サミットnews|川崎塩浜精肉プロセスセンター/インストアとのハイブリッド

サミット(株)(東京都杉並区、竹野浩樹社長)が神奈川県川崎市川崎区に、精肉プロセスセンター(PC)を開設し、12月5日からテスト稼働を開始した。2019年1月下旬からの本格稼働を前に、1日4000パックを生産している。


サミット川﨑塩浜プロセスセンター。

場所は首都高横羽線大師ICから2㎞ほどの塩浜2丁目。もともと臨港バスの操車場があったところだ。ここに臨港エステートが物件を開発して、それを住商フーズ(株)が借り受け、その3階および1階一部をサミットがさらに借りて利用する形態をとっている。

サミットの「生鮮食品のインストア加工方式は業界内でも定評のあるシステムである。「ジャスト・イン・タイム方式」と呼び、売場で売れた分をバックヤードで商品化するという仕組みである。これまでサミットの生鮮部門の商品力を支えてきた。

しかし、都心小型店の開発を進めるなか、バックスペースに作業場の広い面積を割けない。サミットは店舗面積の約3分の1をバックヤードに振り当てる。基本的な作業システムは変わらないから、都心小型店はバックヤードが相対的に広くなる。売場にしたいところをバックヤードに充てる。プロセスセンターはこの問題を解決してくれる。

さらに店舗における採用難は深刻だ。その一方で、センター方式の技術革新は格段に進んでいる。温度管理システム、生産機器システム、さらには協力ベンダーの技術力も上がっている。その結果、店内加工と同等の商品化が可能になったと判断して、サミットは精肉PC開発に踏み切った。PCで生産されるアイテムは、豚肉(国内産、アメリカ産)、赤どり、合鴨、ラム、鶏ひき肉、牛豚ひき肉原料。

これらPC生産の商品を導入するかどうかは、3つの店舗タイプに応じて活用度合いが分かれる。大型店を中心とするインストア加工主力店舗、PC・インストア併用のハイブリット店舗、バックヤードスペースが割けないような小型店のPC活用店舗だ。もちろん、どのアイテムをどれだけ採用するかは、店舗が判断する。

施設は3階建てで、1階から3階の延べ床面積は8271.8㎡。そのうちサミットの専有面積は3112.7㎡(約943坪)である。3階を精肉のPCとして、1階には惣菜用の油小分け室(19年4月稼働予定)、クレートの洗浄ライン、商品仕分け室や商品出荷のための大気冷蔵庫などを配置している。もちろん1階には住商フーズと共有する入出庫スペース等がある。

屋外に設けられたオイルタンク。

新設された精肉プロセスセンターには4つの特徴がある。

第1は、チルド原料を使用した鶏ひき肉の商品化など、店舗のインストア加工による商品化と同等レベル、同等品質をつくって提供できる設備であることだ。

第2にノントレー商品の高速包装ラインを設けている。これはKP150という菓子包装のシステムを利用しているもので、PCでは初の取り組みである。サミットでは環境対策として精肉のノントレー商品を積極的に導入、販売している。そのまま冷凍できる商品として、お客にも好評だ。ただしノントレー商品はパック商品に比べて生産効率が落ちる。これをPCによって引き上げようというわけだ。

第3が温度管理の徹底。チルド商品を扱うだけに、作業場は8℃、原料通路は4℃の設定で鮮度が維持される作業環境になっている。

そして第4は、開発されて2年以内といった最新機器を導入している。高速スライサーギャラクシー2台、自動ベンディングスライサーAZ2台、ミンスパッカーMP083(半自動ひき肉製造機)、チルドダイサー(チルド原料角切り機)、高速包装値付けライン4ラインなどだ。

これらの最新ラインで日産6万パックの商品化が可能となる。1月下旬から本格稼働を開始して、当面は稼働時間8時から19時までの11時間で、8000パックを生産して、24店舗に供給する。そして2020年3月期には最終目標の日産5万パックを目指す。

生産された商品は、大井物流センター(対象84店舗)、浦安物流センター(対象30店舗)へ配送され、各店舗に納品される。店舗からの発注は18時を締め切りとして、翌日生産され、翌々日の朝に店舗に納品される。当面は1日1便だが、将来的には1日2便配送の態勢になる。

サミット川﨑塩浜PCセンターの伊藤真義センター長は、開発までに30カ所以上の他社のPCを見て回った。


伊藤真義センター長。精肉バイヤー歴20年。さらに店舗運営部や商品部長など歴任。

最新機器導入だけでなく、作業環境やオペレーションの工夫にも注力している。たとえば、チルド原料を扱う際に手の温度が伝わらないよう、独自の盛り付け器具も用意している。サミットは日本随一の作業システム体系を持つ。そのレイバースケジューリングシステムは自ら高い生産性を上げると同時に、多くのスーパーマーケット企業が学んでいる。川崎プロセスセンターもまた、そうした基本思想で設計されている。

■川崎塩浜プロセスセンター概要
所在地/神奈川県川崎市川崎区塩浜2-12-21
構造/鉄骨造地上3階建て
フロア構成/
3階:プロセスセンター(作業場・冷蔵庫・冷凍庫)、事務所、休憩室など
2階:住商フーズ(株)スペース
1階:入・出庫スペース、商品仕分け室、総菜用油小分け室など、住商フーズ(株)スペース
敷地面積/5328㎡
延床面積/8271.8㎡
サミット占有面積/3112.7㎡
入・出庫バース/12バース
センター長/伊藤真義
社員数/50人(正社員10人、パート・アルバイト40人)※P/A社員は173時間/月=1人で計算
稼働時間/8:00~19:00

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