イズミが広島のユアーズと資本業務提携、子会社化して中四国地方もM&A加速
広島に本拠を置く㈱イズミのM&Aが加速している。
6月30日、同じく広島を本拠とする㈱ユアーズ(本社/広島県安芸郡、代表取締役社⻑/根石紀雄)と資本業務提携を結んだと発表した。ユアーズは第三者割当増資を実施し、イズミがこれを全額引き受ける予定で、ユアーズを連結子会社としてイズミグループの一員に迎えることを基本方針としている。
ユアーズは、広島県を拠点に、福岡県・山口県・岡山県でスーパーマーケットを63店舗を展開するローカルスーパーマーケット企業。共同仕入れ機構シジシージャパン加盟企業。
イズミはご存じのとおり、ショッピングセンター、総合スーパー「ゆめタウン」、スーパーマーケット「ゆめマート」などを西日本で103店舗(インポート ショップ「エクセル」の単独店舗12店舗を含む)展開するリージョナルチェーン。出店エリアは広島県、岡山県、山口県、島根県、福岡県、佐賀県、大分県、 長崎県、熊本県、兵庫県、香川県、徳島県の12県に及ぶ。中四国、九州をまたぐ大リージョナルチェーンである。故渥美俊一先生の定義によれば、二つ以上の リージョナルチェーンを持つ企業がナショナルチェーンとなるから、イズミは渥美流に言えばナショナルチェーンである。
平成27年2月期の連結営業収益は前期比4.1%増加の5797億3900万円。経常利益は4.6%増の297億6700万円。営業収益のうち売上高はこ れも4.1%増で、5527億4600億円。総合スーパーを主力とする企業としては平和堂やサンエーと並んで好成績を収めている。
そのイズミは今年1月31日にスーパー大栄(本社/北九州市八幡西区、代表取締役社長/北山茂樹)との業務資本提携を締結したばかり。半年も経たずにこのユアーズとの資本業務提携。
イズミは九州への出店が成長のエンジンになってきた。実際に2005年には二つの業務資本提携を敢行している。
2005年6月に㈱ゆうあいマート(熊本市東区、現・(株)ゆめマート)と業務提携を結んで、2年後の2007年4月には連結子会社化。2012年9月にはそのゆめマートが、㈱西紅(熊本市東区)の全株式を取得するなど、九州でも積極的にM&Aを進めた。その上で今年1月のスーパー大栄との資本業務提携に至っている。
一方、同じ2005年には山口県に本部を置く㈱丸久と業務資本提携を交わしているが、その丸久は、大分県のマルミヤストアと、今日7月1日に統合。1200億円規模のスーパーマーケットチェーンとなる。
こうして見ると、西日本のM&Aのキーは、完全にイズミが握り始めた観がある。
もちろんイズミに先行してM&Aを仕掛けたイオンは昨年、新たに山口に本拠を置いて、九州北部にドミナントを築くレッドキャベツと資本業務提携を果たしている。
九州は日本のどこよりもディスカウント旋風が吹き荒れる。コスモス薬品、トライアルカンパニー、ルミエール(三角商事)などなど。
そのはざまでローカルスーパーマーケットは厳しい戦いを強いられ、それがM&Aを加速化させる。
ディスカウントと規模の経済は強い相関関係にある。M&Aによって、イオンとイズミがスケールのメリットを享受しようとすればするほど、ディスカウンター企業群は激しい安売りを展開し、そのことでローカル・スーパーマーケット・チェーンは営業が苦しくなる。そしてまたM&Aが加速する。
その九州のM&A旋風が中国地方を巻き込み始めた。イズミのユアーズとの資本業務提携は、そのトリガーとなるだろう。
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