ダラーストア業界第3位ダラー・ツリーによる第2位ファミリー・ダラー買収完了で得られた教訓
アメリカのダラーストア第3位のダラー・ツリーによる、第2位のファミリー・ダラーの買収が、ついに連邦取引委員会に条件付きで承認された。来週月曜には買収が完了するとダラー・ツリーが発表している。
その条件とは、ファミリー・ダラー330店舗の売却。これらの330店舗は全米35州に展開されているが、プライベート・エクイティー・ファンドのシカモア・パートナーズに売却される見通しだ。しかし買収完了後150日以内に売却が完了しなければならない。この条件がクリアすれば、ダラー・ツリーは一躍、アメリカとカナダで1万3000店舗を超えるネットワーク網をもつ、ダラーストア最大手に躍り出る。
現在、ダラーストアの第1位はダラー・ジェネラル。
2015年1月期の売上高は、189億0900万ドル(100円換算で1兆8909億円)、前年比8.0%増。期末店舗数は1万1789店。
一方、第3位のダラー・ツリーは86億0200万ドル(8602億円)、前年比9.7%と好調。店舗数は5367店。
そして買収される第2位のファミリー・ダラーは、104億8900万ドル(1兆489億円)、0.9%の微増。さらに、その純利益は前年4億4300万ドルから2億8400万ドルへと大幅ダウンしている。店舗数は8042店。
業界3位の企業が2位の企業を買収する。それが今回の話題の焦点だが、決算数値を見れば、明らかだ。
ファミリー・ダラーはテキサス州と東海岸に店舗を集中させている。とくに低所得者の多い地域での店舗展開が多いため、それが収益悪化につながった。しかしなによりもファミリー・ダラーは、ダラーストアでありながら、1ドル商品から離散するというダラー・ジェネラルの品揃えコンセプトの後追いをするフォロワーとなってしまった。それが低迷の根本原因。逆にむしろ1ドル売価にこだわった第3位のダラー・ツリーの方が、ダラー・ゼネラルに対して対極に立つマーケット・チャレンジャーであった。だから収益性が高く、ファミリー・ダラーを買収する立場に立ってしまった。
アメリカ小売業界のダラーストアの競争プロセスこそ、他の業態や日本の小売業に教訓を与えてくれるものとなった。
次の興味は、規模で最大となったダラー・ツリーが果たしてマーケット・リーダーの地位を得るか否か。しばらくは併合の後の整理に追われて、マーケット・リーダーらしい体制を構築はできないだろうけれど……。
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