ダイエー 中期経営計画のキーワードは「都市」「シニア」「中食」

ダイエーは8日、2014~16年度の中期経営計画を発表した。中計最終年度に営業収益8500~8700億円、営業利益85億円以上、経常利益75億円以上、当期純利益35億円以上の実現を目指す。昨年8月にイオンの連結子会社となったダイエーは、先に発表されたイオングループの中計目標を達成するため、今後3カ年でイオンリテールとともに小売事業の中核的な役割を担うことになる。

 

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イオンはグループ共通の戦略として従来からの「アジアシフト」「都市シフト」「デジタルシフト」「シニアシフト」の4シフトの深耕に加え、マーケティングとマーチャンダイジングによる「商品本位の改革」の推進を掲げている。

 

この中でダイエーは、都市部に所有する店舗の立地優位性を活かすため、主に「都市シフト」と「シニアシフト」の具現化を担う。

 

今回策定した中計では、基本方針を「シェア拡大にともなうダイエーブランドの再構築」とした。後段の「ダイエーブランドの再構築」という言葉。この中には、かつて日本の小売業No.1の地位にまで上り詰めたダイエーのプライドを、イオン統合後にプラスに作用させる意図がある。ありたい姿として掲げるのは「買い物を通じて、お客様に新たな喜びや価値を提案する『生活支援事業』」。つまり、これがコンセプトとなる。

 

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中計の戦略上のターゲットとなるのは、ダイエーの店舗が立地する都市部の顧客だ。人口減少高齢化という人口動態の変化を捉え、「働く女性」「単身者」「プレシニア層」に照準を合わせる。プレシニア層とはイオンが唱える「グランド・ジェネレーション」、いわゆる「G.G」のことだ。

 

この基本方針をブレークダウンした具体的な事業戦略は3つ。「収益力の向上」「利益率の改善」「人材の活性化」だ。

 

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収益力の向上では総合スーパー(GMS)の「ダイエー」、食品スーパーマーケットの「グルメシティ」、小型ディスカウントストアの「ビッグ・エー」の3つを主力フォーマットと位置づける。ダイエーとグルメシティは中食を強化した新しい店舗モデルを構築し、老朽化が進む既存店を活性化する。ビッグ・エーは増税後の消費者の低価格志向に対応した小型プロトタイプ店を中心に、新規出店を加速させる。また、店舗の開店時間をイオンと同様に朝7~8時に前倒しし、電子マネー「WAON」も導入することで利便性を向上させ、新規顧客を獲得する。

つまりダイエーもイオンの基本方針である「マルチ・フォーマット戦略」を鮮明にして、三つのフォーマットでマーケットシェアを高める政策を採るということになる。

 

さらにダイエーのグループ子会社も活用する。婦人服専門店「ロベリア」やクレープ・アイスクリーム専門店「ディッパーダン」などがイオングループ店舗への出店を進めるほか、食品加工子会社のアルティフーズもイオングループ店舗への商品供給を拡大させる。

 

利益率の改善は、惣菜を中心とした付加価値の高い中食に加え、粗利益率の高い服飾雑貨や調剤、医薬品などを拡大することで実現する。イオンのプライベートブランド「トップバリュ」も拡販する。在庫適正化や廃棄ロスの低減などにも取り組む。

 

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人材については、店舗運営の要となる店長や売場責任者に対する教育の提供を増やす。パートタイマーも採用を積極化し、役職へも登用していくことで、接客の質を向上させる。イオングループとの人材交流も継続し、ノウハウの共有に取り組む。

 

ダイエーが同日発表した2014年2月期連結決算は、営業収益8136億円(前年同期比▲2.1%)、営業損失▲74億円、経常損失▲93億円、当期純損失▲243億円だった。中計初年度となる2015年2月期は営業収益8300億円(前期比2.0%増)、営業利益20億円、経常利益ゼロ、当期純損失▲60億円を見込む。

 

検索キーワード: ダイエー 中期経営計画 イオン

 

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