三越伊勢丹news|年商4874億円16.5%増・経常利益215.3%増の増収増益

(株)三越伊勢丹ホールディングス(東京都新宿区、細谷敏幸社長CEO)が、2023年3月期の本決算を発表した。

2022年4月1日~2023年3月31日の業績は、売上高4874億0700万円(前年比16.5%増)、営業利益296億0600万円(398.4%増)、経常利益300億1700万円(215.3%増)、純利益323億7700万円(162.4%増)と増収増益となった。

営業利益率は6.1%、経常利益率は6.2%。

同社は、目指す姿「お客さまの暮らしを豊かにする “特別な” 百貨店を中核とした小売グループ」の実現に向けて、中期経営計画(2022年度~2024年度)に沿って第一フェーズである「百貨店の再生」における重要戦略を徹底的に実行した。中期経営計画の初年度において「百貨店の再生」の確度を高めることに注力し、次期「展開(まち化準備)」フェーズを仕込み始める1年と位置づけ、各施策を着実に進めた。

コロナ禍からの持ち直しによる一部旺盛な消費ニーズに応えるため、顧客の識別化を推進し、一人ひとりの「個客」に対して接点や事業機会を増やし、一人当たりの利用拡大を図った。また、科学的視点を取り入れ、経費や要員などをコントロールするための基準や規律を策定した手引書(百貨店の科学)によって固定費削減に努め、損益分岐点売上高を引き下げたことにより一層の効率化を図った。

主力の百貨店業の売上高は4160億2000万円(11.3%増)、営業利益は204億3200万円(前年同期は営業損失63億3900万円)。

国内百貨店においては、行動制限の解除により外出機会が増えたことで、入店客数、買上客数が大幅に回復し、インバウンドを除く売上高については2018年度水準を上回った。特に、ラグジュアリーブランド、宝飾・時計などの高額品が好調な首都圏店舗に加えて、地方においても、大都市圏の一部店舗では復調傾向で推移した。カード会員化、アプリ会員化によって顧客の識別化を一層進めたことや、全国の外商優良顧客向けに特別なイベントやおもてなしを行うことによって、識別顧客による取り扱いが大きく伸長した。

伊勢丹新宿本店の「丹青会」、三越日本橋本店の「逸品会」では、2023年2月開催時において売上高が過去最高となった。特に、伊勢丹新宿本店については、クリスマスや年末年始、人気催事などのイベントも大変な賑わいとなったほか、個人外商の大幅伸長などにより、売上高が過去最高を更新した。一方、大都市圏の一部を除く地域店舗においては、消費の回復が遅れている。また、インバウンド利用については、2022年10月の水際対策緩和に伴い復調しているものの、コロナ前と比べて5割強の回復に留まっている。

海外については、成都伊勢丹百貨有限公司が賃貸借契約終了に伴い、2022年12月に閉店した。海外計では増収増益となり、引き続き、国・地域ごとの状況に合わせた “選択と転換” を進めるとともに、商業運営ノウハウを活かした新たな取り組みの拡大を目指す。

クレジット・金融・友の会業は、売上高308億2300万円(前年比1.1%増)、営業利益37億9100万円(37.5%減)。
(株)エムアイカードでは、回復傾向の強い旅行や飲食領域でのクレジットカード利用が伸長したことにより、百貨店外での取扱高はコロナ前水準を上回り、過去最高となった。一方で、グループ内取引の減収などによって減益となった。

不動産業は、売上高205億1800万円(13.5%増)、営業利益40億1400万円(28.1%減)。

(株)三越伊勢丹プロパティ・デザインでは、コロナ禍で工事延期となっていた外部クライアント案件の完工増加や新規受注を拡大した。また、グループのリソースを最大限活用し収益を拡大させる連邦戦略により、グループ百貨店リモデル案件の受注が大幅に拡大し、前年に対し増収増益となった。一方、保有物件におけるテナント誘致が計画から遅延したことにより、賃料収入が減収した。

その他の事業は、売上高777億2800万円(56.8%増)、営業利益11億3600万円(145.9%増)。

物流業の(株)三越伊勢丹ビジネス・サポートでは、グループ内物流において、百貨店の売上げ回復に伴う商品の取扱荷量の増加から館内物流業務が大きく伸長した。グループ外物流については、顧客接点の拡大を最重要課題に掲げ、新規受託領域の拡大に努めた。その結果、事業計画は堅調に推移し、営業利益は計画値を上回った。

旅行業の(株)三越伊勢丹ニッコウトラベルでは、本格的に募集型企画旅行を再開した海外旅行がコロナ前の売上げの6割程度まで回復した。国内旅行についても、行動制限やマスク着用ルールの緩和、全国旅行支援策などを受け、グループ百貨店の外商顧客を中心に堅調に推移した。

広告代理業の(株)スタジオアルタは、広告需要の回復にともない主力の屋外広告事業が堅調に推移した。また、事業構造改革を推進した結果、3年ぶりに営業黒字に転換し、前年に対して増収増益となった。

次期(2024年3月期)は、売上高5100億円(前年度比4.6%増)、営業利益350億円(18.2%増)、経常利益370億円(23.3%増)、当期純利益280億円(13.5%減)を見込む。

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