ターゲット2014年度通期決算、増収するもカナダ撤退で大幅減益

アメリカの小売企業第3位、ディスカウントストア第2位のターゲット。 ウォルマートに比べればややアップグレードなディスカウントストアとフルライン・ハイパーマーケットのマルチフォーマットを展開する。第1位は言うまでもなく、ウォルマートである。

先日、過去最高売上高に終わったウォルマートの通期決算をお伝えした。そしてライバル企業であるターゲットも同時期に通期決算を発表。だが、皮肉なことにターゲットはウォルマートのように好調な結末を迎えることはできなかった。

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まずは第4四半期決算の結果。売上高217億5100万ドル(100円換算で2兆1757億円)、前年同期は208億9300万ドル(2兆0893億円)だったので、8億5800万ドル増のプラス4.1%。そして昨年の純利益5億2000万ドル(520億円)から、純損失26億4000万ドル(2640億円)の大幅減益。ちなみにこれはカナダ事業からの撤退を含む損失で、これを含めなければ、9億6000万ドルの純利益であった。

そして、2014年2月から2015年1月の2014年度通期決算。726億1800万ドル(7兆2618億円)で伸び率はプラス1.9%。 最終的な純損失は16億3600万ドル(1636億円)となった。カナダ撤退費用を含まない場合の純利益は24億4900万ドル(2449億円)だったものの、前年比ではマイナス9.1%と下がっているので、いずれにしても増収減益には違いないという結果に終わった。

EOブライアン・コーネルによると、商品面では中心カテゴリーの「スタイル、ベビー、キッズ、ウェルネス」が好調だった。

2013年3月に満を持してカナダに進出したターゲット。しかし今年の1月、進出から2年も満たないうちに撤退が発表された。ターゲット側からは「カナダ事業の収益性が改善できる現実的なシナリオを見出すことができない」「アメリカビジネスのさらなる成長に向けた集中こそがビジネスとって最適」などといった理由が上がられている。(Daily商人舎 2015年1月17日

海外直接投資のむつかしさが浮き彫りになった形だが、ウォルマートのカナダ事業が一定の成果を見せていることとは対比的だ。その理由の第一は何よりもウォルマートの方が海外経験豊富であること。第二はターゲットのマーケティングがあまりにアメリカ合衆国にフィットしすぎて、他への応用が利かなかったということ。常識的に見れば、ターゲットのマーチャンダイジングがメキシコには向かないだろうことは予想できるが、カナダでも成果が上がらなかったというのは、その名のとおり、未経験のマーケットでのターゲティングの難しさを示したことになる。

ウォルマートが絶対的なマスを狙えば、ターゲットは相対的なSTPマーケティングを展開する。この対比がアメリカでは効力を発揮したが、カナダでは成功にまでは至らなかった。海外直接投資は、時間がかかる仕事だが、ターゲットにはその余裕も残されてはいなかった。


しかし厳しい状況の中、懸命に「増収」という意地を見せたターゲット。2015年度は投資を集中させて、総力を挙げてアメリカの激戦マーケットに挑む。

 

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