百貨店12月はクリスマス商材好調で0.1%アップ、2015年通期は6兆1742億円0.2%ダウン

全国百貨店の12月売上高概況が今日、1月18日に日本百貨店協会から発表された。調査対象百貨店は、今月も82社238店と変わらず。売上高は7098億2795万円、前年同月比プラス0.1%とほぼ横ばいながら、2カ月ぶりのプラスとなった。

12月は全般を通して気温が高く、特に東日本の平均気温は、12月として統計開始以来1位の高温(平年差+1.9℃)となった。また西日本太平洋側では、同じく統計開始以来12月として1位の降水量(279%)を記録。商売は暑い時期は暑く、寒い時期は寒くがいいとされるが、その意味で12月は厳しい天候条件だった。
そのため冬物商材、とりわけ衣料が不振で、前半は苦戦。しかし、クリスマス週を中心とする後半の追い上げにより、0.1%増で着地した。

地区別の売上前年比を伸長率の高い順でみてみると、
京都が、286億1256万円、プラス3.1%(5カ月連続)。
東京は、1834億5549万円、プラス2.2%(9カ月連続)
仙台は、103億4478万円、プラス2.0%(2カ月ぶり)
その他、札幌1.4%、福岡1.2%、名古屋0.9%、大阪0.7%、横浜0.1%となり
8都市がプラス。
天候条件が影響し、神戸が▲1.4%、広島▲1.2%と2都市がマイナスとなった。

10都市以外の地域では、中国▲0.0%、九州▲0.2%、東北▲1.0%、四国▲1.1%、
中部▲1.3%、近畿▲2.4%、北海道▲2.7%、関東▲3.9%とすべてマイナス。都市部はインバウンド消費もあり好調だが、地方は相変わらず厳しいという結果だ。

しかし、10都市の合計の売上前年比はプラス1.3%で、10都市以外の売上前年比合計は▲2.4%と、平常月の格差に比べてその差がわずかに縮小している。最繁忙期の12月。地方の百貨店にもその恩恵はもたらされている。

商品別で主要5品目を見てみよう。
衣料品 1899億6853万円、▲5.2%(2カ月連続)
主力の衣料品は、紳士服▲5.9%、婦人服▲5.6%、子供服▲0.1%、その他衣料▲3.1%とすべてマイナス。11月と同様に平均気温が高かったことで、コートなどの冬物衣料の動きが鈍かったことが要因だ。

身のまわり品 906億0336万円、プラス1.2%(2カ月ぶり)
前月は、8カ月ぶりのマイナスとなったが、12月は1.2%ではあるがプラス。クリスマスギフト効果か。

雑貨 1111億0105万円 、プラス8.0%(9カ月連続)
化粧品15.3%、美術・宝飾・貴金属が6.3%、その他雑貨0.3%とすべてプラスとなり好調。とくに化粧品は大きな伸びとなった。

家庭用品 299億1231万円、プラス2.7%(2カ月ぶり)
家具が3.9%、その他家庭用品が2.5%のプラス。家電は▲0.1%となった。

食料品 2534億2235万円、プラス0.4%(2カ月ぶり)
菓子2.3%、惣菜1.8プラスと好調。その他食料品は0.0%と横ばい。相場高の続く生鮮食品は▲2.9%で21カ月連続マイナス。相場高でスーパーマーケットは売上高を稼いでいるが、百貨店だけは不調が続いている。

その他の結果は、食堂喫茶▲0.6%、サービス▲6.2%、その他3.9%プラス、商品券▲4.0%。

訪日外国人客の動向は、購買客数が47.9%増の約23万人、売上高も38.2%増(約177 億円)と35カ月連続でプラスを継続し好調を維持している。

大手百貨店グループの12月の売上高はどうか、

㈱三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業(三越伊勢丹計+国内グループ百貨店計) 対前年比プラス1.1%
三越伊勢丹計 対前年比プラス1.0%
項目別(三越伊勢丹計)でみると、衣料品計は、▲3.4%。ドレス、ブラウス、パンツなどは堅調に推移したが、冬物衣料のコートやセーター、スカートなどの需要が本格化せずマイナスとなった。家庭用品計は1.7%のプラスを計上し、特に家具インテリアが19.1%、雑貨がプラス11.6%と好調。しかし家電▲9.5%、家庭用品▲2.5%と身の回り品▲0.7%となり、全体の伸びでは小さくとどまった。インバウンド売上げは、首都圏、国内百貨店事業計ともに前年の約40%増となり、好調に推移している。

J.フロント リテイリング㈱   対前年比プラス0.1%
コート、手袋、ロングブーツなどの冬物衣料が苦戦したものの、ラグジュアリーブランドや、おせち、クリスマスケーキなどが好調だった。また心斎橋店本館の建て替え前の売り納めセールがプラスに貢献した。

㈱髙島屋(単体13店舗) 対前年比プラス0.9%。
コートなどの冬物衣料は苦戦したものの、大型店の入店客数の増加、また高額品やインバウンド需要が好調で前年を上回った。
衣料品は▲5.2%だが、身の回り品7.7%、家庭用品1.4%、食料品2.4%、食堂・喫茶2.9%、雑貨6.4%とプラスを計上した。

エイチ・ツー・オー リテイリング㈱  対前年比▲0.4%
雑貨が好調で、29.5%のプラス。その他は、衣料品の▲7.0%を始め、身のまわり品▲5.8%、家庭用品▲4.3%、食料品▲0.6%、食堂・喫茶▲13.1%、サービス▲26.8%とマイナスが並んだ。

 

2015年12月は、プラスを計上した百貨店各社だが伸び率はわずか。11月に続き、高温の気象が続いたため冬物衣料が伸び悩み、天候に泣かされた月となった。しかし、歳暮、クリスマス商戦、年末年始商戦など歳時の多い月だけになんとかプラスを計上。また、インバウンド需要にも助けられた。

 

最後に、日本百貨店協会では2015年通期の売上高速報を発表している。インバウンド需要で下支えされている百貨店だが、2015年の総売上高は6兆1742億円、対前年比0.2%のマイナス。東京、大阪、福岡の百貨店だけがプラスで推移したが、他のエリアは全敗。地方百貨店の復活はほど遠い。

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(平成27年12月・年間 全国百貨店売上高概況より)

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