ヤオコーnews|エイヴイ加え年商4149億円・経常利益165億円/29期増収増益
(株)ヤオコー(埼玉県川越市、川野澄人社長)が2018年3月期決算を発表した。
営業収益4149億9200万円、営業利益169億6900万円、経常利益165億2800万円、当期純利益110億0400万円となった。ヤオコーは(株)エイヴイとエイヴイ開発(株)を2017年4月3日に完全子会社とした。したがって、前期との比較はしていないが、ヤオコーでは29期連続の増収増益を達成している。
営業利益率は4.1%、経常利益率4.0%と、スーパーマーケットでは高い。
2018年3月期は、第8次中期経営計画の最終年度として「ミールソリューションの充実」と「価格コンシャスの強化」をベースとして、4つの戦略課題を柱にした。
第1は商品・販売戦略。ヤオコー独自商品の開発のために、国内での新たな産地、原料から調達する商品、直輸入商品などを強化した。とくにヤオコーPB「Yes!YAOKO」と、ライフコーポレーションとの共同開発PB「star select」は、新アイテム145を加えた。また一方で、価格コンシャス強化の一環としてEDLP(常時低価格販売)の拡充と、会員数200万人を超える「ヤオコーカード」をベースにしてFSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)を活用したマーケティング施策を展開している。
第2に運営戦略では、店舗における生産性向上モデル(カイゼン)の水平展開を進めた。また店舗での作業負担の軽減と製造小売りとしての機能強化のために、デリカ・生鮮センターを拡張している。さらに物流の効率化のために熊谷物流センター(埼玉県熊谷市)を新設している。
第3は育成戦略。ノー残業デーの完全実施と長時間労働の撲滅を重点目標に掲げて、働き方の改善に取り組んだ。人材育成では「ヤオコー大学」において、入社1年目から5年目までの社員に対する教育を行っている。
第4に出店・成長戦略。7月に流山おおたかの森店(千葉県流山市)、10月に館林アゼリアモール店(群馬県館林市)、11月に八百幸成城店(東京都調布市)、日野南平店(東京都日野市)、浦和パルコ店(埼玉県さいたま市)、2月に東松山新宿町店(埼玉県東松山市)の6店を出店し、2店舗を閉店した。11店舗で大型改装を行っている。3月末時点の店舗数は、ヤオコー158店、エイヴイ10店で計168店。
【結城義晴の述懐】ヤオコーも4000億円を突破したか、と感慨深い。ただし子会社化したエイヴイの売上高と利益を合算しての4150億円である。スケールの面でのエイヴイの連結以上に、エイヴイの持つシンプルなオペレーションやディスカウントのメカニズムを、ヤオコー本体の中にいかに吸収し、融合するかが大きな課題となるだろう。どんなことも課題として設定すれば、着実に遂行していくという社風が何よりヤオコーらしいが、そのために教育を欠かさないところがこの会社の真骨頂である。6店出店の2店閉鎖というスクラップ&ビルド政策を実行に移し、なおかつ店舗リエンジニアリングを遂行する。今のところヤオコーに死角は見当たらない。敢えてあげるとしたら、慢心だけであろう。そして30期連続増収増益はなんとしても成し遂げるだろうが、その後の31期、32期と2020年問題が重なり、日本全体に東京オリンピック後の停滞が予想されていることもちょっと気にかかる。そのために第9期中期計画の30期、31期、32期において、ヤオコーなりの破壊的イノベーションが必須であると考えるが、いかがだろうか。