飲料市場全体ダウントレンドで49期連続増収の伊藤園の上半期決算もマイナス基調

緑茶飲料の市場シェア35%を誇る、伊藤園の上半期決算が発表された。(株)伊藤園の本庄大介社長から報告。
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2015年4月期第2四半期が終了した時点での連結売上高は2338億5200万円。対前期比はマイナス2.1%だった。営業利益は81億8700万円のマイナス43.4%、経常利益80億1900万円マイナス43.2%、そして純利益が43億7800万円でマイナス47.4%。

 

伊藤園単独での実績が著しく悪い。売上高1943億3800万円で対前期比がマイナス3.7%、そして営業利益が51億6300万円でマイナス53.8%。

 

一方で連結子会社は健闘している。北米に展開するITOEN Inc.は売上高プラス12.0%。ただし、円安が影響し、ドルベースではプラス6.4%。さらにタリーズコーヒーはプラス9.5%、チチヤスがプラス1.3%だった。

 

さて、春から夏にかけての稼ぎ時に前年割れとなった伊藤園。ただし、伊藤園だけでなく、飲料業界全体がダウントレンドになっている。原因は想定をはるかに超えた夏場の天候不順と日照時間の少なさ、そして消費増税。ある程度買いだめのできる飲料は駆け込み需要で一時的に売れたものの、4月以降の回復が鈍く、夏以降の消費衰退により、商品の動きは悪かった。

 

また野菜系飲料の大きな落ち込みもマイナス要因の一つ。2年ほど前に空前のトマトブームが訪れ、トマトジュースや野菜ジュースが爆発的に売れた。しかし、その反動で今では2桁ダウンしており、競合のカゴメも苦戦している。ヨーグルト飲料への流出、コンビニのカウンターコーヒーの躍進、さらには自宅で野菜スムージーを作る家庭が増えていることなどが野菜系飲料の不振をもたらしていると考えられる。しかし、果汁飲料は伸び盛りなので、果実で売上げを補完しつつ、野菜系飲料の改善・改良をしていくという。

 

主力の茶系飲料は厳しいながらも市場全体では圧倒的にトップに立っており、今後40%以上のシェアを目標としている。下半期は通常、コールド飲料が回転しない時期だ。新商品を世に出すのは、新茶が出回る春先。しかし今期は上半期のマイナスをカバーする狙いもあり、販促を前倒しする。1月下旬に「お~いお茶」のリニューアルや桜をモチーフにしたパッケージデザインを発売し、広告販促に力を入れる。

 

伊藤園は今期、創業50周年(伊藤園の前身時代も含め)。「お~いお茶」発売開始30周年、俳句大賞25周年、伊藤園レディスゴルフトーナメント20周年など、節目の年。さらに伊藤園は創業以来49期連続増収している。本庄大介社長が社長就任した2010年も前年クリアが危ぶまれたが、結果的に超えることができた。

今期前半戦は失速してしまった伊藤園。後半戦の巻き返しに期待がかかる。

 

飲料業界全体がダウントレンドとなった今年の夏だが、大幅伸長を記録したのが、サントリー。11月6日発表のサントリーホールディングス(株)の第3四半期決算発表では、飲料部門の売上高は9350億万円の前年同期比プラス12.4%で絶好調。新発売のフレーバー付き炭酸水や特定保健用食品で圧倒的な人気を誇る「伊右衛門 特茶」、ヨーロッパで人気の炭酸飲料「オランジーナ」や「シュウェップス」がよく売れた。

その他飲料メーカーの直近の売上高実績をまとめてみる(いずれも2014年第3四半期)。
アサヒ飲料が3591億7300万円で前年同期比1.8%プラス。
キリンビバレッジは8390億円のマイナス3.7%。
業界トップのコカ・コーラ社は製造販売を各地域のボトラーが担っているため、総売上高の発表はできないが、とくに西日本のコカ・コーラウエストでは天候不振やディスカウントによる販売単価の下落などが要因となり前年クリアとはいかなかった。

以上のように、西日本太平洋側の「観測史上最も少なかった日照時間」と4月~10月の間に「4つの台風が上陸」したことが飲料業界に影を落とした結果となった。

 

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