英国アルディが予見させる「レジカウンターから菓子類がなくなる日」
イギリスの「アルディ(ALDI)」は、アメリカやその他のヨーロッパのアルディに比べて、最も市場動向に敏感だ。それはイギリス市場が欧米で最も先鋭化されていることを証明していることにもなるが、そのアルディがイギリスで健康トレンドを売場に表現し始めた。すなわちレジカウンターからの菓子類の撤去である。
ドイツのボックス・ストア「アルディ」は、1948年に、カール・アルブレヒトとテオ・アルブレヒト兄弟が、母親が経営する100㎡の店舗の経営を引き継いだときから、変化をチャンスに変えて成長してきた。
2002年の「ユーロショック」では、景気の低迷により、消費支出は大幅に減少した。その中で、アルディをはじめとするハードディスカウンターは低価格路線を貫き、価格に敏感になった消費者の支持をさらに集め、急成長を遂げた。
抜群の単品量販態勢をベースに、卓越した商品開発と商品調達の能力を武器にする。その成長力は、ヨーロッパ経済界で「時代や環境がアルディについてくる」とも言われるほどだ。
そのアルディが、試行錯誤し、健康志向の流れに遅れまいとして、重い腰を上げた。
8月27日付英国ガーディアン紙によると、アルディは16週間のトライアルの結果を受けて、先行するテスコやリドルのように、2015年1月までに、英国で展開する500店舗のすべてで、レジカウンターの菓子類をドライフルーツやナッツ、ジュース、ミネラルウォーターなどに置き換えるという。
英国のスーパーマーケット業界で最後発となったが、購買部門を束ねるジルス・ハーレイは、「16週間のトライアルで、健康志向の商品が、これまでの菓子類よりも、顧客に評判がよいことが早い段階で明らかになった」と述べている。
今年2014年の1月に、アルディと競合するドイツのハードディスカウンター「リドル」が、子どもを持つ親を中心に実施した調査の結果に基づいて、英国に展開する600店舗すべてのチェックアウトカウンターから菓子類を撤去し、ドライフルーツや果物、ジュースなどに置き換えている。
英国最大手のテスコも、5月に、カスタマー・パネルという顧客調査で圧倒的な支持を確認した後、チェックアウトカウンターから菓子類をすべて撤去した。
アメリカのウェグマンズでは「ノーキャンディ・レーン」を設けて、菓子類撤去のレジを演出しているし、アイルランドのスーパークィンなども同じサービスをしている。
それらに続いて、今年のはじめからイギリスでブームに勝っていたが、とうとうアルディまでが。
消費者グループのリーダー、リチャード・ロイドのコメント。
「アルディが、全ての店舗で、レジカウンターの商品を健康志向品に置き換えたことは歓迎すべきニュースだ。全ての小売店が製品の陳列場所、特にレジカウンターに配慮し、顧客の健康志向を促すようにしてほしい」
日本やアメリカでも、レジカウンターから菓子が撤去される日が来るかもしれない。
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