ウォルマートnews|「ゼロエミッション」目標への取り組み
ウォルマート(アーカンソー州ベントンビル、ダグ・マクミロンCEO)は 2020年に2040年までにウォルマートのグローバル事業全体でゼロエミッション(Zero Emission)を達成するという目標を設定した。
ウォルマートは、毎年1万2000人のドライバー、1万台のトラクター、8万台のトレーラーが11億マイルを走行する、米国で最大の配送ネットワークを運営している。これは、2020年のスコープ1(Scope1)排出量の約24%を占める。スコープ1とは、自社で直接廃棄される二酸化炭素(電源供給施設の排気ガスは含まない)のこと。
このスコープ1の排出量を減らすため、化石燃料に代わる3つの燃料を利用する計画を発表した。
1つ目は液化天然ガス。
液化天然ガスを使用する車両は、従来のディーゼル車両の700マイルの走行距離に当たり、深夜運行のトラックに適している。使われる再生可能なガスは、バイオメタンガス素材で、二酸化炭素排出に比べて、熱排出が1/25となる。また、バイオメタンガス製造過程で廃棄されるガスを含めても、全体で排出量が減ると言われている。来年からカマンズ社のエンジンを搭載したトラックが数台テスト導入される。
2つ目は水素。
排気ガスの出ない水素を使った車両も将来性がある。既に一部の配送センター内のフォークリフトの燃料として、液体水素を利用している。現在のところ水素はそのフュエルセル・エンジンと同様に高価であるため、長距離トラックにはまだ使用する計画はなく、施設内のヤード・トラック用として考えている。しかし数カ月以内に、キャパシティー社が製造する第2世代の水素フュエルセル・エンジン搭載トラックをテスト使用する予定だ。この車両は、1回のリフィルで10時間運行することができる。時間のかからないリフィルと排気ガスゼロに加え、既に施設内にある水素リフィル装置が汎用できるという利点もある。
3つ目は電気。
主流となってきた電気車両は、現在の走行距離や搭載可能重量を考慮すると、長距離ではなく200マイル以内の配送に適している。ヤード・トラックと近距離の軽量配達に利用できると考えている。
サーモ・キング社と提携して冷蔵トレーラーの電気化も進めている。このトレーラーは、バッテリーで100%冷蔵し、100%放電すると予備のディーゼルに切り替わるハイブリッド型となる。カリフォルニア州シャフターの配送センターで、18のルートでグローサリーの配送を2カ月間テストしたところ、83%の運行時間は電気で冷蔵されたという結果だった。
今夏、ニコラ社とフレイトライナー社のトラクターを使って、デイ・キャブと呼ばれる日帰りのトラックの電気化も進める予定で、カリフォルニア州フォンタナの配送センターからテスト運行する。これらのトラックは、サプライヤーの倉庫から、地域の統合センターへの配達を担う。
「ゼロエミッションは簡単に達成できる目標ではありませんが、現在あるさまざまな技術を積極的にテストして学びながら、顧客に新鮮な食品と安全な商品を提供するために努力を続けていきます」