イオンnews|第2Q営業収益4兆9994億円6.1%増/売上高過去最高も減益

イオン(株)(千葉県千葉市、吉田昭夫社長)の2025年2月期第2四半期決算は、営業収益4兆9994億3500万円(前年同期比6.1%増)、営業利益986億円(16.2%減)、経常利益898億1900万円(19.7%減)。四半期純利益は54億8800万円(76.5%減)となった。

営業収益は4期連続で過去最高、全事業で増収を記録した。営業利益も過去最高を記録した前期に次ぐ水準だったが、売上総利益率の低下と販管費増により減益となった。

吉田昭夫社長は「前年同時期、業績をけん引した小売事業が、価格強化戦略をとったため、売上高、客数を伸ばすことができたが、人件費など販管費増加分を吸収できなかった」と語った。

通期の業績予想である営業収益10兆円、営業利益2700億円、経常利益2600億円、当期純利益460億円に変更はない。

事業部門の概況ではGMS事業は、営業収益1兆7552億7600万円(2.6%増)、営業損失82億6000円(前年同期より117億7800万円減)となった。中核企業のイオンリテールは、「荒利益額の最大化」「ショッピングセンター収益改善」「デジタル売上拡大」を実行しながら、コスト上昇に耐える「収益構造改革」を加速している。

食品売場へのセルフレジの導入がほぼ完了し、顧客によるセルフスキャンと無人精算機でまとめて支払う「レジゴー」展開店舗が2024年6月に300店を突破した。

9月にはイオンのトータルアプリ「iAEON」に「レジゴー」の組み込みを開始した。中期経営計画期間中に、グループ内各社が個別に認識している顧客IDの共通化を進め、顧客が使用するイオンカードや「iAEON」「WAON POINT」「AEON Pay」によってグループ内外に蓄積した販売データと購買履歴情報を活用して、ワントゥワンマーケティングを進める。

実店舗では、レジの無人化のほか、「AIカカク」、「AI オーダー」など、AI活用で創出された人時を接客や売場での創意工夫など、顧客満足に直結する業務に充てる。また、食品PBを中心にシェアと客数を重視した低価格戦略の結果、粗利益率が低下した。一方で、期間を限定せずに3月に「厳選28品目」、7月に「厳選32品目」で実施した値下げは、ナショナルブランド対比での価格優位性に対する顧客の支持が進んだ。

SPA(製造小売)型による粗利益率向上を目標とした衣料改革では、デイリーカジュアル、ネクストエイジ(若年層)、スポーツライフ、セカンドライフ(シニア層)、オケージョン、雑貨の6つの領域にて、売場環境、品揃え、接客を含めた働き方改革を進めている。

「専門店モデル」の導入を進め、期末では累計6店舗となった。モデル店舗は売上高・荒利益額ともに改善しており、下期にはさらに8店舗に導入する。

住居余暇では、6月の定額減税を受けての販促施策や酷暑対策商品、南海トラフ地震の懸念や気温の上昇に伴う豪雨による水害発生を受けて防災関連商品が好調に推移した。大型店は、売場の改善に加え、生産性向上による接客へのシフトなど働き方も含めた新しいモデルを導入し、粗利益率の改善を進めている。

食品では、トップバリュやデリカで付加価値を高める商品リニューアルを実施した。成長カテゴリーである冷凍食品は、専門店「@FROZEN」の出店と既存売場拡大を行ったことにより、食品全体で既存店売上高は対前年同期比で103.4%と伸長した。

スーパーマーケット事業は1兆4998億1300円(10.8%増)、営業利益103億4700万円(61億3600万円減)。ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)及び同社連結子会社では、期中はマルエツ草加デリカセンターを本格稼働させた。調理食品の品揃えの充実とともに、店舗作業の軽減化を目指し、同社グループの約500店舗への商品供給を開始した。

いなげやとは、11月の経営統合に向けた準備を推進し、商品の共同調達、物流・プロセスセンターの整備と効率化、バックオフィスのコスト削減、キャッシュレスやポイントカード等の共同施策、ネットビジネスの開発や拡大等、統合効果を発揮できる体制の模索を進める。

事業会社のマルエツでは、客数及び客単価が前年同期を上回り、増収増益となった。セルフレジを累計229店舗、電子棚札を累計150店舗へ拡大するなど生産性の向上に努め、来店宅配サービスを累計215店舗で実施して接客・サービスを充実させている。

カスミは消費頻度の高い商品の店頭価格の値下げを行い、新店ではデジタルを利用した鮮魚の加工注文システムを導入するなど、顧客サービスの充実に努めた結果、客数が回復傾向となり、客単価も前年同期を上回った。

マックスバリュ関東では地域の顧客のライフスタイルに合わせた青果・鮮魚部門での対面販売や、新鮮な素材を店内加工した生鮮惣菜を強化した。

フジは中国・四国・兵庫エリアを事業基盤として2030年度における目標を営業収益1兆円とする2024~2026年度中期経営計画に挙げた3つの基本戦略「企業文化の確立」「既存事業の改革」「事業インフラの統合とシナジー創出」と「ESG経営の推進」に挙げて取り組んでいる。

マックスバリュ東海では、中期経営計画(2024~2026年度)で掲げた3つの基本戦略「事業構造の変革」「テクノロジーの活用を通じた付加価値の創造」「サステナビリティ経営の推進」に取り組んでいる。

DS事業は、営業収益2041億0100万円(1.8%増)、営業利益39億9600万円(2億5200万円減)となった。ビッグ・エーでは、店舗活性化で品揃えとゾーニングの見直しに取り組んだ結果、増収増益となった。

H&BC(ヘルス&ビューティーケア)事業は、6574億1800万円(7.1%増)、営業利益184億9700万円(57億6300万円減)。中核企業のウエルシアホールディングスでは、2030年の姿として「地域No.1の健康ステーション」の実現を目指している。

6月には、長野県を地盤に21店舗を展開するとをしや薬局、また9月にはいなげやからウェルパークの株式を取得し、連結子会社とした。地域の有力企業とのグループ化によって「調剤併設」「カウンセリング」「在宅介護」「深夜営業」の4つの強みをもとにウエルシアモデルを中心とした施策を進めている。

ディベロッパー事業では、2467億9600万円(5.8%増)、営業利益273億8500万円(22億9800万円増)。金融事業は2552億9600万円(7.4%増)、営業利益274億8900万円(58億6600万円増)。

国内では、5月に円預金及びローン金利の改定を実施した。イオン銀行では、競争力のある優遇金利の設定に加えて住宅ローン契約者のイオングループでの買物が毎日5%割引となるメリット訴求に努めた結果、住宅ローンの取扱高は3202億6300万円(21.7%増)となった。

国内カード有効会員数は3200万人(期首差51万人増)、カードショッピング取扱高は3兆7054億9000万円(6.1%増)。海外では、各展開国における顧客ニーズに対応した金融サービスの導入を強化した。

サービス・専門店事業は3668億1500万円(1.1%増)、営業利益141億9300万円(25億0800万円減)。

国際事業は2738億9600万円(7.5%増)、営業利益49億5300万円(8億6500万円減)。マレーシアでは、生活防衛意識は継続している一方、昨年来低迷していた輸出が5月以降上向き、従業員積立基金(EPF)で新制度が開始されるなど、消費の外部環境が好転した。

AEON CO.(M)BHD.(イオンマレーシア)では、PBや自社で輸入調達した商品を拡販の中心に据え、既存店の大型改装や生鮮・デリカの拡充で収益拡大に取り組み、店舗、モールとも増収した。

AEON VIETNAM CO.,LTD.(イオンベトナム)は、既存店、新店ともに増収し、PBやデリカなどで他社との差別化を進めた食品の売上高が増加した。GMSと大規模SMを合わせた8拠点で展開するネットスーパーでは、実店舗のブースやオンラインで積極的に新規登録者の獲得を進めた結果、第2四半期だけで会員数が約40%増加した。

中国は、不動産不況と消費鈍化により、第2四半期(4~6月)の前年同期比実質GDP成長率は、+4.7%と低水準にとどまった。そのような中でも湖北エリアでは武漢江夏店が好調を維持し、荒利益率も改善した。

第3四半期以降は催事を強化し、トップバリュ50周年に合わせた売れ筋商品の増量や割引企画、東南アジア生産商品の販売、店舗へのデジタルツールの導入など、利益改善策に注力する。

関連カテゴリー

決算 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧