ヤマダ電機46店閉鎖、ソフトバンク提携で抜本的構造改革を推進

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ヤマダ電機が、今年5月末までに46店舗の店舗閉鎖を決めた。素早いというか、拙速というか。
閉鎖といっても、完全閉鎖は37店で、あとの9店はスクラップ&ビルドや業態転換へと進むが、雇用は守ると発表している。しかし日本小売業第3位企業のこのニュースは、NHKでも取り上げるほどの衝撃だった。

ヤマダ電機は抜本的な経営の構造改革を行っている。

その1つが店舗効率の改善と収益性の向上。
業績の低迷している店舗をスクラップ&ビルド、店舗閉鎖、そしてアウトレット店舗や免税専門店舗への業態転換によって、営業力をつける。その第一弾が今回の46店の閉鎖だ。

閉鎖するのは「LABI水戸」(水戸市)、「New江東潮見店」(東京都江東区)、「名古屋南丹後通り店」(名古屋市)、「枚方店」(大阪府枚方市)、「三次店」(広島県三次市)などで、大半は今月31日に閉店する。

一方で、年内をめどに東京都中央区八重洲に都市型店舗を出店させるなど、今年度は、15店の新規出店をする。郊外型店舗での出店で拡大路線にまい進してきた家電業界のトップだが、競合店との価格競争から、脱家電量販への方向転換が加速化している。

象徴的なのは、今月、ゴールデンウィーク明けの7日に報じられた、ソフトバンクとの資本業務提携。

提携の主旨は、少子高齢化社会に向けての新しいビジネスを創出すること、及び既存ビジネスの連携強化。

現在、ヤマダ電機は「家電販売を中心とした事業領域の幅と深さを追求した各種ソリューションビジネスの展開」を戦略の柱にしている。

全都道府県に直営店1023店舗を展開するネットワークに加え、「コスモスベリーズ」という加盟店総数1万0448 店舗の地域密着型のボランタリー店舗ネットワークをもつ。コスモスベリーズは町の家電専門店が加盟する。加盟店はヤマダ電機から商品を仕入れ、売り先の家庭(あるいは事業主)の取り付けなどのアフターサポートを行う。大型家電専門店のヤマダができないきめ細やかなアフターケアを、コスモスベリーズ加盟店が行う。

このネットワークを生かしたソリューションビジネスとは、
①「暮らしのサポートサービス」
②「スマートハウス」「リフォーム」ソリューション
③「環境(買取からリユース・リサイクル)」ソリューション

なかでも②は、子会社の㈱ヤマダ・エスバイエルホーム(東証一部上場)や㈱ヤマダ・ウッドハウスが、太陽光発電システムやHEMS(家庭内のエネルギー管理システム)、蓄電池を搭載したスマートハウス (新築住宅)を担う。ヤマダ電機店舗の駐車場でモデルハウスを展示し、店舗内では「トータルスマニティーライフコーナー(リフォームコーナー)」を通じてリフォームを受注している。また、住設機器メーカーの㈱ハウステックのオリジナル商品(キッチン、バス、トイレ等)を使った独自のスマートハウス・リフォーム事業を積極的に推し進める。

今回のソフトバンクとの資本業務提携によって、ICT(情報通信技術)を活用したスマートハウス事業、サービスが一層進む。ソフトバンクグループのもつネットワークを活用したブロードバンド事業や自然エネルギー事業、ロボット事業等と、ヤマダ電機が独自に展開するスマートハウス事業や各種サービスとを融合させることによって、「家一軒まるごと」、かつ「少子高齢化社会」対応のビジネス展開が可能になる。

 

ヤマダ電機の業績低迷は顕著。
今年2015年3月期の売上高は1兆6643億7000万円、昨対マイナス12.1%。経常利益355億3700万円(マイナス29.2%)、純利益93億4000万円(マイナス50.0%)。だから、不採算店のスクラップ&ビルドは当然のことだが、新たなホームソリューションビジネスは、家電よりさらにスペシャライズな需要。
基幹ビジネスに成長させるには、あまりにも時間がかかりすぎる。

家電流通はM&Aで企業淘汰が進んだが、まだまだ企業数が多い。
かの地、アメリカではチェーンストア100社のなかに、家電チェーンはベストバイとレディオシャックの2社、つまり複占状態になったが、そのレディオシャックも今年2月に倒産。ウォルマート、ターゲット、コストコなどの総合店が家電専門チェーンを押しに押し、最後の引き金を引いたのはAmazon.com。

日本でも本格的なEコマース社会が到来しているから、家電流通業界の淘汰は進む。ヤマダ電気の46店の拙速な閉店に、その兆候が見えている。

 

検索キーワード : ヤマダ  ホーム  ソフトバンク  閉鎖  スマートハウス  リフォーム

 

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