ユニーGHDとファミリーマート経営統合協議開始の「マイナス×マイナス≠プラス」
昨10日付でユニーグループ・ホールディングス(株)(以下、ユニーGHD)と㈱ファミリーマートが2016年9月の経営統合へ向けた協議を開始した。
持ち株会社を統合し、ユニーGHDを吸収合併する形でファミリーマートが持ち株会社となる。
コンビニ事業はブランドを一本化する。
合併比率を含めた詳細は、デュー・ディリジェンスを踏まえて今後、専門家を交えて検討する。
以上の3点が発表されている内容だ。
デュー・ディリジェンスとは不動産投資やM&Aなどの取り引きで、投資対象となる資産の価値・収益力・リスクなどを経営・財務・法務・環境などの観点から調査・分析すること。
現在の両社の事業内容は下図のとおりだが、ユニーGHDの総合スーパー事業並びに専門店事業はすそ野が広い。コンビニばかりに目が向かいがちだが、ユニーGHDのこれらの事業領域の見直し、あるいは整理も必須となるだろう。
両社の業績は以下の通り。「売上高3.5兆円」の規模を強調している。
さて、昨日午後、両社の代表取締役が記者会見した。
日経新聞によれば、「考え方が合った。アジアで絶対的な地位を築いているファミマと組むことにメリットがあると考えた」「スーパーとコンビニの2事業を基軸とする」(佐古則男ユニーGHD社長)。
「スーパーとの統合で規模のメリットが期待できる」「生鮮食品、総菜のノウハウをコンビニに持ち込むことでおもしろいことができる」「今まで僕らは3位で、2位に追いつこうという発想が貧困だった。統合できれば日本最大のネットワークになる」(中山勇ファミリーマート社長)。
経営統合によってコンビニ店舗数は1万7000店規模になり、「セブン-イレブンと2強を競う規模」(佐古社長)は、「コンビニ複占」を視野に入れたかのごときコメント。
ただし、米国スーパーマーケット第2位の規模を有したセーフウェイは、サーベラスに売却され、同じサーベラス傘下のアルバートソンと合併させられる。かつてのエクセレントカンパニー・アルバートソンは三分割され売却された末に、現在は再統合されてサーベラスの手中にあるが、低調が続く。米国スーパーマーケットの複占の一角を担ったセーフウェイといえども、競争に勝ち残れない。
そのセーフウェイとアルバートソンになぞらえるつもりはないが、ポジショニング戦略を明確にできないコンビニ事業、総合スーパー事業は寄せ集めの規模だけでは生き残れない。それを「既に起こった未来」アメリカ市場の競争が教えてくれている。
セブン&アイホールディングスと万代との資本提携を視野に入れた業務提携で、万代が期待したものは日本№1小売業のセブン-イレブンがもつ商品開発力や物流力、情報力などの総合力。それに比べるとファミリーマート&サークルKサンクスは店数こそセブンと同規模になったものの、内容ははるかに及ばない。ファミリーマートだけならまだしも、サークルKサンクスを抱え込んで、チェーンオペレーションの質を上げるとなると、重い荷物がさらに重くなった。
厳しい見方だが、今回の場合、コンビニ事業に関しては残念ながら「マイナス×マイナス≠プラス」である。もちろん総合スーパー起死回生の法をファミリーマートが知るはずもないから、こちらは「マイナス×ゼロ=ゼロ」になるかもしれない。これは冗談だが。
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