イオンnews|第3Q営業収益7兆4706億円6.3%増・経常利益23.3%減

イオン(株)(千葉市美浜区、吉田昭夫社長)の2025年2月期第3四半期決算の連結業績は、営業収益7兆4705億7500万円(前年同期比6.3%増)、営業利益1175億6900万円(17.7%減)、経常利益1020億6300万円(23.3%減)。四半期純利益は156億6700万円の純損失となった。

営業利益率1.6%(2.0%)、経常利益率1.4%(1.9%)。( )は前年数値。

増益の要因は、高利回りな営業債権残高の増加により、資本収益性が向上した総合金融事業、増床やリニューアル効果で、賃料収入が増加したディベロッパー事業、すべての上場子会社の損益が改善したサービス・専門店事業が貢献したこと。

一方、小売事業を構成するGMS(総合スーパー)事業、SM(スーパーマーケット)事業、DS(ディスカウントストア)事業、ヘルス&ウエルネス事業、国際事業が減益となった。

主な取り組みでは省力化に向けて、GMS事業の中核会社イオンリテール(株)が、食品売場へのセルフレジの導入がほぼ完了させた。顧客が各売場で商品をスキャンしながら合計額を確認し、無人精算機でまとめて支払う「レジゴー」展開店舗は、6月に300店舗を突破した。

また、最適な値引き率を提示して食品ロスを削減する「AIカカク」や、需要予測に基づき商品発注を最適化する「AIオーダー」等を導入することで創出人時を、接客や売場での創意工夫など、顧客満足に直結する業務に充てている。

オンラインチャネルでは、顧客フルフィルメントセンター(CFC)から商品を出荷するネットスーパー「GreenBeans(グリーンビーンズ)」では、店舗数が限られる首都圏エリアでの事業基盤強化が順調に進めている。

サービス提供エリアが東京23区全域に拡大した12月末時点の会員数は約42万人まで増加し、ハブとなるCFC以外に6カ所のスポーク(中継地点)を配備したことで、配送エリア全域で730万世帯以上の顧客への配送が可能となった。

プライベートブランド(PB)「トップバリュ」では、「トップバリュベストプライス」(価格訴求型)の厳選品目の値下げや増量で価格意識の高い顧客のニーズに応えている。

また、グループ各社が地域生産者と連携して開発するローカルPBや、薬、ペット、スポーツといった専門性の高い商品群のPBも展開している。2025年度までにPB全体で売上高2兆円を目指す。

商品インフラ面では、本格レストランで提供される品質を実現しつつ、効率的に商品を製造・販売できる次世代型総菜プロセスセンター「CraftDelica Funabashi」(千葉県船橋市)が6月に稼働させた。

セグメント別の概況ではGMS事業は、営業収益2兆6161億0200万円(102.6%)、営業損失192億2500万円(前年同期より177億3800万円の減益)となった。

とくにイオンリテールは、「荒利益額の最大化」「ショッピングセンター収益改善」「デジタル売上拡大」を実行しながら、さまざまなコスト上昇に耐えうる経営基盤を構築すべく、「収益構造改革」を進めている。

SM事業は、営業収益2兆2443億0800万円(110.8%)、営業利益118億5800万円(前年同期より100億1200万円の減益)となった。U.S.M.Hは11月末にいなげやと経営統合したことを契機に事業会社間との関係を抜本的に見直し、全体の連携強化とともに、首都圏最大規模のスーパーマーケットとして強固な経営基盤を構築する体制への移行を進めている。

ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益9882億1300万円(対前年同期比108.0%)、営業利益226億6000万円(前年同期より78億0400万円の減益)となった。ウエルシアホールディングスおよび同社連結子会社では、2030年の姿として「地域No.1の健康ステーション」の実現を目指している。

6月には、長野県を地盤に21店舗を展開する(株)とをしや薬局を完全子会社化し、9月にはウエルシア薬局(株)が吸収合併した。また、同月にはいなげやから(株)ウェルパークの株式を取得した。

ディベロッパー事業は、営業収益3676億5000万円(105.9%)、営業利益386億5700万円(前年同期より40億6700万円の増益)となった。国内では、期中11モールのリニューアルを実施し、来店客数も好調に推移した結果、既存モール専門店売上高が対前年同期比106.0%(対象92モール)と大きく伸長し、歩合賃料収入が大きく増加したことで2ケタ増益を達成した。

さらに、観光地や空港至近のモールを中心にインバウンド消費の需要に対し取り込みを図った結果、免税売上高が対前年同期比約2倍と大幅に伸長した。

海外では、中国では新規モールの開業や、全モールで開催した「イオンモール超級大旺日(スーパーラッキーデー)」をはじめとするキャンペーン等の効果もあり増収したが、低価格志向の影響による既存モールの成長鈍化や前期閉店モールの利益減少等の影響もあり減益となった。

ベトナムでは指導者の死去に伴う自粛ムードや台風の影響で一部売上高に影響が出たものの、消費は堅調で、既存モール専門店売上高は対前年同期比107.5%と増加した。また、中部エリア初のイオンモール フエ(フエ省)をオープンし、新たな市場開拓を進めている。

総合金融事業は、営業収益3868億4100万円(108.9%)、営業利益383億7300万円(前年同期より111億2300万円の増益)となった。

サービス・専門店事業は、営業収益5434億1400万円(101.7%)、営業利益164億0600万円(前年同期より41億3700万円の増益)となった。

国際事業は、営業収益4093億8100万円(107.6%)、営業利益58億0100万円(前年同期より12億3700万円の減益)となった。とくにベトナムでは、第3四半期連結会計期間(7~9月)の市場規模が対前年同期比107.4%と拡大し、AEON VIETNAMCO., LTD.(イオンベトナム)の売上高は対前年同期比121.4%、当第3四半期連結累計期間(1~9月)で116.9%となった。

中国では、不動産不況の長期化や厳しい雇用情勢を背景に、個人消費が伸び悩み、第3四半期連結累計期間(1~9月)累計の対前年同期比実質GDP成長率は4.8%と、依然として政府目標の+5.0%前後を下回っている。消費者の節約志向が一層強まった結果、客単価の低下が進んでいる。

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