J.フロントnews|年商3191億円33.6%減・純損失262億円の赤字

J.フロントリテイリング(株)(東京都中央区、山本良一社長)が、2021年2月期の本決算を発表した。

売上収益は3190億7900万円(前年同期比33.6%減)、営業損失は242億6500万円(前年同期は営業利益402億8600万円)、純損失は261億9300万円(前年同期は212億5100万円の利益)の赤字決算となった。

J.フロントリテイリングは、中長期の成長実現に向けた基盤強化を図るとともに、2021年度から始動する新たな中期経営計画の策定に取り組んだ。このうち経営構造改革については、将来に向けた成長基盤を早期に構築するため、ビジネスモデルの転換加速による収益改善、グループ事業再編による経営効率向上を図る。各事業の将来性や成長性の厳格な見極めをする。

このような状況のもと、各事業の環境変化やマーケットの将来性を考慮して、2月に飲食店業の J.フロントフーズの全株式を譲渡し連結子会社から除外した。また、パルコ事業の「津田沼PARCO」「新所沢PARCO」の営業終了を決定した。津田沼PARCOは2023年2月28日営業終了予定で、新所沢PARCOは2024年2月29日営業終了予定だ。

百貨店事業の売上収益は1640億2400万円(37.8%減)。減損損失の計上もあって、営業損失は221億9900万円(前年同期は営業利益176億2500万円)。

新型コロナウイルス感染症拡大にともなって、各店舗で3月から営業を縮小し、4月の緊急事態宣言発出後は食料品売場を除いてほぼ店舗を休業した。5月中旬から順次、営業再開したものの、外出自粛に加え、「3密」回避の観点から催事やセール運営を見直した。海外からの渡航制限によって、年間を通じて入店客数、売上げともに大きく減少した。

一方で、巣ごもり需要に対応した「大丸松坂屋オンラインショッピング」の品揃えの拡充をはじめ、自宅にいながら買物が楽しめるリモート販売、来場予約システムの活用など、デジタルを活用した営業活動を推進した。

地方郊外店舗の構造改革として下関大丸を直営化し、3月にリニューアルオープンしたほか、大丸芦屋店・須磨店では地域に密着した店づくりを推進した。

パルコ事業の売上収益は688億6100万円(38.6%減)、営業損失68億9500万円(前年同期は108億2300万円の営業利益)。

感染症拡大にともなう店舗の休業や時短営業、エンタテインメント拠点における入場制限を余儀なくされ、入店客数・テナント取扱高ともに大きく減少した。こうしたなか、取引先との協働による「PARCO ONLINE STORE」の強化やオンライン展覧会の開催、ライブコマースの推進、海外向けECサービスの導入など新たなデジタル施策に取り組んだ。

また、約9年ぶりの大阪出店となる「心斎橋PARCO」を11月に開業した。感染症が再拡大するなかでの開業となったが、幅広い層の顧客に支持され、売上げは想定目標を上回った。1F、2F「ラグジュアリー」「モード」、6F「ジャパンカルチャー」などの売場が特に好調だった。隣接する「大丸心斎橋店」で若年層の買上げが増加するなど相乗効果も創出した。

不動産事業は、売上収益153億7200万円(13.6%減)、営業利益19億8600万円(70.5%減)。

百貨店事業やパルコ事業と同様、施設の休業や営業時間短縮を余儀なくされたうえ、外出自粛などの影響によるテナント売上げの減少にともない、賃貸収入が減少した。

クレジット金融事業は、売上収益は90億3500万円(15.7%減)、営業利益は4億2100万円(77.9%減)。

1月に大丸松坂屋カードのリニューアルを実施し、サービス面の充実を図るとともに、新ポイントプログラム「QIRA(キラ)ポイント」を導入した。また2月には個人向けカードローン「QIRA ローン –BRIGHT LIFE-」の取り扱いを開始した。

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