ヤマダ あすからネット通販リニューアル
ヤマダ電機が明日3日、オンラインショッピングサイトをリニューアルオープンする。
新サイト名は「ヤマダウェブコム」。これまでの「ヤマダ電機ウェブドットコム」から名称変更する。「電機」の名は消える。
リニューアルオープンするサイトでは、新たなサービスが追加される。今回、注目されるのはスマートフォン対応と台頭するネット通販企業への対策だ。
まず、ヤマダ電機が会員サービスを提供しているすべてのチャネルを、1ID(ワンアイディー)で利用できるようにする。リアル店舗会員と自社のインターネット通販(ヤマダウェブコム)会員、さらにスマートフォンやフィーチャーフォン(従来型携帯電話)を利用するモバイル会員のIDを一本化する。
さらに、「ヤマダウェブコム」の機能の多くを、スマホでも利用できるよう最適化する。すべてのチャネルに共通のIDを導入し、さらにスマホに最適化されたサイトデザインにすることで、どの場面でもストレスなく買物ができるようにする。スマホを利用した買物が増加していることへの対応策だ。
アマゾンや楽天などのネット通販企業への対策は、「価格」と「サービス」の両面から打つ。
価格面での対策は2つ。
1つは「値下げ通知サービス」。これは、欲しい商品をあらかじめ登録しておくと、その商品の価格が値下げされた際にメールでお知らせが届く仕組み。ベンチマークしているオンラインショッピングサイトの価格と同等、もしくはそれより低い価格になれば、購入へのプッシュ作用が働く。緊急性が低い買い回り品は、消費者が冷静に価格を見極める時間があるため、有効な手段となる。
2つ目は「指し値機能」。株式のオンライン取引では一般的な機能だが、お客が「この値段なら買う」という購入希望額を入力するサービスだ。ヤマダ電機では、そのお客だけの「プライベートプライス」を提供する可能性がある、としている。
価格で勝負を仕掛けるネット通販企業に対して、人員や店舗といった資産の強みを持つヤマダ電機。それを活かす戦略が「配送設置無料」と「社員お届けサービス」だ。
ヤマダ電機の指定エリアと指定機種に限定されるものの、小型商品から大型商品まで配送・設置にかかる費用を無料とする。
さらに「社員お届けサービス」は、15時までにヤマダウェブコムで注文すると、お客の近くの店舗からヤマダ電機のスタッフがその日のうちに届けるというもの。未使用・未開封の商品を近隣店舗に返品することも可能だ。
アメリカの世界No.1家電量販店ベスト・バイは、店舗がショールーミングの場と化し、アマゾンなどのネット通販企業に顧客が奪われて業績が悪化したと言われている。ショールーミングとは、お客がリアル店舗で商品の現物を見た後、スマホなどを使って同じ商品を店舗よりも安い価格で提供しているオンラインショッピングサイトで商品を購入することを意味する言葉。
最近はヤマダ電機もベスト・バイと同様にショールーミングの影響が指摘されていたが、「価格」と「サービス」でネット通販企業への対策を打ち出したことになる。
また、サイト名から「電機」の文字が消えたのは、アマゾンなどが取扱商品群を拡大させて、オンラインでのワンストップショッピングの利便性を強めているからにほかならない。最近は独自商品の開発でマーチャンダイジング機能も強化している。ヤマダ電機も従来の電気・電子製品だけではなく、食品や衣料品、医薬品まで対象を拡げて総合化せざるを得ない競争状況が生まれている。
店舗を持つあらゆる小売業態が、にわかにネット通販企業への対策を打ち始めた。
オンラインとオフラインの二元論から、「オムニチャネル」の一元論へ。時代が大きく変わり始めた。
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