8月百貨店統計|夏休み集客・インバウンド・秋物衣料が牽引して2%増

日本百貨店協会が8月の百貨店売上高概況を発表した。調査対象店舗は80社227店。売上高は4127億6677万円、前年同月比2.0増と2カ月ぶりにプラスとなった。

富裕層やインバウンド需要により、高額品が売上げを伸ばした。衣料品は、気温低下により秋物衣料が堅調に推移した。マイナス幅も小さく▲0.1%にとどまった。また、夏休みシーズンにファミリー層向けの催事を展開したことが集客に結びついた。

顧客別に見ると、シェア5.2%のインバウンドは、売上高215億円で70.2%と大幅な伸び。過去4番目となる売上高を記録した。1人あたりの購買単価は6.7万円で、これは昨年から約2割増となっている。
一方、94.8%を占める国内市場は▲0.2%だが、マイナス幅は小さかった。

地区別に見ると、主要10都市の対前年同月比は3.5%と2カ月ぶりにプラス。
大阪8.6%、札幌8.0%、仙台6.7%、東京3.6%、福岡3.0%、横浜1.6%、神戸0.7%と7都市が好調。一方3都市はマイナス。広島▲1.9%、京都▲1.7%、名古屋▲0.9%。

10都市以外の地域は▲1.4%で4カ月連続減少。
プラスだったのは、関東2.0%、東北1.0%の2地域。
近畿▲9.7%、北海道▲8.7%、九州▲3.2%、中部▲1.5%、四国▲1.3%、中国▲1.3%の6地域は昨年を下回った。

大都市と地方都市で明暗が分かれる結果は変わらない。

主要5品目の8月の動向を見ると、雑貨と身の回り品が前年同月を上回った。
[雑貨] 828億3257万円、11.2%と二桁増で9カ月連続でプラス。化粧品は19.5%と29カ月連続で好調。美術・宝飾・貴金属も9.9%、5カ月連続で増収。
[身の回り品] 545億9024万円、3.5%で2カ月ぶりのブラス。ラグジュアリーブランドが好調だった。

一方、3項目はマイナスとなった。
[衣料品] 1091億4069万円、▲0.1%で22カ月連続。しかし紳士服は3.4%で13カ月ぶり、子ども服は1.2%で2カ月ぶりにプラスに転じた。婦人服は▲0.3%とマイナスが続いている。
[家庭用品] 180億0572万円、▲9.1%で20カ月連続前年割れ。家電は▲44.0%と大幅な減少で、家具も▲13.1%の二桁減。
[食料品]1188億3345万円、▲0.2%で3カ月連続マイナス。生鮮食品は▲2.1%と41カ月マイナスが続いているが、菓子0.3%、惣菜0.3%と、ともに2カ月ぶりにプラスとなった。

大手百貨店グループの8月の業績は下記の通り(%はすべて対前年同月比)。

(株)三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業(三越伊勢丹合計+国内グループ百貨店合計)+2.4%。
三越伊勢丹合計は+2.3%。
化粧品、高額品、インバウンドが売上げを伸ばし、また低温の影響で秋物衣料にも動きが見られた。とくに夏休みを利用した来店客の購買が全体の売上げアップにつながった。

J.フロント リテイリング(株)  +2.3%
化粧品、ラグジュアリーブランド、美術宝飾品が好調だった。大丸松坂屋のインバウンド売上高は前年比87%増、客数55%増、客単価20%増と大幅な伸びとなった。また紳士服は5カ月連続でプラスを維持している。

(株)髙島屋 +2.4%
髙島屋および国内百貨店子会社 +2.8%
インバウンド売上げは54.7%と大幅な伸び。ジャケットなどの秋物衣料にも動きが見られた。

エイチ・ツー・オー リテイリング(株)  百貨店は+3.1%
雑貨は14.2%と二桁増。身の回り品は7.3%、家庭用品3.7%、衣料品も1.5%と好調に推移したが、食料品だけが▲3.3%と不調に終わった。

8月はインバウンド需要、夏休み集客、そして秋物衣料に動きが出てきて、大手百貨店4社が揃ってプラスとなった。

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