Targetの豪州進出を阻む同名企業の謎

全米第3位の巨大小売業ターゲット。
その
2013年度第2四半期決算が先週、発表された。

target-usa

売上高が前年同期比プラス4.0%の171億1700万ドル。
商人舎はずっと1ドル100円換算で報道しているが、
ターゲットの売上高は3カ月で1兆7117億円。
日本最大小売業のイオンよりも規模は大きい。

純利益はマイナス13.2%の6億1100万ドル。
ターゲットの第2四半期は増収減益となった。

米国内の既存店売上高はプラス1.2%。
オンライン販売が好調な一方で、客数の減少が見られた。

今年はカナダへ国外初進出し、精力的に新規出店をしている。
カナダでの営業を開始してから早5カ月が経過するが、現在68店舗を展開中。
年度末までにあと56店舗、計124店舗に拡大させる方針。

さて、1962年にターゲット1号店をオープンしてから、
今年の2月まで米国内での営業に力を注いできたターゲット。
ようやく3月から国外へ一歩踏み出したことで、今後さらなる海外進出も予想される。

しかし、それを阻む企業がオーストラリアに存在する。
その名も「Target Australia ターゲット・オーストラリア」。
オーストラリアの主要都市に約300店舗を構え、
2012年度の年商は37億ドルにのぼる。

target-australia

スローガンは上記ロゴにあるように、「get more. pay less」
そしてアメリカのスローガンはこちら。(ターゲット企業HPより)
expect-more-pay-less

ターゲット、いつの間にオーストラリアに進出してたのか?
という疑問が浮かび上がってしまうほど、
「ブルズアイ」と呼ばれる的(まと)のロゴも、
企業スローガンも酷似している。

しかし、米国ターゲットと豪州ターゲットはまったくの別会社なのである。
いったい、これはどういうことなのか。

通常、「登録商標」というものはその登録した1カ国でのみ、保護される。
つまり、企業は自社名やバナー名を他国企業に使用されたくない場合、
世界各国でそれぞれ登録しなければならない。

1962年にオープンした米国ターゲットは
オーストラリアで「Target」の商標を登録していなかったため、
1968年に豪州ターゲットが誕生してしまったのだ。

正式なライセンス契約などは交わされてはいないが、
当時、双方のトップは「非公式な会話」をしたと伝えられている。

50年前、小売業は地元に根づいた業態であった。
現在のような小売企業のグローバル化が進むとは考えられておらず、
お互いがライバル会社となることを想像すらしなかったのだろう。
よかれと思って、気軽にロゴなどの使用を許可をしてしまったと推測される。

しかしそれが今となっては、
お互いの首を絞める結果となってしまっている。
なんとも皮肉な話である。

これはターゲットに限った話ではない。
日本でもたびたび、中国などですでに商標登録されてしまっていて、
海外進出が難しくなるというケースが報道されている。

商標問題は海外進出企業にとって、最も重要で根本的な弊害となってきた。

 

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