5月百貨店統計|0.04%減の4588億円・三越伊勢丹以外は好調
日本百貨店協会が5月の百貨店売上高概況を発表した。調査対象店舗は80社229店。前月と顔ぶれは変わらず。
したがって売上高=既存店売上高だが、4588億9945万円、0.04%減とわずかにマイナスだった。
円安株高によるストック効果やインバウンドが好調だったことで高額商材は売上げを伸ばしたが、2016年5月に比べ日曜日が1日少なかったことが影響し、全体売上高は昨年に届かなかった。
顧客別に見ると、シェア4.2%のインバウンド売上げは42.8%と6カ月連続で好調を維持。一方、95.8%を占める国内市場は▲1.3%と10カ月連続でマイナスだから、相変わらず国内消費は厳しい。
その中でも主要10都市は対前年同月比0.6%、3カ月連続で増収。
プラスとなったのは4都市で、大阪5.8%、福岡3.1%、札幌1.9%、横浜0.1%。伸び率の高かった大阪や福岡は明らかにインバウンド効果である。
一方マイナスは、神戸▲3.2%、広島▲2.1%、東京▲1.1%、仙台▲0.9%、名古屋▲0.8%、京都▲0.4%の6都市。
10都市以外の地域は▲1.4%。4月度は18カ月ぶりに前年を上回ったが、5月は再びマイナスとなった。九州5.2%、中部0.9%の2地域だけがプラスで、北海道▲10.8%、近畿▲6.2%、東北▲4.9%、四国▲1.8%、関東▲1.7%、中国▲1.4%と6地域はマイナスという結果。
主要5品目の5月の動向を見ると、雑貨と食料品が前年同月を上回った。
[雑貨] 846億0494万円、7.0%増とプラス幅も大きく、6カ月連続。とくに化粧品は17.1%で26カ月連続で好調を維持。また、高額商品の美術・宝飾・貴金属も1.6%と2カ月連続でプラスとなった。
[食料品] 1138億4691万円で0.4%。4月は14カ月ぶりのプラスとなったが、5月も好調を維持した。5月はゴールデンウイークの行楽需要や母の日ギフト、また人気の物産催事などもあり、菓子3.6%、惣菜0.3%と売上げが伸びた。しかし生鮮食品は▲2.6%で38カ月連続と3年以上もマイナスが続いている。
一方、マイナスだったのは次の3項目。
[家庭用品] 199億0730万円で▲5.6%、17カ月連続減。家電は▲16.0%で6カ月連続マイナス。ただし家具は1.7%増と15カ月ぶりにプラスに転じた。
[衣料品] 1493億9471万円、▲3.1%で19カ月連続マイナス。気温上昇で夏物衣料に動きがみられ大都市では下げ止まり傾向だったが、プラスには転じなかった。
[身のまわり品] 623億6187万円、▲0.3%。4月は9カ月ぶりにプラスとなったが、5月は再びマイナス。
プレミアムフライデーは徐々に浸透してきたため、食品・レストランを中心にその効果が表れている。
大手百貨店グループの5月の業績は下記のとおり(%はすべて対前年同月比)。
㈱三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業(三越伊勢丹計+国内グループ百貨店計)▲3.1%。
三越伊勢丹合計は▲3.8%。
気温の上昇により夏物衣料が動いたが、日曜1日減が響いた。
J.フロント リテイリング㈱ +0.6%
婦人シャツ、ブラウス、パラソル、サングラスなどが気温の上昇に伴い好調に推移。化粧品やラグジュアリーブランドなどインバウンド効果も売上げに貢献し、2カ月連続でプラスとなった。
㈱髙島屋 +2.5%
㈱髙島屋および国内百貨店子会社17店舗 +2.0%
円安、株高の影響により、免税や高額品売上げが好調に推移した。とくに化粧品は34.9%と大幅な伸びとなった。
エイチ・ツー・オー リテイリング㈱ 百貨店は+5.4%
阪急阪神百貨店の数字をみると、雑貨が13.5%、家庭用品は12.5%と二桁増。身のまわり品、食料品、衣料品もプラスで好調を維持した。
5月は日曜日が2016年より1日減であった影響を協会は挙げているが、エイチ・ツー・オー リテイリング、髙島屋、J.フロント リテイリングは好調だ。三越伊勢丹ホールディングスだけがなぜマイナスなのか。大西洋社長退任・新体制移行。ここが問題か。
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