Amazon news|通期売上高31%増の2329億ドル/純利益232%増の絶好調

アマゾン・コム(ワシントン州シアトル市、ジェフ・ベゾスCEO)が2018年12月期の第4四半期および通年の実績を発表した。

12月31日で終わった第4四半期の売上高は、前年同期比20.0%増の723億8300万ドル(1ドル100円換算で7兆2383億円)、営業利益は78.0%増の37億8600万ドル、純利益は63.1%増の30億2700万ドル、1株当たりの利益は61.1%増の6.04ドルで、売上高対比の営業利益率は5.2%だった。まだまだ絶好調は続く。

年末の小売り商戦が好調だったことや、利益率の高いクラウド事業、広告事業などが業績をけん引した。その結果、最終的な利益が大幅に増えて、3四半期連続で最高益となった。

第4四半期の部門別の売上高は、北米部門が18.3%増加して441億2400万ドル、国際事業が15.5%増加して208億2900万ドル、クラウド事業のアマゾンウェブサービス(AWS)が14.5%増加して74億3000万ドルだった。

CEOのジェフ・ベゾスは決算会見で語っている。
「ホリデーシーズン中、アレクサ(Alexa)は非常に忙しかった。エコー・ドットはアマゾンの全世界、全製品を通じて最も売れた商品であり、顧客はエコー・ファミリーのデバイスを昨年より数百万台多く購入してくれた。アレクサに関わっているリサーチ・サイエンティストの数はこの1年で2倍以上に増え、このチームが懸命な働きをしてくれた」

売上成長率は、北米部門は18%増だが、昨年同期の42%から減速している。国際事業も22%増から16%増に減速、AWSだけが44%増から46%増に増加している。

2018年通年では売上高が30.9%増の2328億8700万ドル、営業利益は202.5%増の124億2100万ドル、純利益は232.1%増の100億7300万ドル、1株当たりの利益は227.5%増の20.14ドルだった。

2018年通年で、最も営業利益を生み出したのはAWSで、北米部門のEC事業を僅差で抜いた。AWSは前年比47%増の72億9600万ドル、北米EC事業は21%増の72億6700万ドルだった。しかし、それだけの営業利益を生み出すために要した売上高が、北米は1413億6600万ドル、AWSは256億5500万ドルだった。注目に値する高収益事業である。北米ECは小売事業、AWSはITサービス事業。サービス業の付加価値の高さが際立つ。

一方、ホールフーズ・マーケットが中心となるリアル店舗の第4四半期売上高は前年度より3%減少して44億ドル、通年では総額172億ドルだった。

ホールフーズ・マーケットの売上げ減少は、売価引き下げの影響もあると思われるが、実際、かつてのような成長を果たしていないのだろうと推測できる。北米部門のオンライン売上げも、成長率が下がってきており、ウォルマートを筆頭に競合他社のデジタル販売が追いついている状況を示している。多くの競合他社が無料配達で提供し始めており、プライム会員の特典も効果が薄れてきている。会員更新率に影響が出るかもしれない。ただ、利益は記録を更新しており、今後の新分野進出と設備投資に拍車がかかるだろう。

【結城義晴の述懐】絶好調の年度決算で、売上高31%増、営業利益203%増、純利益232%増。しかし、問題点が2点ある。

第1は、オンライン小売業事業の成長に鈍化が見られること。ウォルマートをはじめとする既存リアル小売業の急追は激しい。例えばクローガーとウォルグリーン・ブーツ・アライアンスはネット事業で協業を始めた。CVSヘルスとターゲットも同盟を組む。そしてマイクロソフトがアンチ・アマゾンでリアル店舗小売業にすり寄っている。その代わりにアマゾンはAWSのITサービス業で収益を確保し、Amazon GoはAmazon4starなどのリアル店舗に打って出た。競争は新しい局面に入りつつある。

第2は、創業者兼CEOジェフ・ベゾスの離婚だ。夫人のマッケンジー・ベゾスとの離別は元に戻らない。結果として、ジェフ・ベゾスCEOの個人資産約1370億ドル(13兆7000億円)は、彼らが居住するワシントン州の夫婦共有財産制によって、半分がマッケンジー夫人のものとなる公算が高い。しかも財産の多くはアマゾンの株式とリンクしている。そこで株式の安定性に危惧が生まれる。

果たして、Amazonの快進撃は続くのか。週刊誌ネタのレベルの問題も絡んで、成り行きが注目される。

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