三越伊勢丹news｜第3Q6024億円31.2%減･営業損失149億円の赤字決算

(株)三越伊勢丹ホールディングス(東京都新宿区、杉江俊彦社長)が2021年3月期第3四半期の業績を発表した。

売上高は6024億3500万円(前年同四半期比31.2％減)、営業損失は148億7000万円(前年同四半期は営業利益210億9800万円)、経常損失は134億4400万円(同経常利益230億9900万円)、四半期純損失は347億5900万円(同純利益78億6200万円)となった。

新型コロナウイルス感染拡大で先行きが不透明な状況のなか、同社グループでは緊急事態宣言下における外出自粛要請に応え、１月より改めて閉店時間を前倒しして営業時間を短縮している。

主力の百貨店業は売上高5539億0200万円(31.8％減)、営業損失219億0300万円(前年同四半期は営業利益97億7500万円)。

4月の1回目の緊急事態宣言下では休業や営業時間の短縮により、売上高は大きく減少した。営業再開後も訪日外国人の入国制限によってインバウンドの売上げはほぼ消失したまま前年を下回っているが、日本人による消費行動は来店客数、売上げともに回復傾向に転じた。しかし、年末にかけて感染症が再拡大した影響で来店客数は再び減少に転じ、厳しい状況が続いている。

11月には、新たなアプリ「三越伊勢丹リモートショッピング」を立ち上げた。チャットによる会話を通して、自宅にいながら伊勢丹新宿本店にあるほぼすべての商品を購入することが可能になった。オンラインで買物が完結できるEC事業の強化も継続的に図っており、食品宅配の「ISETANDOOR」やオンライン化粧品サイト「meeco」は計画を上回って推移している。

クレジット・金融・友の会業は、売上高244億2600万円(18.3％減)、営業利益31億9100万円(32.6％減)だった。

(株)エムアイカードは、緊急事態宣言を受けたグループ百貨店の店舗臨時休業や営業時間の短縮の影響で、百貨店内のカード獲得において、退会が入会を上回った。一方、カード取扱高においては、百貨店外の利用において、EC・通販や家電領域の好調によって、前年実績は下回っているものの計画値は上回った。また、販売管理費は運営費や販売促進費のコントロール、店内カウンター要員の効率化、人件費削減などを進めることで、前年比、計画比ともに削減された。

不動産業は売上高220億8000万円(13.7％減)、営業利益44億円(4.2％減)。

(株)三越伊勢丹プロパティ・デザインは、商業施設事業において、新型コロナウイルス感染症の影響によるテナントへの賃料減免や、テナントの売上減少による手数料収入の減少が響き苦戦が続いている。一方、建装事業においては大型物件などの売上げを計上し、計画を上回った。なお、2020年11月に賃貸管理住宅事業を運営する(株)三越伊勢丹不動産の全株式（発行済数）を譲渡することを決定した。同社の重点戦略の一つとして「保有不動産の有効活用」｢不動産事業の強化」を掲げているが、今後は、保有不動産を中心に「商業を核とした複合用途化」に向けた取組みを推進していく。

その他事業は売上高483億8000万円(24.8％減)、営業損失5億2200万円(前年同四半期は営業利益18億0500万円)。

旅行事業は、１回目の緊急事態宣言解除後、６月から全経営資源を国内事業に集中した。Go Toトラベルによる恩恵もあって10月・11月は売上げ計画比を大きく上回ったものの、年末にかけて感染症が再拡大した影響により年末年始催行ツアーの半数が中止となるなど、減収減益の厳しい状況が続いている。

美容事業においても５月後半からの順次営業再開によって客数が徐々に回復したが、年末にかけて感染症が再拡大したことでエステやヘアなどの主要分野をはじめ、売上高は計画、前年とも大きく下回った。人件費の削減や広告宣伝費の抑制に努めてきたものの売上げ減少をカバーするには至らず、厳しい結果となった。

物流子会社の(株)三越伊勢丹ビジネス・サポートは、グループ百貨店の店舗閉鎖や営業自粛によるグループ百貨店からの荷役業務が減少し売上高は減少したものの、EC関連の受注の増加、その他のクライアントの受託拡大や新規顧客の獲得が進み、営業利益では前年を上回った。

新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う2回目の緊急事態宣言発出もあり、自粛要請強化や消費マインド悪化によって個人消費の回復が鈍化してきていること、また1月から国内グループ百貨店の一部で営業時間短縮を実施していることを考慮し、2020年11月11日に公表した連結業績予想の売上高を下方修正した。

通期は、売上高8000億円(28.5％減)、営業損失330億円、経常損失340億円、当期損失450億円を見込んでいる。