ヤオコーnews|「第9次中期3年経営計画」発表/2021年売上高4550億円目指す

(株)ヤオコー(埼玉県川越市、川野澄人社長)は5月14日(月)、2021年3月期を計画最終年度とする「第9次中期経営計画」を発表した。

メインテーマとして、高らかに「『ヤオコーウェイ』の確立」を掲げた。「ヤオコーウェイ」とは、ヤオコーの普遍的な価値観や考え方に基づいて、売場づくり・オペレーション・教育・利益確保を具現化する体系のこと。

そのために二つの目標を設定する。
「お客様、働くメンバーがヤオコーの側(そば)で幸せを感じられる会社に」
「お客様の買い物、生活体験を『快適(ストレスフリー)』で楽しく豊かなものに」

業績目標は、計画最終年度の2021年3月期には、連結では売上高4550億円、経常利益180億円、経常利益率4.0%、期末店舗数192店を見込む。ヤオコー単体では売上高3900億円、経常利益164億円、経常利益率4.2%、期末店舗数178店を目標としている。

そして長期目標を店舗数500店舗・売上高1兆円、中間目標を店舗数250店舗・売上高5000億円とした。つまり将来は1兆円企業を目指すということだ。

この中期計画の優先課題は2点ある。第1は「チェーン」を強くする構造改革を行うこと。そのために店舗作業を削減し、システム刷新に合わせた業務の「見える化」と「標準化」を行う。

第2は商圏内シェア、とりわけ1km商圏内のシェアをアップさせること。そのために自社の強み(品揃え・ご馳走・接客)の再強化と、頻度品(野菜と日配)での絶対的信頼の獲得が優先課題となる。

重点政策と重点目標は、従来通り4つの戦略として整理されている。

第1に、商品・販売戦略は、優先課題に掲げられた「1km商圏内のシェア25%」の実現を目指す。
そのために⑴基本レベル(鮮度・クリンリネス・欠品・接客)の向上、⑵青果で選ばれる店づくり、⑶ヤオコーでしか買えない商品づくり、⑷販売力アップ(単品量販、メニュー提案)を実現させる。

第2に、運営戦略は、その目標を「店舗作業15%削減」と「既存店MH(マンアワー、人時)売上高の向上」を実現させる。

具体的には、⑴カイゼンの定着・浸透・進化、⑵新情報システムによる効果創出(業務の効率化・高度化)、⑶デリカ・生鮮センター、新物流センターの機能活用が明確化されている。

第3に、育成戦略では、目標を「働き甲斐の向上、労働環境の改善」として、⑴採用・定着・教育の継続、⑵主任中心のチームが輝くための教育・サポート体制確立、⑶「考えが分かる」「顔が見える」組織づくり、⑷多様な人材が活躍できる職場づくり(ダイバーシティ)を上げる。

最後に第4の出店・成長戦略では、目標はシンプルで、「5%成長の達成」を目指す。そのために⑴新規出店(ドミナント出店)、⑵計画的な改装の継続、⑶エイヴイ業態のノウハウ習得、出店検討、⑷Eコマース対応のモデルづくりが提示されている。

【結城義晴の述懐】ヤオコーらしい「堅い中期3カ年計画」である。しかし2021年3月期に4550億円を掲げ、中間目標を250店5000億円、長期目標を500店1兆円という「夢」を明らかにした。計画には、シンプルな数字目標とそれを具体的に実現させる行動目標が必要である。ヤオコーの第9次中期経営計画にはそれがあって、さすがにヤオコーだと思わせる。4つの戦略は従来通りで、これを変える必要はない。
月刊商人舎2017年10月号では「中計病の処方箋」を特集した。そのなかで、ピーター・ドラッカーの「戦略計画」の考え方を示した。すなわち、「リスクを伴った意思決定」⇒「体系的な組織づくりと実行」⇒「成果と目標の比較・検証」の3つのプロセスである。私も、戦略的な経営計画のためには「リスクを伴った意思決定」が必要だと思うし、2020年問題が控えている現在、リスクを伴った意思決定は必須だ。ヤオコーにおけるそれはエイヴイというディスカウント企業を子会社化したことである。成長戦略のなかで、「エイヴイ業態のノウハウ習得」という課題が掲げられているが、これはヤオコーの成長に破壊的イノベーションをもたらすかもしれない。そうではないかもしれない。それがわからないところにリスクがあるのだ。

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