最適であると判断した。

イオンは 2023年11月を目途に、いなげやの議決権の51%に相当する数の株式を取得の上限として、いなげやの株式を取得し、いなげやを連結子会社とするための手続きを行う。

U.S.M.Hによるいなげやとの経営統合は、2024年11月を目途とする。経営統合が成立した場合、いなげやは上場廃止となる見込みだ。

【結城義晴の述懐】
感慨深い。
私がこの世界に入ったころ、関東の有力スーパーマーケット・チェーンは5社と言われた。
第1にマルエツ。
第2がいなげや。
第3にサミットストア(当時)。
第4にカスミ。
第5がとりせん。
ヤオコーもベルクも、エコス(当時はたいらや)もオーケーも、もちはろんロピアも、名前は上がってこなかった。すでに神奈川のサンコーはマルエツと合併していたし、千葉のプリマートもすぐにマルエツに併合された。
そのマルエツとカスミはイオンの傘下で、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスとして一体化し、さらにいなげやが加わる。
残るサミットは隆々としている。そして直近の方針説明会では今後、M&Aをするというビジョンを掲げている。とりせんはオール日本スーパーマーケット協会でサミットとは友好関係にある。今回のいなげやのU.S.M.Hとの合同によって、業界全体に規模への危機感が生まれ、今後も経営統合は進むに違いない。
しかしこういったときに重要な考え方がある。
商人の本籍地と現住所である。
今回の場合、いなげやの幹部や社員からすると、本籍地いなげや、現住所ユナイテッドあるいはイオンとなる。それを自覚し、納得することだ。そこからスタートすることだ。
もう一つの問題は、イオンの持ち分法適用会社の㈱ベルクの行方である。こちらは業績絶好調で、今、イオン首都圏スーパーマーケット構想に、入ってくる必要はまったくない。
2023年2月期決算は、営業収益3108億円、営業利益140億1800万円、経常利益142億9700万円(3.0%増)。営業利益率4.5%、経常利益率4.6%。
イオンにとっては、ベルクこそ首都圏構想の中核に据えたい企業だ。
ベルクの方は、原島一誠社長と幹部の考え方にかかっている。
さらにこの首都圏統合によって、日本中のスーパーマーケットは、経営統合を急ぐことになるだろう。
その際に忘れてはならないことは、成長と膨張である。
単なる膨張であるならば、経営統合は危うい道に踏み出すことを意味する。スケールが1兆円に近づこうが、膨張であってはならない。膨張は終わりの始まりなのだから。

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