成城石井がローソンに買収され、協業体制に入る
昨日の株式会社成城石井の公式ホームページ。
お客様各位と題して、
代表取締役社長の原昭彦さんがメッセージ。
「当社株主変更に関するお知らせ」
先ほど、株式会社ローソン(以下、ローソン)から発表がありました通り、
この度、株式会社成城石井(以下、当社)の全株式が
丸の内キャピタル第一号投資事業有限責任組合から
ローソンに売却されることになりました。
本件の実行は当社のブランドを守り、
主体性と経営方針を尊重していただける新たなパートナーのもとで、
更なる成長に向けた取り組みに繋がるものであると確信しております。
当社がこれまで推進してきたお客様第一の志向、商品に対する考え方とこだわりは
一切変わることはございません。
今後も当社がこれまで推進してきた事業戦略に則り、
引き続きサービスや商品のクオリティーを維持・向上して参る所存ですので、
引き続きご支援・ご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
とてもいいメッセージだと思う。
一方、ローソンの公式ホームページ。
「株式会社成城石井の株式取得に関するお知らせ」
株式会社ローソン(本社:東京都品川区/代表取締役社長:玉塚元一)は、
株式会社成城石井(本社:神奈川県横浜市西区/代表取締役社長:原昭彦)の株式を、
丸の内キャピタル株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:千田剛司)が
管理・運営する丸の内キャピタル第一号投資事業有限責任組合より譲り受けることを決定し、
本日、株式譲渡契約を締結いたしましたので、お知らせいたします。
その「成城石井株式取得の理由」。
これもホームページに書かれている。
まずローソンの様々な付加価値を追求の取り組みが挙げられている。
①女性の社会進出をサポートする 「ナチュラルローソン」、
②核家族化の食卓をサポートする「ローソンマート」、
③医薬品販売やヘルスケア機能の強化型店舗、
④ブランパンやピュアシリーズなど健康を意識した商品開発、
⑤土壌からこだわった野菜や惣菜の販売によるスーパーマーケットの代替
次に成城石井が紹介される。
「食にこだわり、豊かな社会を創造する会社」を目指し、
高いマーチャンダイジング力で高付加価値を追求してブランド力を構築、
関東圏を中心に120店舗を展開(平成26年9月時点)。
ローソンは小商圏型製造小売業を標榜している。
この面では成城石井と共通している。
その成城石井は、「一般的なスーパーおよび高級スーパーとは一線を画している」。
だから両者の「協業には大きな可能性がある」とローソンは考えた。
そこで、全株式を譲り受けた。
このあと、はっきりと書かれている。
「今後も成城石井の経営理念を尊重の上、
成城石井がこれまで築いてきたブランド等の事業基盤を大切にし、
現在の体制を維持しつつ、
ローソンが持つ店舗立地獲得、
ロジスティクス、購買データの活用等に関するノウハウ提供を通じて、
大都市圏市場における二極化への対応を強化し、
圧倒的な競争力を有する業態として 進化し続けていくことをサポートしてまいります」。
日経新聞は昨日の一面トップで取り上げた。
その日経によると、「有利子負債を含む買収総額は550億円強」。
成城石井の買収には、三越伊勢丹ホールディングスやイオンも手を挙げていた。
しかし、丸の内キャピタルは三菱商事系の投資ファンドで、ローソンはその三菱商事系。
初めからローソンに決まりそうだという予測はあった。
ローソンは、買収後も「成城石井」の店名は維持し、協業していく。
この買収劇、私は良かったと考えている。
成城石井の側から見ると、レックスホールディングスや丸の内キャピタルという投資ファンドに株式を所有されているよりも、日本のコンビニ第2位の企業の傘下に入ったほうが、安心して経営に専念できるからだ。
しかもそのローソンが、成城石井のマネジメントとブランドを尊重すると宣言している。
両者の相乗効果は計り知れない。
ローソンは、らでぃっしゅぼーやにも出資していて、その商品は成城石井の生鮮食品を強化してくれる。そしてナチュラルローソンは飛躍的に良い店になるに違いない。
商人の本籍地と現住所。
成城石井の経営者や社員にとっては本籍地はいつまでも成城石井だ。
そして現住所がローソンとなる。
やっと住み心地のいい現住所を得た成城石井。
これからの発展が、大いに期待される。
頑張れ、原昭彦。
頑張れ、成城石井の人たち。
エールを贈っておこう。
〈結城義晴〉