H2Onews|年商5184億円・経常利益23億円/食品事業の寄与で黒字転換

エイチ・ツー・オーリテイリング(株)(大阪府大阪市、荒木直也社長)が2022年3月期の本決算を発表した。

4月1日~3月31日の連結業績は、売上高5184億4700万円、営業利益7億4000万円(前期は44億3800万円の損失)、経常利益23億4600万円(前期は29億0700万円の損失)、当期純利益98億7200万円(前期は247億9100万円の損失)となった。

期首より新収益認識基準を適用しており、消化仕入れ契約に基づく売上高等の計上方法が変更されている。つまり百貨店業は場所貸し業の要素もあるが、それが是正された決算である。

一方、これら会計処理方針の変更による影響を除外した前期までの売上高に相当する「総額売上高」では7881億0800万円となり、前期に引き続いて緊急事態宣言を受けた店舗の休業や縮小営業が発生したものの、実質ベースでは前年同期比6.6%増となっている。

百貨店事業は、売上高3850億9500円(10.7%増)、営業利益9億3900万円(前期は営業損失19億300万円)。

2021年4月下旬に緊急事態宣言が発出され、阪急・阪神の両本店を含む店舗で生活必需品売場のみの縮小営業を実施した。8月には緊急事態宣言が再度発出され、催事などの営業自粛、食品売場への入店制限を実施した。10月以降、外出機会や対面のコミュニケーションシーンの増加に伴って、ファッションやギフトのニーズが高まったが、2022年1月には、再度の感染拡大によってシニア層、ファミリー層を中心に来店が減少するなど、年度を通じて新型コロナウイルス感染症の影響を受けた。

建て替え工事を続けていた阪神梅田本店は、2021年10月8日に先行オープン、12月8日に1階から9階がフルオープンした。外食・中食・内食のあらゆるシーンへの提案を強化し、4フロアに展開を拡大した食を中心として新たな体験価値に対する顧客の反応は高く、幅広い顧客層の来店につながった。

(株)阪急阪神百貨店では、休業期間中の人件費や家賃、償却費など38億1900万円を特別損失に計上している。


食品事業
は、売上高3272億0500万円(11.8%増)、営業利益53億2600万円(30.3%増)。

イズミヤ(株)はスーパーセンター内の食品部門の取り込みで増収となったが、既存店での前年の巣ごもり需要の反動によって売上高が2.7%減少したうえに、コスト増もあって減益となった。八尾店や八幡店などスーパーセンターのフォーマットの改装を実施したことから、工事期間中の休業影響はあったが、新型コロナウイルス感染症再拡大に伴って、小商圏型の店舗は堅調に推移した。販売費および一般管理費については、消耗品の仕入れ単価の見直しなど抑制に取り組んだ結果、前年実績を下回った。

(株)阪急オアシスは減収となったものの、売上総利益率の改善によって、増益となった。高利益体質への転換を基本方針として掲げ、マーケット対応力の強化などに取り組んだ結果、既存店売上高は0.5%減(客数1.0%減、客単価0.5%減)となった。客数は前年並みとなったが、1回当たりの買い上げ点数が減少したことで、客単価が前年をやや下回った。販売費および一般管理費については、諸費などを抑制したものの、イズミヤ同様、前年のコロナ禍における販促費抑制の反動などを受けて広告宣伝費が増加し、前年実績を上回っている。

(株)関西スーパーの第4四半期(2022年1月~3月)における売上高は310億4200万円、営業利益は13億9100万円。同社は、顧客や従業員、地域とともに環境問題への取り組みや社会貢献を通じて問題解決を行う「トータルソリューション型スーパーマーケット」の実現に向けて取り組んだ。通期の既存店売上高は0.1%増(客数1.5%増、客単価1.3%減)。前期のコロナ禍における内食需要の高まりなどによる伸長が一巡したが、旗艦店である中央店の商品ラインナップなどを導入する「中央店型モデル」への改装を実施した店舗が好調に推移したことなどにより、既存店売上高は前年実績を上回った。今期は、高石駅前店(大阪府高石市)、佐井寺店(大阪府吹田市)、鴻池店(兵庫県伊丹市)の3店舗の改装を実施した。販売費および一般管理費は、経営統合手続きに係る費用の計上があったものの、消耗品費、広告宣伝費、修繕費などの抑制により、総額では減少した。

次期は、売上高6600億円(27.3%増)、営業利益80億円(980.1%増)、経常利益70億円(198.3%増)、当期利益80億円(19.0%減)を見込む。

関連カテゴリー

決算 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧