イオンnews|第1Q コロナ禍/営業収益2兆763億円1.9%減・経常損失161億円

イオン(株)(千葉市美浜区、吉田昭夫社長)が2021年2月期第1四半期の業績を発表した。

営業収益2兆762億7800万円(前年同期比1.9%減)、営業損失125億5200万円(前期は277億4600万円の利益)、経常損失160億7200万円(前期は242億4100万円の利益)、親会社に帰属する当期損失539億7300万円(前期は43億4200万円の損失)となった。

新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、地域のライフラインとして食品や生活必需品のニーズに対応したが、緊急事態宣言の発令を受けて店舗の臨時休業、営業時間短縮などを実施した。これらの対応に起因する費用298億9300万円を新型感染症対応による損失として特別損失に計上した。

主な項目は、店舗等施設休業期間中の地代家賃、減価償却費等の固定費、テナント賃料減免相当額、特別有給休暇等の人件費、感染防止対策費用などだ。

総合スーパー事業の営業収益7061億8500万円(対前年同期比93.6%)、営業損失329億6800 万円(前年同期より275億3300万円の減益)となった。

新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、生活必需品を取り扱う店舗として地域の生活を支えるため、感染拡大防止対策を実施しながら営業を継続した。商品の販売面では、卒業式や入学式など社会行事の大幅な縮小、旅行やイベントなどの自粛によって衣料品、住居関連品をはじめ、シーズン商品に大きな影響を受けた。

一方、外出自粛によって内食需要が高まり、生鮮品、冷凍食品、製菓材料などの売上げが大幅に伸長した。また、感染防止対策としてマスクやハンドジェル、ハンドソープなどの需要も高まり、食品と衛生用品の売上げは前年を大きく上回った。

イオンリテール(株)は20店舗の既存店を活性化し、5店舗を新規出店した。3月にオープンした「イオンスタイル戸塚」では神奈川県のイオン店舗として初めて「レジゴー」を導入した。「レジゴー」は貸出用の専用スマートフォンで、商品のバーコードをお客がスキャンし、専用レジで会計する“レジに並ばない”“レジ待ち時間なし”のサービスだ。

イオン北海道(株)は3月1日にマックスバリュ北海道(株)と経営統合し、食品スーパー84店舗を承継した。ディスカウントフォーマット1店舗と小型スーパーマーケットフォーマット2店舗の計3店舗を出店した。

スーパーマーケット事業は営業収益8586億7900万円(8.4%増)、営業利益182億3300万円(前年同期より199億8600万円の増益)。
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)グループの(株)カスミでは、お客が自分のスマートフォンで支払うことができるU.S.M.H公式モバイルアプリの決済機能「Scan&Goサービス」を利用した無人店舗「オフィススマートショップ」を13店舗に拡大した。

マックスバリュ東海(株)は7県に拡大した店舗展開エリアを4つの事業部に編成し、各事業部がそれぞれの地域特性に応じた店舗運営に努め、地域密着経営のさらなる強化を図った。その一環としてネットスーパー事業も強化し、3月にはマックスバリュ豊田店(静岡県)、4月にはマックスバリュ浜松和田店(静岡県)を配送拠点とするネットスーパーを開設し、静岡県西部エリアへの配送を開始した。これにより同社のネットスーパーは、静岡県7拠点、愛知県6拠点、三重県3拠点、計3県16拠点となった。

ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益2343億7300万円(10.0%増)、営業利益99億5300万円(31.0%増)。
ウエルシアホールディングス(株)および同社連結子会社は、「調剤併設」「カウンセリング」「深夜営業」「介護」を4つの軸とするウエルシアモデルを推進した。新型コロナウイルス感染症の影響で衛生用品や食品の売上げが伸長した。また、調剤についても薬価改定の影響があるものの調剤併設店舗数の増加(5月末時点で1452店舗)によって売上高は前年を大きく上回った。

3月に子会社化した高知県を地盤とする(株)よどやの24店舗を加え、グループ全体で26店舗の出店と6店舗の閉店を実施した。5月末の同社グループの店舗数は2056店。

総合金融事業は、営業収益1101億400万円(4.5%減)、営業損失6億6600万円(前年同期より171億8900万円の減益)。
イオンフィナンシャルサービス(株)の連結子会社である(株)イオン銀行は、緊急事態宣言の発生により一部店舗で休業や営業時間の短縮を余儀なくされた。

新型コロナウイルスの感染拡大によって事業や生活に影響を受けた顧客に対して、契約中の各種ローン返済について元本返済据え置きなどの対応を実施した。一方で、WEB、電話など非対面の対応を強化した。その結果、銀行口座数、預金残高、住宅ローンの貸出金残高は増加した。

ディベロッパー事業は、営業収益633億7000万円(31.6%減)、営業利益28億8300万円(81.6%減)。
イオンモールの国内事業は、緊急事態宣言の発生を受けて4月18日から同社グループが管理・運営する全国165施設全てを臨時休業した。

中国、ベトナムでも新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、臨時休業、営業時間の短縮などを実施した。

サービス・専門店事業は、営業収益1332億8900万円(27.1%減)、営業損失119億1200万円(前年同期より40億7200万円の減益)。

外出自粛要請や緊急事態宣言を受け、出店先の商業施設が臨時休業したこと、外出自粛、社会行事の中止、イベントの自粛・中止などが業績に大きな影響を及ぼした。

国際事業は、営業収益1189億6200万円(1.8%増)、営業利益14億3300万円(17.6%減)。
イオンマレーシアは、春節商戦を早期に取り組んだことが功を奏し、1月の売上げは前年を大きく上回った。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って衣料品や住居余暇関連商品の販売が制限されたため、オンラインで注文した商品を店舗駐車場で受け取るドライブスルー型の受け渡しサービス、買物を代行するサービス、シニア向けに注文商品を配達するバイク便サービスなど、新たな取り組みを推進した。

イオンベトナムは、年間最大商戦の一つであるテト(ベトナム旧正月)商戦では重点商品の売り込みを強化した。衣料品ではアオザイ、食品ではギフト商品や生鮮食品を中心とした旧正月関連商材の売上げが好調だった。3月中旬から新型コロナウイルス感染症が拡大したため、衣料品や住居余暇関連商品の売上げに影響が出たが、健康・感染予防関連商品などのまとめ買い需要のほか、自宅での食事が増えたことで食品の売上げは堅調に推移している。

中国では、1年でもっとも売上げ規模の大きい春節のピークに合わせた販促を実施したことにより、春節期間の売上高は昨年比5%増と好調に推移した。春節後は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で衣料品、住居余暇関連商品の売上が減少したが、家庭での食事機会が増えたこと、グロサリー商品のまとめ買いによって、食品の売上げが大きく伸長した。とくに感染が拡大した2月のネットスーパーの売上げは前年対比で4倍を超える伸びとなっている。

通期の連結業績予想は、新型コロナウイルス感染症の第2波の可能性と業績への影響を精査中として、営業収益8兆円~8兆4000億円(前期比2.4~7.0%減)、営業利益500億円~1000億円(53.6%~76.8%減)を見込んでいる。

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