ファストリnews|「”届けよう、服のチカラ”プロジェクト」、グーグルと協業
(株)ファーストリテイリング(山口県山口市、柳井正会長兼社長)は、全商品を対象としたリサイクル活動の一環として、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と協働し、小中高生が自ら不要になった子ども服を回収し、慢性的な服不足に悩む難民の子どもたちに提供する「”届けよう、服のチカラ”プロジェクト」を行っている。
プロジェクトは2013年に開始して以来、全国各地の小中高校など約3600校、のべ38万人の子どもたちが参加し、SDGsや難民問題の現状を学んできている。10周年となる2023年度は、グーグル合同会社と協業し、Google Earthを使った授業を実施するなど新しい取り組みを始める。またアジアへも展開を広げる。
プロジェクトでは、ファーストリテイリングの社員が講師として、参加を希望する小中高、特別支援学校などを対象に、SDGsや難民支援の現状などについて授業を行う。ます。その後、子どもたちが主体となり、不要となった子ども服の回収や呼びかけの方法を考え、回収・仕分けする。
ウクライナ危機やトルコ・シリア地震などで難民支援に注目が集まる中、自分たちと同じくらいの年齢の難民の子どもたちの現状を知り、彼らのために服を回収することで、”自分ごと”として世界の問題を捉え、体験を通じた学びの機会としてもらうのが目的だ。
近年、学校側からのICT教育のニーズの高まりもあり、2023年度は初めてグーグル合同会社と協業する。出張授業の際にGoogle Earthを活用することで、難民キャンプの位置や現地の様子などを目で見て学び、遠く離れた難民キャンプのいまをよりリアルに感じてもらい、活動に活かしてもらう。
またマレーシアやシンガポールなど、アジア圏を中心に海外の学校においても「”届けよう、服のチカラ”プロジェクト」の展開を進めている。新たな試みとして、日本と台湾の学校をオンラインでつなぎ、5月30日(火)と6月2日(金)の2回にわたり、合同授業も行う予定だ。
ファーストリテイリングは、2001年に始めた「フリースリサイクル活動」をきっかけに、全国でリサイクル活動を展開する。UNHCRやNGOとの協働で世界各国の難民などに服を寄贈してきた。なかでも、難民の約半数を占める子どもたちの服が慢性的に不足していたため、2013年からUNHCRとともに、”届けよう、服のチカラ”プロジェクトをスタートさせた。回収した服は、文化背景や現地の服のニーズなどを聞き取り、日本国内で仕分けしたのち、UNHCRと協力して直接難民キャンプなどに運んでいる。不要な服を一方的に送ったり、寄贈した服が二次流通市場に出たりすることのないように管理している。