12月商業動態統計|販売額49兆8560億円3.5%減/小売業14.4兆円0.3%減
経済産業省が、12月度の商業動態統計速報を発表した。昭和28年(1953年)から始められた商業動態統計は、工業統計と並んで国の基幹統計である。小売業・卸売業を営む企業と事業所・店舗の事業活動に関する動向の把握を目的とするもので、毎月、調査・発表される。
その12月の商業販売額は49兆8560億円で前年同月比マイナス3.5%となった。商業販売額は小売業と卸売業の合計販売額である。
卸売業の販売額は35兆4210億円で4.7%減。そのなかで大規模卸売店の販売額は10兆238億円で0.5%のマイナスだった。
小売業の販売額は14兆4340億円と0.3%のマイナスだった。
業種別にみると、その他の卸売業が4.8%増、医薬品・化粧品卸売業が1.9%の増加となった。一方、繊維品卸売業、各種商品卸売業、鉱物・金属材料卸売業が二桁減、衣服・身の回り品卸売業が9.2%減、建築材料卸売業が7.0%減、化学製品卸売業が5.6%減、機械器具卸売業が2.9%減、食料・飲料卸売業が2.7%減、農畜産物・水産物卸売業が2.4%減、家具・建具・じゅう器卸売業が1.3%の減少となった。
百貨店・スーパー販売額は2兆1033億円の前年同月比3.4%の減少となった。スーパーが1兆4999億円の2.4%増(既存店は1.6%増)に対し、百貨店は6033億円の14.5%減(既存店は13.0%減)と落ち込みが続く。商品別では飲食料品が1.6%増と好調だったが、衣料品は16.7%減と引き続き大幅な減少だ。
コンビニエンスストアの売上高は1兆234億円で前年同月比3.8%の減少だ。ファストフードおよび日配食品は7.8%減、加工食品は4.2%減と主力商品が低迷。非食品は1.9%増加した。
家電大型専門店販売額は5154億円で前年同月比14.7%増。生活家電が27.5%増、AV家電が21.1%増、通信家電が18.6%増、その他が6.8%増、情報家電が0.4%の増加となった。一方、カメラ類が14.2%のマイナス。
ドラッグストア販売額は6495億円で前年同月比4.8%増と好調を維持。コロナ感染拡大で、ヘルスケア用品(衛生用品)・介護・ベビーが15.9%増、家庭用品・日用消耗品・ペット用品が10.2%増。対して、テレワークやインバウンド需要が喪失で、ビューティケア(化粧品・小物)が7.8%減。
ホームセンター販売額は3447億円で、前年同月より7.5%の増加。電気が23.4%増、園芸・エクステリアが15.3%増、DIY用具・素材が11.9%の二桁増加だ。
小売業態別の販売額を前年同月比の伸長率で並べると、コンビニ、百貨店の不調が前月に続き明白だ。
家電大型専門店 14.7%(5154億円)
ホームセンター 7.5%(3447億円)
ドラッグストア 4.8%(6495億円)
スーパー 2.4%(1兆4999億円)
コンビニエンスストア ▲3.8%(1兆234億円)
百貨店 ▲14.5% (6033億円)
12月の結果を受けて、コロナ禍の2020年の商業販売額が確定した。その数値は503兆1390億円で、前年比9.5%の減少だ。卸売業は356兆7000億円で12.2%減、小売業は146兆4380億円で3.3%減。卸売りの減少が際立った。