セブン&アイnews|営業収益11兆4718億円2.9%減ながら営業利益過去最高
(株)セブン&アイ・ホールディングス(東京都千代田区、井阪隆一社長)の2024年2月期業績は営業収益11兆4717億5300万円(対前年増減率2.9%減)、営業利益5342億4800万円(5.5%増)、経常利益5070億8600万円(6.6%増)、当期純利益2246億2300万円(20.1%減)となった。
国内コンビニエンスストア事業の営業収益は9217億0600万円(前年同期比103.5%)、営業利益は2505億4400万円(108.0%)となった。セブン-イレブン・沖縄などが加わった数値である。
中核の(株)セブン-イレブン・ジャパンの営業利益は2510億2900万円(107.8%)、チェーン全店売上高は5兆3452億4300万円(103.8%)となった。「ファストフード等のオリジナル商品やセブンプレミアムの開発強化」「取り扱いアイテム数増加を図るための売場レイアウトの変更」「イベント感を演出する販売促進」等の取り組みを実施した。
デリバリーサービス「7NOW」については全国展開に向けた取扱店舗拡大および体制構築等の取り組みを強化した。それに加えて9月5日から「7NOWアプリ」を開始した。また、地域やメニューなどのテーマを設定したフェアを積極的に展開した。アプリを活用した販促にも力を入れた。これらの各種施策によって、既存店売上高は前年を上回った。
2月29日には、イトーヨーカ堂との協働で新コンセプト店舗「SIPストア」をオープンした。
海外コンビニエンスストア事業の営業収益は8兆5169億3900万円(96.3%)、営業利益は3016億2800万円(104.1%)となった。北米は、引き続きインフレの進行と金融引締めに伴う景気減速の懸念に加え、COVID-19期間中の景気刺激策の終了によって個人消費環境が厳しい状況にある。しかし7-Eleven, Inc.は収益性の高いオリジナル商品(フレッシュフード、専用飲料、プライベートブランド商品)の開発と販売の強化を継続して好調を維持した。デリバリーサービス「7NOW」の取り組みも進め、デジタル技術の活用による顧客ロイヤリティの向上に取り組んだ。
9月11日にはフレッシュフード専用のヴァージニア工場を稼働させた。また、2021年5月に取得したSpeedway事業との統合プロセスは順調に進捗した。統合以来の累計で9億7750万米ドルのシナジーが発現し、目標としていた8億米ドルを達成した。
ドルベースの米国内既存店商品売上高は前年を上回った。自営店と加盟店の売上げを合計したチェーン全店売上高は、商品売上げが伸長したものの、ガソリンの価格下落とそのガソリンの販売量の減少により、10兆2004億1400万円、前年比97.7%となった。
一方、商品粗利率の改善および円安の影響などにより、営業利益は4139億6600万円(104.4%)となった。また、北米市場における成長に向けて、2024年1月に米国Sunoco LP社からのコンビニエンスストア事業およびガソリン小売事業の一部の買収を公表した。
7-Eleven International LLCでは、2025年度までに日本と北米を除く地域で5万店の店舗網の確立を目指す。2030年度までには日本・北米を含めた全世界で30の国と地域での店舗出店を目指す。これらの方針のもと、既存展開国と新規展開国の両輪で成長戦略を推進する。
スーパーストア事業の営業収益は1兆4773億8400万円(101.9%)、営業利益は135億8800万円(109.6%)となった。(株)イトーヨーカ堂は、収益性改善に向けた抜本的変革と成長施策の実行を進めている。2023年9月1日付でイトーヨーカ堂を存続会社とし(株)ヨークを消滅会社とする吸収合併を完了した。また、販売力の強化とともに販管費削減や生産性改善に取り組んだ。さらにプロセスセンターやセントラルキッチン、ネットスーパーなどの戦略投資インフラを稼働させた。
また、店舗網の首都圏へのフォーカス加速の一環として、2024年2月に北海道・東北・信越エリアの一部店舗について、(株)ヨークベニマル、(株)ダイイチ及び(株)OICグループと事業承継等に関する契約を締結した。店舗閉鎖、事業承継については33店舗が決定済みとなっている。ヨークとの合併に伴って売上高は前年を上回ったが 、戦略投資インフラ整備に伴うコスト増加などによって、12億0500万円の営業損失(前年同期は4億0800万円の営業利益)となった。
営業面では人流回復に加え、原材料価格高騰への適切な値上げ対応を行った。また販売促進施策が奏功して、既存店売上高は前年を上回った。この結果、新店関連費用や人件費などの販管費は増加したものの、営業利益は187億0100万円で103.8%となった。
井阪隆一社長は、「SST事業については、現在の抜本的変革の先にある長期的な成長のための有力な選択肢の1つとして、 当社によるSST事業の一部持分の継続保有およびコンビニ事業とSST事業の食品開発領域における協働体制の維持を前提に、最速のタイミングでのSST事業の株式公開を検討する」と語った。時期としては2027年以降としている。
金融関連事業の営業収益は2074億7900万円(106.8%)、営業利益は381億7200万円(102.8%)となった。(株)セブン銀行の期末時点の国内ATM設置台数は2万7370台(前期比481台増)となった。1日1台当たりのATM平均利用件数は104.6件(前期比3.5件増)となり、ATM総利用件数は前年を上回った。同行における現金および預け金は、ATM装填用現金を含めて8771億円となった。