コールズnews|7月からアマゾン商品の返品を全店舗で受け付け開始

米国ジュニア・デパートのコールズ(ウィスコンシン州メノモ二―フォールズ、ミシェル・ガスCEO)は、4月23日、アマゾン・ドット・コムのサイトで買った商品の返品を全店舗で受け付けると発表した。

DSCN8953.JPG-7

コールズは昨2018年10月からロサンゼルスやシカゴの82店舗において、アマゾンで買った商品の無料返品サービスを試験的に開始している。7月からは、これをハワイ州を除く全米49州で展開する約1150店舗に拡大する。

この返品サービスを行う「返品カウンター」には専任スタッフが常駐し、返品を受け取るだけのサービスを行う。返品は無料で、利用者は返品理由を尋ねられることもなく、返品確認書が渡され、なぜかコールズの25%オフのクーポン(7日間有効)券までもらえる。

アマゾンは、購入の簡単さと同様、返品の簡便さにも力を入れており、「返品」をクリックするだけで、返品送付状がプリントアウトできるようになっている。しかし、さすがにそれを郵便局に持っていくところまでは自動化できない。アメリカにはFEDEXという世界最大の物流業・宅配業はあるが、日本のように丁寧な宅配便がないから、郵便局に時間内に行って、行列に並ばねばならない。その不便を解消してくれるのがコールズの店舗というわけだ。

ゴードン・ハスケット社の調査によると、「返品カウンター」導入後は、返品だけに留まらず、コールズでの買物や帰宅後のオンライン購入へとつながっていることがわかった。コールズは消費者に便利なネイバーフッドショッピングセンターやロードサイドモールで運営しているため、返品したい商品を週末の買物ついでや仕事帰りに簡単に持ち込むことができるのだ。

コールズのミシェル・ガスCEOは「これはコールズの強力で全国的な店舗網と、アマゾンの顧客基盤を組み合わせたオムニチャンネルのユニークな連携です。このパートナシップが、顧客のロイヤルティを高め、来店効果を高めると思います」と述べている。

ミシェル・ガスCEO

先月、コールズとアマゾンは、コールズの200店舗でアマゾンの商品を取り扱うことを発表したばかりだ。すでに2017年末、ロサンゼルスとシカゴのコールズの一部店舗で「Amazon Smart Home Experience(アマゾン・スマート・ホーム・エクスペリエンス)」を実験的に開設している。この店舗内店舗で、スマートスピーカーの「アマゾン・エコー(Amazon Echo)」などエコー・ファミリーのほか、ファイアーTV、ファイアータブレット、キンドル電子書籍リーダー、アクセサリーなどの商品を販売している。アマゾンのスタッフも常駐していて、製品の説明やデモンストレーションなども行っている。

【結城義晴の述懐】「アマゾン・イフェクト」の脅威に対して、さまざまな囲い込みが展開している。例えばクローガーとウォルグリーン・ブーツ・アライアンスはネット事業で協業しているし、CVSヘルスとターゲットも同盟を組む。ウォルマートは、ドラッグストアチェーンのCVSヘルス傘下のPBM(Pharmacy Benefit Manager:薬剤給付管理会社)のCVSケアマークとの調剤処方のネットワークに入っている。さらにマイクロソフトはアンチ・アマゾンでリアル店舗小売業と連携する。その囲い込みに対して、アマゾンはホールフーズを買収し、いま、コールズと品ぞろえや「返品」で連携する。アマゾンとの協業をするのは、ちょっと弱った会社であることが特徴的だ。

関連カテゴリー

海外 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧