【8月総合スーパー・食品スーパー】天候要因深刻で、▲2.9%、▲1.7%ともにマイナス

日本チェーンストア協会が「チェーンストア販売統計8月度速報」を発表した。チェーンストア協会加盟企業の売上高の多くが総合スーパー業態を運営する企業が占めているため、商人舎では、この統計から総合スーパーの販売動向を読み取ることにしている。

8月の調査対象企業は57社、9413店(前年同月より21店増、対前月より8店減)。売場1㎡当りの売上高は4万3080円(前年同月比マイナス3.5%)。

8月実績は下記のとおり。
総販売額は1兆0840億2208万円、既存店前年比マイナス2.9%。7月は5カ月ぶりにプラスとなったが、早くもマイナスに逆戻りしてしまった。

1)食料品 7275億3876万円(構成比67.1%)マイナス1.2%
  a)農産品 1041億8242万円(9.6%)マイナス2.7%
  b)畜産品 806億5044万円(7.4%)マイナス0.9%
  c)水産品 632億1986万円(5.8%)マイナス4.0%
  d)惣菜    900億4568万円(8.3%)マイナス1.4%
  e)その他食品 3894億4036万円(35.9%)マイナス0.4%
2)衣料品 812億5287万円(7.5%)マイナス9.7%
  a)紳士衣料 135億9116万円(1.3%)マイナス9.0%
  b)婦人衣料 241億3921万円(2.2%)マイナス10.8%
  c)その他の衣料・洋品 435億2250万円(4.0%)マイナス9.2%
3)住関品 2110億4352万円(19.5%)マイナス5.0%
  a)日用雑貨品 843億4950万円(7.8%)マイナス6.1%
  b)医薬・化粧品 330億7141万円(3.1%)マイナス7.0%
  c)家具・インテリア 487億6834万円(4.5%)プラス2.3%
  d)家電製品 104億5781万円(1.0%)マイナス10.9%
  e)その他商品 343億9646万円(3.2%)マイナス7.7%
4)サービス 28億7122万円(0.3%)マイナス13.2%
5)その他 613億1571万円(5.7%)マイナス5.1%

8月は、住関品の家具・インテリア部門のプラス2.3%以外、軒並みマイナス。婦人衣料、家電製品、さらにサービス部門にいたっては、2桁マイナスとなった。その要因は天候。8月後半は厳しい残暑の影響で、秋物商材が不振だった。さらに台風が連続して襲来したこともあり、厳しい結果となった。


一方、9月21日に発表されたのが「スーパーマーケット販売統計調査 8月実績速報版」。

日本スーパーマーケット協会(JSA)、オール日本スーパーマーケット協会(AJS)、新日本スーパーマーケット協会(NSAJ)の3団体の合同調査。

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8月のスーパーマーケットの総売上高は9182億0228万円で、既存店前年同月比はマイナス1.7%。2カ月ぶりにマイナスに転じた。

部門別は以下の通り。
1)食品合計 8221億9165万円(構成比89.5%) マイナス1.5%
  ①生鮮3部門合計 3051億5715万円(33.2%) マイナス2.9%
   a)青果 1277億2584万円(13.9%)マイナス2.8%
   b)水産 794億8982万円(8.7%)マイナス3.7%
   c)畜産 979億4148万円(10.7%)マイナス2.4%
  ②惣菜 944億3755万円(10.3%)マイナス1.2%
  ③日配 1762億7256万円(19.2%) プラスマイナス0%
  ④一般食品 2463億2439万円(26.8%)マイナス0.8%
2)非食品 707億0961万円(7.7%)マイナス2.7%
3)その他 253億0153万円(2.8%)マイナス5.9%

100%だった日配部門を除いて、すべての部門でマイナスとなった。

日本スーパーマーケット協会の江口法生事務局長の見解。
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「8月はかなり厳しい結果となった。8月は曜日めぐりが良くなく、土日が一日少ない。一日少ないと約2~3%のダウンとなる。さらに新しい祝日『山の日』が加わり、お盆商戦が分散してしまった。また、やはり台風の影響が大きいだろう。今年は8月に4回も台風が来た。例年の8月の台風は平均して1回ほどという状況からみても、天候不順の影響を受けている」

 

「会員企業からの報告では、涼味商材は売れていた。しかし、台風の影響で、野菜の収穫量や魚の漁獲量が激減し、青果と水産の売上げは大幅にダウンした。畜産は国産牛の相場が相変わらずの高値で、売れ行きが鈍っている」

 

「総合的に足を引っ張たのは生鮮3品。生鮮が悪いと、25店舗以下の小規模スーパーマーケットが一番打撃を受ける。生鮮が伸びない場合、グロサリーで売上げをつくらないといけない。しかし、中小は大規模企業と比較してグロサリーの価格競争力が弱い。逆に保有店舗数の多い企業はグロサリーや日配などで、多少なりともカバーできたと考えられる」

スーパーマーケット中核店舗における景況感調査では、景気判断DIの数値が現状判断で40.5(前月からマイナス4.9ポイント)、見通し判断では38.3(マイナス4.1ポイント)と、大幅な悪化となった。このDI数値は「50」に近づくほど良い数値であり、8月がいかに低迷したかがわかる。さらに8月は景気判断、消費者購買意欲、店舗周辺地域景気判断、売上高・客単価・来客数など、すべてのDIで悪化しており、2010年4月の調査開始以来、最低の水準となっている。とくに見通し判断のDIが悪いため、先行きの不安感が一層高まっている。


最後に、小売り主要4業態の8月の既存店の販売動向のまとめ。

スーパーマーケットがマイナス1.7%、
総合スーパーがマイナス2.9%、
そして百貨店にいたっては、マイナス6.0%。

その中でコンビニが唯一、プラス0.6%で健闘をみせた。

しかし、9月に入っても雨の日々は続いている。台風もすでに2つ上陸している。先行きは厳しいが、秋冬物商戦の最盛期。小売業はここが踏ん張りどころである。

 

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