イオンのアジアシフトは現地幹部育成から
海外展開を加速しているイオンが、
現地経営幹部の育成に
本格的に取り組み始めた。
イオンは2011~2013年度の中期経営計画で
4つの成長領域を設定。
「大都市シフト」「シニアシフト」「デジタルシフト」と並んで
「アジアシフト」をトップに掲げる。
特に中国とアセアンを重点地域とし、
2012年度には中国本社とアセアン本社を設立して
アジア3本社体制となった。
2013年2月末の従業員数は
中国本社1万3471人、アセアン本社1万0771人。
いずれも臨時従業員は含んでいない。
国際連合の統計によれば、
アセアン各国の2010年~2015年の人口(出生中位)は、
シンガポールの2.02%を筆頭に、
ラオス1.86%、カンボジア1.75%、フィリピン1.71%、マレーシア1.61%、
ブルネイ1.35%、インドネシア1.21%と高い成長率が続く。
中国(香港、マカオを含む)は1.04%。
ちなみに同期間の日本の人口成長率は▲0.08%。
イオンがアジアシフトを鮮明にする理由はここにある。
さて、いくら海外に資本を投じても、
現地でビジネスを成功させるには現地化が欠かせない。
ことに小売業は、製品の提供と同時に人的サービスが必ず介在することから、
現地の事情をよく知り、本社の戦略を実行に移せる人材の育成がカギとなる。
だから、イオンは「グローカル戦略」を打ち出し、
グローバル化とローカル化(現地化)を同時に進めようとしている。
2日の日本経済新聞の記事によれば、
イオンは7月1日からアセアン本社で現地管理職向けの教育プログラム
「BMP(ベーシック・マネジメント・プログラム)」を開始。
約半年間にわたりイオングループの現役社長や外部の専門家から、
財務、組織論、マーケティングなど経営者に必須の知識を学ぶ。
第1期生はマレーシアやカンボジアなどの現地法人8社から
部長職を中心に27人が集まった。
アセアン本社では今後も事業拡大が見込まれることから、
年間30人前後の経営幹部候補を育てる。
これはイオンが実施している日本の研修の3倍にあたる人数。
中国本社でも「中国経営人材開発委員会」を新たに設置し、
1万3000人以上の現地社員の中から幹部候補を「発掘」する。
こちらはBMPよりも上級コースの
「NMP(ニューマネジメント・プログラム)」。
5月24日に開校した「イオン清華学院」は、
北京市の国立・清華大学とのパートナーシップによる。
この学院では、経営戦略、マーケティング、ITなどを教え
10年間、毎年20人ほどの幹部候補を育成する。
中国では「トップバリュ」の中国独自製品を、
2012年3月から投入したが、
2013年度末までに1000品目まで拡大させる方針。
また、アセアンでは2014年以降にSCを次々にオープンさせる。
ベトナムで「イオンタンフーセラドンショッピングセンター」(仮称)、
イオンの2012年度の中国事業とアセアン事業の売上高は
それぞれ1130億円(前年比110.0%)、1033億円(118.6%)。
成長著しいアセアン事業では、
2013年度の売上高を前年比74%増の1800億円に引き上げる計画だ。
イオンは、中国とアセアンでモール型SCやGMSのほか、
金融事業、サービス事業などグループの総合力を活かした展開を目指している。
今回スタートした教育プログラムが輩出する経営幹部が
イオンのこの大規模なアジアでの成長を担うことになる。
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