スーパー769社調査 中小の減収・赤字鮮明
小売業界で企業規模の大小が業績を左右し始めている。
20日に発表された帝国データバンク(DB)の「全国スーパーストア769社の経営実態調査」。
ここで言う「スーパーストア」には、総合スーパーとスーパーマーケットが含まれる。
だから、日本チェーンストア協会が発表する「チェーンストア販売統計」の対象範囲に近いと考えてよいが、ただし日本チェーンストア協会の加盟小売企業数は57社。
ニトリやダイソー、ゼンショーなど特徴のあるチェーンストアや外食チェーンもあって、総合スーパーと食品スーパーマーケットの分類ではない。
さて、この調査では、売上規模によって業績の好不調が鮮明になった。売上規模別の増減収推移では、「1000億円以上」の35社中17社(48.6%)が2期連続増収。増収転換の2社(5.7%)と合わせ半数以上にあたる19社(54.3%)が増収となった。
「500億~1000億円未満」では47社中22社(46.8%)が2期連続増収、1社が増収転換だったものの、2期連続減収の11社(23.4%)と減収転落の13社(27.7%)を合わせて24社が減収となり、増収を上回る結果となった。
さらに「100億~500億円未満」(181社)では2期連続減収が74社(40.9%)、減収転落が47社(26.0%)となり、3社に2社が減収となった。
「10億~50億円未満」(370社)では過半数にあたる190社(51.4%)が2期連続減収という状況だ。
また、売上規模別の損益推移でも、「1000億円以上」では30社(85.7%)が2期連続黒字。黒字転換の1社を加え9割近い31社が黒字となった。
一方「10億~50億円未満」では、2期連続黒字の企業の割合は「1000億円以上」より24.1ポイント少ない228社(61.6%)。赤字企業(2期連続赤字と赤字転落の合計)も91社(24.6%)と多くなっている。
地域別でみると、北陸と東北で減収企業の割合が7割を超えている。
2013年1~7月の倒産件数累計は52件で、このままのペースであれば2011年以来3年ぶりに年間100件を割ることになりそうだ。
一方で負債総額はすでに前年の年間負債総額228億3900万円を上回ってしまった。2013年は7月までで268億1600万円となった。静岡県の望月巌商店(負債59億8000万円)や石川県の東京ストアー(同55億1900万円)など、地場中堅スーパーマーケットの倒産が続いていることが大きな原因。
この調査は、帝国DBが保有する企業概要データ「COSMOS2」に収録されている144万社のデータから、全国の総合スーパーやスーパーマーケット企業を抽出して、売上高10億円以上で過去3期分の業績比較が可能な769社について経営分析を行ったもの。
帝国DBは、「今後も大手企業を中心としたM&Aや地方出店が加速すれば、地場のスーパーマーケットの倒産が増える可能性がある」とする。
しかし指をくわえて倒産を待つ企業はない。
したがってこの調査は、冷酷なようだが、この秋から来年の消費税増税期に向けて、M&Aがさらに加速することを示している。
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