阪食の新社長に河村氏 千野氏は代表権のある会長に
H2Oリテイリング・グループの阪食は24日、阪急キッチンエール関西社長の河村隆一氏(56)が4月1日付で社長に就任すると発表した。現社長の千野和利氏は代表権のある会長に就く。
河村氏は1982年に北九州市立大学商学部を卒業後、阪急百貨店に入社。2010年、阪急阪神百貨店取締役に就任。12年に食品宅配子会社の阪急キッチンエール関西に移り取締役。13年から社長を務めている。
H2Oは、総合スーパー業界第7位のイズミヤを株式交換により6月1日付で完全子会社化すると発表している。阪食の新社長に就任する河村氏には食品を中心にイズミヤとの統合を成功させ、シナジー効果を実現することが求められるだろう。
阪食は06年9月に食品事業会社8社の統括並びに事業活動の管理を目的として設立された。その後、08年10月に阪急オアシス、阪急ニッショーストア、阪急ファミリーストア、阪急フレッシュエールの4社を吸収合併した。会長に就く千野氏は01年に阪急オアシスの社長に就任し、06年から阪食の社長を務めてきた。
千野氏は「高質食品専門館」というコンセプトのもと、20年までに売上高2000億円、営業利益80億円、店舗数125店舗を実現することを目標を掲げて成長戦略を実行してきた。阪急フーズ、阪急デリカ、阪急ベーカリーといった食品製造部門の力を活かした製造小売り化(SPA)を進めたほか、青果の「量り売り」や鮮魚での「魚屋の鮨」の導入、上質感のある店舗デザインによってコンセプトに合致したマーチャンダイジング(MD)をつくり上げた。
「高質スーパーマーケット・阪食」の躍進は、千野氏の力によると言ってもよいが、その会長就任は一区切りとはいえ、まだまだ早い気がする。
ホールディングカンパニーであるH2O自体も、阪急阪神百貨店取締役常務執行役員の鈴木篤氏(57)が4月1日付で新社長に就任することが決まっている。長期事業計画「GP10(グランプリテン)」の目玉だった基幹店「阪急うめだ本店」の建替えが終わり、12年11月にグランドオープンしたことから、新しい経営体制に移行する考えだ。
グループを挙げて若返りを図るという意図なのだろうが、新任トップに期待すると同時に、これまでのトップマネジメントのキャリアも大事にしなければならない点は、あえて指摘しておこう。
H2Oの13年3月期の連結売上高は5251億円(前年同期比 3.9%増)で、営業利益106億円(同7.2%増)、経常利益113億円(同10.0%増)、当期純利益62億円(同486.6%増)。そのうち阪食がメインのスーパーマーケット事業の売上高は993億円(同1.9%増)。
阪食はスーパーマーケット「阪急オアシス」を71店舗(大阪49店舗、兵庫18店舗、京都3店舗、滋賀1店舗)展開している。
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