2013年度米国家電業界ランキングは①ベストバイ×、②ウォルマート△、③アマゾン◎
アメリカの家電小売業界は日本とは相当に様相が異なる。
その2013年度売上高上位100社のランキングが発表され、1位ベストバイ、2位ウォルマート。
そして3位アマゾンが一番躍進した。
調査発表したのは、家電専門メディアのTWICE(トゥワイス)。
アメリカではこの分野を「コンシューマー・エレクトロニクス」という。略してCE。
CEを販売する専門店は、CEスペシャルティ・ストアであるから、これも略してCESSと称する。
CESSのチェーンストアは全米小売業ランキング100位までに2社しかない。
ベストバイとレディオシャック。
一昨年まで、100位以内にサーキットシティが入っていたが、倒産した。
一方、日本の小売業ランキングでは、家電チェーンが4社に統合されてきた。
日本小売業第3位のヤマダ電機、第11位のエディオン、12位のケーズデンキと62位のノジマ。
さらに現在では家電チェーンと同じような品揃えになりつつあるカメラ・チェーンが3社ある。
13位のヨドバシカメラ、18位のビックカメラ、81位のキタムラ。
家電チェーンとカメラチェーンを含めると7社となって、
日本の場合も、ずいぶん経営統合が進んだ。
しかしアメリカほどではないし、家電チェーン自体の売上高も大きく、
ランキングも上位に位置している。
なぜか。
アメリカのCE販売ランキング1位のベストバイは、CE年商301億5000万ドル。
1ドル100円換算で3兆0150億円。前年比2.0%のマイナス。
ウォルマートにもアマゾンにもできない仕組みが、
「ギーク・スクワッド」。
パソコン関連のコンサルティングセールスとアフターケアのショップが、
1000坪のベストバイの店内にインショップで出ている。
もちろんベストバイの直営。
そしてショップと連動して、
アフターケアのためのバンが街中を走り回って手当てする。
第2位に小売業ナンバー1でもあるウォルマートで、こちらはCE販売額223億3000万ドル。
前年比は0.4%の微増。
7000坪ワンフロアのスーパーセンターの奥壁面沿い中央に、
CEのショップを設ける。
主通路沿いにはアイランド陳列で、
サンヨーの大型テレビ。
超お買い得品だ。
そして第3位がアマゾン・ドットコムでCE売上高156億1000万ドル。
その伸び率は20.8%で、27億ドル(2700億円)の成長。
もう、手がつけられない。
そして4位はアップルストア118億6000万ドル。
ここのところ急速成長が続いたが、今回は1.3%の微増。
さらに5位は、ウォルマートと同業態で競うターゲットで59億3000万ドル。5930億円。
こちらも前年比1.3%プラス。
さらに6位はメンバーシップ・ホールセールクラブのコストコ。
CEの販売額は前年比2.5%マイナスだが、年商は49億9000万ドル。
第7位はゲームストップ、44億6000万ドル。
この会社は2012年10月にシンプリーマックを買収して、このバナー自体は前年比159%だが、
ゲームストップ全体では前年比マイナス27億円で、1%減少した。
そして第8位にレディオシャックが年商29億9000万ドルを売り上げてランクイン。
閉店して店舗数を減らし、その伸長率はマイナス8.6%、。
第9位はパソコンのデル。前年比マイナス3.9%のCE販売額27億6000万ドル。
最後に第10位はニューエッグ・コムで27億3000万ドル。
この会社はオンライン専業のCE販売企業で、前年比マイナス1.6%。
CE領域の販売小売業100社は、CE全体の8割近くのシェアとなっている。
その100社の総売上高は1318億6000万ドルで、前年比0.3%の微増。
こう見ていくと、ノンストアリテイリングのアマゾンが圧倒的な伸び率で、
他の有店舗企業が軒並み、顧客と売上げを奪い取られたという事実が鮮明になってくる。
それでも微増ながら伸びた企業は、ウォルマート、アップルストア、ターゲット。
売上げ減の企業はベストバイを筆頭にコストコ、ゲームストップ、レディオシャック。
さらにデルも、ニューエッグ・コムも売上げダウン。
ちなみにアメリカのCE小売マーケットは全体で約1650億ドル。
16兆5000億円規模で、微増していることになる。
業態別に分類して伸び率を試算すると、
トップ業態の専門店チェーンは25.8%から25.0%に微減した。
CEトップ小売業のベストバイから、フライズ・エレクトロニクス、HHグレッグまで3社が並ぶ。
日本でいう総合スーパーのCE部門は二番手グループで、いまだ健在。
ウォルマート、ターゲット、そしてシアーズ・ホールディングス傘下のシアーズとKマート。
この分野の企業はシェア23.6%から23.5%にわずかにマイナス。
専門店チェーンと総合スーパーのCE部門とが、それぞれ微減しつつ拮抗する。
アマゾンを筆頭に、パソコン中心のデル、ニューエッグなど、ネット販売は、
100社のなかで20社あり、これらはマーケットシェア17.8%から19.4%に急成長中。
100位までのCE販売企業のうち、69社が専門店チェーンだが、
これらも売上げ減少のトレンドにある。
アメリカの家電販売額は、まずトップ集団の専門店チェーンと、
微差で追う総合スーパーグループに、二分されている。
どちらも成長率は鈍化、あるいは低下している。
しかし、その代りに第三の存在ながらネット販売が躍進している。
単独企業レベルで見ても、業態別のくくりで見ても、
ランクは一致していて面白い。
第一位は専門店チェーンで、CE全体に占めるシェアは25%。単独企業でもベストバイがトップ。
第二位は総合スーパー業態で、ウォルマートはCE販売でも第二位。
そして第三位がEコマース市場で、単独企業としてはアマゾンが急成長を続ける。
専門店チェーンも総合スーパーも、Eコマースに力を入れて、
オンライン・トゥ・オフラインを志向している。
〈結城義晴〉