総合スーパー主力6社の3月~11月決算 2社◎ 1社▲ 3社?
総合スーパー(国際的にはハイパーマーケットと呼ぶ)を展開する主要各社の平成27年2月期の第3四半期までの決算が出揃った。
2014年3月1日から11月30日までの業績。
3月は消費税増税の駆け込み需要があり、4月以降はその反動に見舞われた各社だが、
9カ月終わってみれば、各社各様の結果となった。
◆ 主要各社の平成27年2月期第3四半期業績(平成 26 年3月 1 日~平成 26 年 11 月 30 日)
企業名 |
営業収益 |
昨対 |
営業利益 |
昨対 |
経常利益 |
昨対 |
純利益 |
昨対 |
イオン | 5,077,044 | 9.9 | 49,374 | ▲47.9 | 56,959 | ▲42.2 | 29,364 | 47.4 |
セブン&アイHD | 4,501,751 | 7.5 | 249,455 | 0.1 | 249,287 | 0.1 | 127,310 | ▲0.6 |
ユニーHD | 746,122 | ▲1.2 | 14,118 | ▲18.4 | 13,888 | ▲16.1 | 4,363 | ▲20.7 |
イズミ | 423,117 | 4.5 | 20,579 | 1.3 | 20,230 | 2.9 | 12,397 | 4.1 |
平和堂 | 305,763 | 3.7 | 9,537 | 13.8 | 10,085 | 15.7 | 6,070 | 7.7 |
フジ | 230,438 | 0.1 | 3,132 | 2.0 | 3,733 | 0.1 | 2,195 | 25.2 |
単位:百万、%
イオン
営業収益は5兆770億円で前年同期比9.9%増。経常利益はマイナス42.2%。しかし純利益は47.4%増。
主力のGMS(総合スーパー)事業は、営業収益2兆 4743 億 3000万円、営業損失 289 億 2400万円(対前年同期比354 億 4600万円の減益)。
総合スーパーは国内ではイオンリテールのイオンとダイエーとがあるが、両社のスケールメリットを生かした合同の販促企画を実施するなど、グループの経営資源を最大限に活用した収益向上策に取り組んだ。
主力企業のイオンリテールは10 月から免税取扱いを全国の「イオン」97 店舗に拡大展開し訪日外国人旅行客への対応に努めたほか、11月にはフランス最大手の冷凍食品専門店チェーン「ピカール」と提携し、日本で初めてピカール商品を 展開。新たなフォーマット「イオンスタイルストア」開発も積極的に進んだ。第3四半期までに京都桂川店、岡山店などGMS6店舗を出店。また「既存店舗の活性化」「PBの強化」「売場の専門店化」に取り組んだ。
しかし増税後の消費回復の遅れと、集中豪雨や台風等の天候要因が影響し、既存店売上高は、対前年同期比 97.6%(衣料 95.9%、食品 97.7%、住居余暇 98.6%)にとどまった。一方で、、集客施策の強化に向けた低価格販売、販促活動が販管費を押し上げた。
セブン&アイホールディングス
営業収益は、主にコンビニエンスストア事業の増収と通信販売事業の新規連結によって4兆5017億5100万円で前年同期比117.5%。
スーパーストア事業は、営業収益1兆4871億7400万円(前年同期比100.2%)、営業利益は94億5200万円(55.4%)。主力のイトーヨーカ堂は営業収益9504億5200万円(99.8%)、営業利益は2563億円の損益。「セブンプレミアム」「顔の見える食品」等の差別化商品の販売、地域特性に合わせた品揃えにを強化したものの、既存店伸び率はマイナス4.4%となった。
この既存店の低迷と衣料品の粗利益率悪化が減益の要因となった。
11月にはグループの総力を結集した「グランツリー武蔵小杉」をオープンさせ話題となった。イトーヨーカ堂直営の食品売場では生鮮食品の対面販売コーナーやデリカテッセンを強化。また衣料品のプライベートブランドをショップ化し専門店ゾーンで展開するなど、新しい試みにも挑戦している。
各事業会社が販売に力を入れる「セブンプレミアム」。その売上高は6070億円(前年同期比22.1%増)で、年間計画8000億円を達成する見込み。またグループ横断的な取り組みのオムニチャネル戦略は、各事業会社におけるオムニチャネル推進部門の体制を強化している。
ユニーホールディングス
営業収益は7461億2200万円(98.8%)、経常利益138億8800万円(83.9%)と厳しい数値だ。
総合小売業だけを見ると営業収益5628億200万円(96.7%)、営業利益45億9200万円(80.9%)とさらに厳しい。
今期「関東プロセスセンター」を本格稼動し、関東地方および福島県・新潟県下の店舗の精肉加工作業を集約して、品質の安定化による商品力向上と集中加工による店舗作業の効率化を実施。また、7月よりユニーグループである(株)99イチバが運営するミニピアゴ全店舗への商品供給も開始。
グループPB「スタイルワン」の拡充、価値訴求型PB「プライムワン」の「こだわりの贅沢」シリーズの販売を開始するなど、グループ開発力を活かした品揃えの強化した。さらにスタイルワン「ヘルシー」シリーズを新たに追加。
しかし既存店売上高は、前年同期比96.6%(衣料92.9%、住居関連94.5%、食品97.9%)で推移した。
その結果、前村哲路会長兼最高経営責任者と中村元彦社長兼最高執行責任者は、相談役として現役を離れ、佐古則男取締役がホールディングス社長に就任することになった。
イズミ
前年度の過去最高益更新に続き、今期第3四半期までの営業成績も好調。
営業収益は4231億1700万円(104.5%)、経常利益203億2000万円(102.9%)。
営業収益のうち、売上高は前年同期比175億6100万円(4.6%)増加し、4030億8600万円。
営業収入は同じく7億6700万円(4.0%)増加の200億3100万円となった。
これらは、主に前年度の新店の売上げ貢献と、既存店が堅調に推移した結果だ。
今期は旗艦店「ゆめタウン広島(広島市南区)」の大規模リニューアルなど、既存店の活性化を積極的に実施した。新店も「ゆめマート松橋(熊本県宇城市)」、「ゆめタウン大江(熊本市中央区)」、「ゆめモール柳川(福岡県柳川市)」と計3店舗を出店し、ドミナント化を進める。(株)スーパー大栄(福岡県北九州市)との資本業務提携、(株)広栄(熊本市南区)の完全子会社など、スケールメリットを生かした業務効率の改善にも取り組んだ。
平和堂
イズミ同様、こちらも好調。営業収益3057億6300万円(前年同期比103.7%)、営業利益95億37万円(113.8%)、経常利益100億8500万円(115.7%)、純利益は、60億7000万円(107.7%)と増収増益。
夏季の天候不順や増税影響で客数は前年を下回ったが、食品を中心に客単価が伸長するなど、既存店売上高は前年を上回った。
フジ
営業収益は2304億38百万円(前年同期比100.1%)、経常利益は37億3300万円(100.1%)だが、小売事業の営業収益は2274億3700万円(99.0%)と前年に及ばなかった。
4月にマルシェ事業2号店「瀬戸内海響市場エフ・マルシェ」(愛媛県松山市)を出店。既存店では、「エミフルMASAKI」(愛媛県伊予郡松前町)大規模な改装をはじめ積極的なリニューアルを実施。
また7月に(株)エービーシー及び(株)スーパーゼットと事業譲渡基本合意契約を締結し、譲受会社として(株)フジマート四国(完全子会社)を設立。両社が運営する5店舗を譲り受けている。
・・・・・・・・・
6社6様。それが第3四半期までの総合スーパーを中心に展開する企業の決算だ。つまり大きな店が強いわけではないことが、あらためて明らかになった決算だった。
検索キーワード : イオン セブン&アイ ユニー イズミ 平和堂 フジ 決算