【8月百貨店】売上高▲6.0%で今年一番の落込み・家電だけ28.3%増
日本百貨店協会から8月の百貨店売上高概況が発表された。調査対象百貨店は81社236店と前月と変わらず。売上高は4092億3871万円、前年同月比▲6.0%と今年一番の落ち込みで、6カ月連続でマイナスを計上した。主力の国内市場売上げも5.2%減、インバウンド売上げも購買単価の下落がひびいて、26.6%減と、ともに不調だった。
協会では主な不調の原因として、下記の3点をあげている。
・端境期における顧客への動機づけが弱かったこと
・不安定な天候が来店客数に影響したこと
・休日が昨年より1日少なかったこと
都市別の詳細から見てみよう。
主要10都市は全体で対前年同月比▲5.9%。
内訳をみてもすべての都市がマイナス。
福岡▲3.7%、広島▲3.8%、札幌▲4.7%、京都▲5.0%、名古屋▲5.8%、
東京▲5.9%、横浜▲6.0%、神戸▲6.3%、仙台▲7.2%、大阪▲7.2%という結果である。
また10都市以外の地域は全体で▲6.2%。
こちらは北海道がプラス8.2%となり唯一好調だ。
他は、九州▲2.8%、近畿▲3.9%、中国▲6.6%、中部▲6.9%、四国▲6.9%、
東北▲7.5%、関東▲8.2%とマイナスが並ぶ。
主要10都市、10都市以外の地区ともに大幅にマイナスとなり、好調だったのは10都市以外の地区の北海道だけ。8月は夏休みシーズンであり、旅行客の人の流れを確保できたと思われる。
主要5品目の8月の動向は以下のとおり。
主力の衣料品は、1105億9590万円、▲10.7%で10カ月連続マイナス。
細分類も紳士服▲9.6%、婦人服▲10.9%、子供服▲12.9%、その他衣料▲9.7%とすべて不調だ。
身のまわり品は、534億1008万円、▲7.9%となり、2カ月ぶりのマイナス。
雑貨は、752億5264万円、▲3.7%で2カ月ぶりのマイナス。しかし細分類をみると、化粧品だけは2.5%増となり、17カ月連続で好調を続けている。一方、美術・宝飾・貴 金属は▲10.7%と二桁減で6カ月連続でマイナスが続く。
家庭用品は、200億2482万円、▲4.9%で8カ月連続。しかし、家電は28.3%と大幅に売上げを伸ばした。
食料品は、1201億5852万円、▲3.2%となり6カ月連続。生鮮食品、菓子、惣菜、すべてがマイナスで苦戦している。
他のカテゴリーでプラスは、サービス7.7%とその他の3.8%。
一方マイナスは、食堂喫茶▲7.8%、商品券は▲8.0%だった。
主要5カテゴリーは、6月に20カ月ぶりにすべて前年を割るという結果のあと、翌7月は雑貨、身のまわり品がプラスに転じて、少し上向きとなっていた。しかし、8月は再び5品目すべてでマイナスとなり、厳しい結果だ。
大手百貨店グループの8月の業績も見てみよう(%はすべて対前年同月比)。
㈱三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業(三越伊勢丹計+国内グループ百貨店計)▲7.8%。
三越伊勢丹計は▲9.2%。
三越伊勢丹の項目別では、主力の衣料品は▲11.1%。紳士服、婦人服・子供服・呉服寝具とすべてマイナスとなり不調。家庭用品は合計では▲12.1%。しかし詳細をみると、マイナスが並ぶ中で家電だけが13.6%増となり好調だった。
台風などの悪天候の影響で、衣料品は夏物秋物ともに売上げがあがらず、高額品も伸び悩み。インバウンドに関しては客数は前年並みだったものの、客単価が下落して苦戦した。
J.フロント リテイリング㈱ ▲7.3%。
夏物商材のパラソルや帽子、また美術品は売上げを伸ばしたが、厳しい残暑が秋物婦人衣料の動きを鈍くした。その他にも心斎橋店本館建替えによる面積減の影響、休日が昨年より1日少なかったことも不調の要因だ。また、訪日外国人売上げは、昨年の大きな伸びの反動により、マイナスとなった。
㈱髙島屋(単体13店舗) ▲3.0%
好調だったのは家庭用品で8.5%のプラス。家電、家具ともに大きく売上げを伸ばした。
雑貨も2.8%プラス。その中でも化粧品は11.6%増と好調を維持している。しかし美術・宝飾品・貴金属は▲9.3%と不調に終わった。
衣料品は▲9.4%。詳細をみても紳士服、婦人服、子供服、その他衣料品すべてマイナスで動きが鈍い。
身のまわり品▲3.8%、食料品▲3.2%、食堂・喫茶▲2.7%とマイナスが並び全体では前年実績を下回った。
エイチ・ツー・オー リテイリング㈱ 百貨店は▲5.0%。
部門別詳細データは、全店(阪急阪神百貨店・阪食のスーパーマーケット事業・イズミヤ事業)の数字だが、唯一のプラスは家庭用品で2.1%。衣料品、身のまわり品、食料品、雑貨など他はすべてマイナスという結果だ。
8月は、ここにあげた大手百貨店売上高も、すべて昨年同月比でマイナスとなり、厳しい夏となった。しかし、家電の伸びが大きかったのが特徴だ。協会では詳細は伝えられてはいないが、インバウンドによる家電の爆買いも収まっている今、猛暑によるクーラーの売上げが大きく貢献したと推測される。大阪のダイキン工業によると、7月第1週の国内向けルームエアコンの生産台数は前年同期に比べて1.5倍だったと報じられている。在庫がどんどんはけていく中、休日返上でフル生産しているとのことだ。8月も変わらず猛暑が続いていたのでそのまま売れ続けたのは間違いない。また夏のボーナスシーズン、顧客にとって大物家電への購買意欲が一番湧く時期といえるだろう。それに加え、4年に1度のオリンピックイヤーだった今年の8月は、テレビの売上げも貢献したのだろう。
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