ウェグマンズ 自社熟成室を建設して世界最高峰のチーズを販売

ウェグマンズがこのほど、アメリカのスーパーマーケット・チェーンで初となる本格的なチーズ熟成室を建設し、稼働させた。9日、同社が明らかにした。ウェグマンズのこの施設には、ヨーロッパの名高いチーズ熟成室の環境を再現するために最新技術が投入されている。アメリカのアルチザナル・チーズ(職人チーズ)市場で「ゲームを変える」取り組みになりそうだ。

 

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1万2300平方フィート(約1140㎡)の建物には、白カビチーズの代表格であるブリーの熟成室をはじめ、カマンベールなどのソフト系チーズやピエダングロワのようなウォッシュチーズのための部屋が計8つ用意されている。それぞれの部屋の広さは185~200平方フィート(18㎡前後)。8種類のチーズを一つの施設内で同時に熟成できるが、部屋は互いに独立しているので他のチーズの香りが移ることはない。

 

【ウェグマンズのピエダングロワ】
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チーズを発酵させる微生物は一定の温度と相対湿度の範囲内でしか働かないので、常時管理する必要があるが、ウェグマンズのチーズ熟成室は非常用電源も装備しているので、万が一のときでも対応できるようになっている。もちろん、チーズの熟成には機械による厳密な管理だけではなく、忍耐を要する労働集約的な職人技も必要だ。

 

さて、ウェグマンズがこのように労力をかけて自らチーズの熟成に取り組む理由は何であろうか。スペシャルティ・チーズやデリなどを担当するディレクターのキャシー・ガフニー氏は次のように説明する。

 

「この10年ほど、世界最高峰のチーズに対するお客さまの関心は驚くほど高まっています。多くのお客さまが海外旅行をされ、現地で最高のチーズをお召し上がりになり、それを自宅でも楽しみたいと思っていらっしゃるのです」

 

ウェグマンズが熟成するのはソフト系チーズのみだ。イタリアのパルミジャーノレッジャーノのようなハードチーズは、船積み前に完全に熟成されているため輸送中に品質が劣化することがない。わざわざウェグマンズが熟成するまでもなく、輸入品を仕入れて販売すればよいチーズだ。だから、ウェグマンズは消費地で熟成しなければ完全なフレーバーを引き出すことができないソフト系チーズやウォッシュチーズを取り扱う。

 

ウェグマンズの熟成施設を監督するのは、熟練のシェフで登録栄養士でもあるエリック・メレディス氏。世界で最も著名なチーズ熟成職人の一人、フランスのエルベ・モン氏の指導を受けて熟成の技を習得した。ウェグマンズは今後3年間で、熟成に従事するフルタイム従業員を7人育成するとしている。

 

モン氏は地元の酪農場から未熟成の若いチーズを買い取り、それを熟成して仕上げ、小売販売店に卸しているが、ウェグマンズも同様に、高品質の未熟成チーズを製造する地元の職人チーズ・メーカーとパートナーシップを築こうとしている。

 

今回のプロジェクトとは別個に進行していたものだが、ウェグマンズはコーネル大学と協力して、ニューヨーク州で世界最高峰のチーズを製造する職人チーズ・メーカーを育てるための試験的なプログラムに取り組んでいる。ウェグマンズはこのプログラムのためにコーネル大学に36万ドル(約3600万円、1ドル=100円換算)を寄付している。

 

ウェグマンズは「グローバル」な品質を、「ローカル」な資源を使って実現しようとしている。ここにスーパーマーケットの生き方についての重要な示唆がある。

 

 

検索キーワード: ウェグマンズ チーズ熟成 アルチザナル・チーズ コーネル大学

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