アマゾンnews|「プライベートブランドストア」2014年7月29日オープン!
アマゾンジャパンのサイトに「プライベートブランドストア」がオープンした。
開店日は7月29日(火曜日)。
プライベートブランドは、小売業・卸売業の自主企画商品。
だから本来、その企業の店、そのチェーンストアでしか買えない商品群ということになる。
それらの商品を、アマゾンのサイト内で買うことができるようになった。
「プライベートブランドストア」という名称で、サイト内インストアの形でお披露目した。
専用ストアの部門カテゴリーは12分類されている。
①Amazonベーシック
②DIY・工具
③食品&飲料
④ホーム&キッチン
⑤文房具・オフィス用品
⑥ヘルス&ビューティ
⑦スポーツ&アウトドア
⑧ペット用
⑨ガーデニング用品
⑩カー・バイク用品
⑪パソコン・周辺機器
⑫家電・カメラ
スタート時点の小売業は、15社で、総品目数3万2000品。
これらも企業の商品が12のカテゴリーに分類されている。
価格はそれぞれの店頭売価と同じ。
ここが問題。
アメリカなどでは通常、自社サイトで販売する場合、店頭価格よりもネット価格は10~15%安くする。
在庫するリスクがない、店頭でのオペレーションコストもない。
店舗を構えるイニシャルコストもない。
だからその分安くする。
しかしこの場合、小売業はアマゾンに手数料などを払っている。
だから店頭価格と同じで、「一物一価」。
参加企業は、まず高級スーパーマーケットの成城石井。
ドラッグストアのマツモトキヨシ。
この2社が加わったことで、総合的品揃えが出来上がったし、12部門が完結した。
ホームセンターは企業数が多くて、DCM、カインズ、ビバホーム、ケーヨーデーツー、ヒロセ。
それに東急ハンズ、
オフィスサプライのカウネットと工具通販のモノタロウ。
スポーツはアルペングループとスポーツオーソリティ、eスポーツ。
さらにペット用品は、コジマとペットビジョン。
今のところ15社だが、積極的に参加企業を増やし、対象商品も広げていく。
もちろんアマゾン・ドットコム自身のプライベートブランドもアソートに加える。
参加企業を見ると、いずれも既にアマゾンの仮想商店街型「マーケットプレイス」に出店している。もちろん自社サイトでもEコマースを積極展開している企業ばかりだ。
だから例えば成城石井のPBはこれまでもアマゾンで買うことができた。
今回、それらをあらためて集合させて「プライベートブランドストア」を構築したことになる。
リアル店舗も同じだ。
あるコンセプトの店舗を、それだけ集めるとショピングセンターになる。
プライべートブランドのネットショッピングを集めて、「プライベートブランドストア」にした。
これが強いインパクトをつくる。
アマゾンジャパンには現在、なんと5000万品目以上の品揃えがある。
そこからアイテムを絞ったり、選んだりするのは、ひどく困難だ。
だから「プライベートブランドストア」の意味も出てくる。
このストアでは購入履歴を活用して、個別にお薦めの商品を紹介する。
つまりPBの切り口で関連販売や推奨販売を試みる。
成城石井など4社は、アマゾンの物流サービスを利用して、商品の発送をする。
購買者は、他の商品とまとめて配送してもらえる。
もちろんアマゾン独自のサービスは付加されて、即日配送も可能だ。
Amazon.comの本拠地は米国ワシントン州シアトル市。
CEOジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)が1995年に設立し、最新決算の年商は 775億5100万ドル。
1ドル100円換算する7兆7551億円で、日本のイオンの年商を上回る。
米国内年商は439億6200万ドルで、全米チェーンストアランキング9位。年間伸び率は27.2%。
そのAmazon.comが展開しているのは、アメリカの他に7カ国。
イギリス、ドイツ、フランス、日本、カナダ、イタリア、中国(Joyo.com)。
さらに世界各地50カ所を超える物流センターを設置している。
Amazon.comは2000年から、eコマースのプラットフォームを他の小売業に提供し始めた。
今や巨大小売業が、Amazon.comが提供するサービスを用いて、販売促進、カスタマーサービス、受注処理などを行っている。
さらに、新商品の付加的な販売チャネルとしてAmazon.comを利用する小売業もある。
「プライベートブランドストア」はまさにそれだ。
ただし、プラベートブランドは本来、自社、自店のポジショニングのために開発し、販売する。
自社の店舗が出店していないエリアに、アマゾンでネット販売するメリットはあるだろう。
成城石井のようにもともとプライベートブランドを卸売りする小売企業にとっては、うってつけのチャネルである。
しかし激しい店舗間競争を展開している企業が、もし、有力なプライベートブランドを持っているとして、それをアマゾンでも買えるようにするとなると、店頭の競争力は確実にそがれる。
それにしても多くの企業が店頭とEコマースのマルチ・チャネル戦略を採っている。
ならば最大サイトのアマゾンでも販売しよう。
そう考えるのも自然な成り行きだ。
私は、「儲かるは胴元ばかりなり」ではあると思うのだが。
〈結城義晴〉