イオンnews|第3Q営収7兆259億円・経常1331億円/過去最高

イオン(株)(千葉市美浜区、吉田昭夫社長)は2023年2月期第3四半期決算では連結業績は、営業収益が7兆0258億5500万円(前年同期比4.5%増)、営業利益は1428億7900万円(26.3%増)、経常利益は1331億1500万円(23.8%増)。四半期純利益は183億5900万円(前年同期は36億8200万円の損失)。全ての収益、利益とも過去最高となった。

イオングループ中期経営計画(2021~2025年度)で掲げた5つの変革「デジタルシフトの加速と進化」「サプライチェーン発想での独自価値の創造」「新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化」「イオン生活圏の創造」「アジアシフトの更なる加速」を着実に推進し「環境・グリーン」の取り組みを進めている。

「デジタルシフトの加速と進化」ではGMS事業やSM事業は、セルフスキャン、セルフチェックアウトシステムの導入を進めた結果、レジ待ち時間短縮と、店舗オペレーションの効率化により人時生産性が向上した。AI活用のツール導入により業務効率化が進み荒利益率や生産性が改善している。オンライン販売では、店舗から出荷するネットスーパーの売上が継続拡大しているほか、7月にはイオンネクスト(株)が顧客フルフィルメントセンター(CFC)から出荷するオンラインマーケット「Green Beans(グリーンビーンズ)」をグランドオープンし、東京都の11特別区、千葉県の8市及び神奈川県川崎市においてサービスを展開している。

「サプライチェーン発想での独自価値の創造」では発売から50年を迎えるPBは、ナショナルブランド同等品質の低価格提供から、企業理念を具現化した差別化や競争優位性の源泉へとポジションを変化させた。2025年にPB全体としての売上2兆円を達成すべく、今年度は1.5兆円、うちトップバリュ、トップバリュ ベストプライス、トップバリュ グリーンアイの3ブランドで1兆円の売上を目指す。

また、2025年までにトップバリュのすべての商品をReduce(リデュース=削減化)、Reuse(リユース=再使用化)、Recycle(リサイクル=再資源化)のいずれか、あるいは複数に対応して開発された環境配慮3R商品に切り替える。

「新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化」では未病領域を含む新たな健康ニーズに対し、商品・サービス・場の提供を進めます。イオンモールなどの複合型商業施設や、イオンウエルシア九州(株)が展開する調剤併設型ドラッグストアとSMが融合した新業態店舗を訪れる顧客に対して、医薬品のみならず、健康を支える食材、運動、旅行などをワンストップで提案する。

「イオン生活圏の創造」では中期経営計画で掲げている「5つの変革」を重層的に実施することで実現を図る。11月には、「関東における1兆円のSM構想」のもと、(株)いなげやの51%を取得上限とした株式公開買付けを完了させた。

「アジアシフトの更なる加速」では人口ボーナス期で消費性向の高いベトナムを最重要国として位置づけ、ECを含めたマルチフォーマットでのドミナント出店を進めている。国際協力銀行より、小売業に対する初の融資を受けて2030年までに30店舗のGMSの出店を目指す。中国では11月、2年半ぶりに新たなモール「イオンモール武漢江夏(湖北省武漢市)」をオープンさせた。

「環境・グリーン」では2023年8月、CO2排出量、使い捨てプラスチック使用量、食品廃棄物発生量の削減目標を掲げ、未達の場合は脱炭素に資する活動をする団体に寄付をするサステナビリティ・リンク・ボンドにて資金を調達した。CO2排出量のほか資源循環促進の目標を伴う発行は国内初。

また、プラスチック製レジ袋を、イオン、イオンスタイル全 523 店舗の売場において、環境に配慮した FSC 認証紙や植物性インキを使用した有料の紙製に 10 月以降順次切り替えている。

セグメント別の業績ではGMS事業は、営業収益2兆 4901 億 6000万円(4.1%増)、営業損失 12 億 9100万円(前年同期より 135 億 1500万円の改善)。イオンリテール(株)は、「荒利益額の最大化」「ショッピングセンター収益改善」「デジタル売上拡大」を実行しながら、さまざまなコスト上昇に耐えうる「収益構造改革」を加速していて、第3四半期連結累計期間は増収となった。

荒利益額の最大化に向けては、成長カテゴリーの売場拡大や品揃えを拡充する中、食品・H&BC(ヘルス&ビューティーケア)が牽引した。衣料では、売場環境とオペレーション刷新で接客を強化する「専門店モデル」を展開拡大し、荒利益率の改善を進めている。

住居余暇では、 PB の HOME COORDY を一新し、商品とサービスのコーディネート提案が可能な売場へと変革させている。イオンショップやイオンスタイルオンラインにおける実店舗と連動した「イオン ブラックフライデー」などの施策強化に取り組んだ。

イオン北海道(株)では、経営ビジョン「北海道のヘルス&ウエルネスを支える企業」の実現に向けて中期5カ年経営計画の3年目となる今年度を事業モデル確立の年度と位置づけ、「商品と店舗の付加価値向上」「顧客化の推進」「収益構造の改革」「地域との連携」に取り組んでいる。電子棚札を20店舗に導入、セルフレジは32店舗への新規・追加導入により累計で118店舗と業務効率の改善を進めた。店舗では3店舗の新規出店と8店舗の大型活性化を行った。

イオン九州(株)は、5月に「私たちの『たからもの』 九州をもっと―」をパーパスとして制定し、特定した6つのマテリアリティ(重要課題)とともに公表した。中期経営計画に掲げた「食の強化」「非食品分野の専門化」「DX 推進」「環境・地域社会への貢献」の取り組みを推進し、単体の業績は営業収益、各段階利益とも過去最高を更新した。出店では福岡県内では、GMS1店舗、「マックスバリュエクスプレス」を含むSM5店舗、ホームセンター1店舗のほか、新フォーマット「ウエルシアプラス」4店舗を新規出店した。

SM事業は、営業収益2兆 261 億 5700万円(3.4%増)、営業利益 218 億 7000万円(前年同期より 144 億 2900万円の増益)となった。ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(株)(U.S.M.H)は、商品と店舗変革による店舗収益の拡大、OMO(Online Merges with Offline)による店舗外収益の拡大、保有知的財産を活用したビジネス領域の拡大を柱とする、3カ年の中期経営計画に今年度から着手している。

また、2024 年3月 1 日にフジを存続会社、フジ・リテイリング及びマックスバリュ西日本(株)を消滅会社として吸収合併する再編を行う。今後。マックスバリュ西日本と食品の共同開発を行うなどシナジーの創出に取り組む。

マックスバリュ東海(株)では、ブランドメッセージである「想いを形に、『おいしい』でつながる。」を具現化すべく、地域に根差した店舗づくりや商品・サービス開発に取り組むに取り組む。また、累計 223 店舗へのキャッシュレスセルフレジの導入や、気象予測データを活用した生鮮食品の自動発注支援システムの全店舗農産部門への導入で、顧客の利便性と生産性の向上を図った。

DS事業は、営業収益 2997 億 6100万円(4.9%増)、営業利益 60 億 9800万円(前年同期より 48 億 4100万円の増益)となった。多くの生活必需品の値上げが続き、家計の負担が増していく中、まとめ買い、単位当たりの安さへのニーズに対応したケース販売、大容量商品の訴求により、1点単価、客単価がアップした。人件費や物流コストの増加に対しては、積載効率の改善を中心とした配送効率の見直し、物流網・物流拠点の再整備を進めるほか、セルフレジの導入、iAEON や AEON Pay の活用で顧客の利便性向上を図っている。

ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益 9145 億 9300万円(7.6%増)、営業利益 304 億 6400万円(前年同期より 4 億 2200万円の減益)となった。

ウエルシアホールディングス及び同社連結子会社では、第3四半期連結累計期間、マスクや抗原検査キットなどのコロナ対策関連商品に対する需要は、感染縮小とともに減少したが、各国の行動規制緩和を受けたインバウンド需要の回復により、総合感冒薬などの医薬品や、外出の増加により化粧品の需要が増加した。

また、オリジナル PB の「からだ Welcia」「くらし Welcia」に加え、トップバリュの売上も増加した。調剤部門は、調剤併設店舗数の増加(期末現在 2117 店舗)や医療機関受診頻度の回復により、処方箋受付枚数が増加した。また、 WAON POINTサービスを全国の店舗に導入した結果、同社のポイント会員であるウエルシアメンバーが 990 万人を超えた。

総合金融事業は、営業収益 3551 億 5800万円(6.6%増)、営業利益 272 億 4900万円(前年同期より 147 億 23 百万円の減益)となった。イオンフィナンシャルサービスは国内及び海外において、グループ共通ポイントを活用した利便性の向上、モバイルサービスの拡充、新規事業の創出など、中長期的な成長に向けた投資及び基盤整備を進めるとともに、デジタル金融包摂の進展に取り組んでいる。

国内では、実店舗の強みを活かした対面相談とともに、IT 技術の活用による利便性の向上に取り組んだ。口座開設キャンペーン実施やクラウドファンディングの参画など商品ラインナップの拡充、AEON Pay の利用可能場所の拡大及び加盟店と共同販促企画などグループ内外で連携を強化した結果、イオン銀行の預金口座数は 854 万口座(期首差 25 万口座増)、国内カード有効会員数は 3132 万名(期首差 50 万名増)、カードショッピング取扱高は5兆 2571 億 1800万円(対前年同期比 109.4%)と堅調に推移した。

海外では、マクロ環境の悪化やインフレ、各国政府によるコロナ下の支援策の縮小など厳しい収益環境にあるものの、消費活動の回復に伴い、カードショッピング及び個品割賦の取扱高の増加が継続している。

ディベロッパー事業は、営業収益 3472 億 6800万円(5.8%増)、営業利益 345 億 9000万円(前年同期より 12 億 1300万円の増益)となった。

イオンモール(株)は、国内では、生活者の外出意欲の改善が続く中、ハロウィンやブラックフライデーでも集客強化に努めた。夏のクールシェアに加え、12 月から 2024 年2月には国内のイオンモールをウォームシェアスポットとして登録し、アプリや WAON POINT 施策との連動など、マーケティングデータに基づく顧客の購買意欲を喚起する取り組みと合わせて、モールのアセットを活用しながら時節の集客と売上の拡大を図る。

事業創出では、コーポレート・ベンチャー・キャピタル「Life Design Fund」の設立や専門店テナント企業に対する共同配送サービスなどを実施し、ESG 経営の実現に向けては、「イオンモール まちの発電所」の拡大に加え、顧客参加型の EV 充電「V2AEON MALL」サービスやバイオガス発電の導入、営農型太陽光発電の新たな取り組みを進める。

海外では、2025 年度末時点での海外 50 モール体制実現を目指し、新規出店を加速している。

サービス・専門店事業は、営業収益 5935 億 5600万円(4.7%増)、営業利益 120 億 7500万円(前年同期より 60 億 4200万円の増益)となった。イオンディライト(株)は全7事業で増収し、中でも省エネ関連工事や改装・修繕工事の受託を拡大した建設施工事業、並びに各種資材の受注を拡大するとともに原価上昇分の売価への適正な反映が進んだ資材関連事業が2けた成長となった。

(株)イオンファンタジーは期末店舗数は国内 699 店舗、海外 451 店舗、合計 1150 店舗となった。国内事業では、戦略的小型店「TOYS SPOT PALO(カプセルトイ専門店)」と「PRIZE SPOT PALO(プライズ専門店)」の出店や、駅ビルや百貨店など新たな立地の開拓を進めるカプセルトイ部門とプライズ部門に加え、ブラックフライデーキャンペーン期間に販促を行ったメダル部門も好調だった。

(株)キャンドゥは、グループとの協業によるシナジーを最大限に発揮するため、「販路の拡大」「商品・ブランドの差別化」「企業価値の向上」を掲げ、顧客満足の向上を図る取り組みを強化している。販路の拡大では、グループを中心に出店を加速させた結果、期末店舗数は 1272 店舗となった。商品・ブランドの差別化では、生活防衛意識に対応した 100 円商品と、付加価値を提供する他価格帯商品のMDを構築し、趣味嗜好品の品揃えも拡充した。

国際事業(連結対象期間は主として1月から9月)は、営業収益 3803 億 1700万円(2.7%増)、営業利益 70 億 3800万円(前年同期より 18 億 9500万円の減益)となった。

アセアン諸国では米中摩擦やウクライナ・ロシア情勢の影響が続いていて、GDP 成長率予測の下方修正が相次ぐ中で、イオンマレーシアでは、対前年同期比でテナントの入居率が改善した。イオンベトナム)とともに、衣料や住居余暇の売上は厳しいものの、生活必需品では消費者ニーズに応えた EDLP(Everyday Low Price)などの価格訴求策が奏功し、好調を維持した。

両国では、SM新店舗で地域のニーズに密着した品揃えを進めた結果、デリカなどの即食商品を中心に大きな支持を得ている。さらに、ネットスーパー「myAEON2go」の売上高は、イオンマレーシアでは対前年同期比で4割増加している。

10 月にローンチしたイオンベトナムでもノウハウを共有し、顧客基盤の拡大を図っていく。中国はステイホーム需要がいずれも縮小している一方で、ゼロコロナ政策の解除により客数が回復し、衣料品の売上が増加傾向にあるほか、AEON (HUBEI) CO.,LTD.(イオン湖北)は売上高、営業利益ともに好調を維持している。

関連カテゴリー

決算 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧