日本マクドナルドの2015年度380億円の赤字予想と「ビジネスリカバリープラン」
日本マクドナルドホールディングスのサラ・カサノバCEOが記者会見。
髪型を変えて、決意のほどを示した。
第1は2015年12月期の通期連結業績予想。
これまで未発表だった。
結論は、「上場後最大の380億円の最終赤字」になるとの発表。
売上高は前期から10%減の2000億円、営業損失は182億円ダウンして250億円。
その結果、経常損失が310億円、そして当期損失380億円。
直営店舗とフランチャイズ店を合計した総売上高は3820億円。
これも前年同期比で14.4%の減少。
こんな2015年度を切り抜けるために、「ビジネスリカバリープラン」が策定された。
このプランは4つの柱からできている。
第1はまず、「より顧客にフォーカスしたアクション」。
✧ より幅広い選択肢からお好みのメニューを選べる新しいセットメニューのメカニズムの導入
✧ ハッピーセット用の新メニューの導入
✧ お客に合わせたクーポンの配信を可能とする公式モバイルアプリのリニューアル
✧ お客の真の声をリアルタイムにうかがえるモバイルアプリ「KODO」のリリース
第2が「店舗投資の加速」。
そのために全国の既存店の改装を今まで以上の早いペースで展開する。
今後4年間で約2000店舗を改装し。現在25%のモダンな店舗の割合を90%にする。
今年度はそのうち約500店舗の改装を計画。
一方で、今後の長期的な成長が見込めない131店舗を今年中に閉店。
第3は「地域に特化したビジネスモデル」。
マクドナルドはその活動を二つに分けている。
一つが「ビッグM」で、これは全社マーケティングや商品開発、オペレーションシステム開発などのマクドナルドシステム全体としての活動。
もう一つが「リトルM」で、こちらは地域やその店舗に根差した活動。
リカバリープランでは、「リトルM」を強化し、より地域や店舗に根差した経営を行う。
さらに これに関連して、地区本部制を導入する。
東日本、中日本、西日本の3つのエリアに分け、マーケティング、人事、財務といった機能を各地域に持たせる。
つまり中央集権型のチェーンストアから、地方分権型に転換し、権限委譲を進める。そのプロセスで、組織の階層を減らし、地域と顧客に根差した活動を展開する。
そして地域や店舗の状況・ニーズに合わせたマーケティング活動を、これまで以上に強化する。
第4は「コストと資源効率の改善」。
長期的なビジネスの成長に投資を集中するため、人材や資金などのリソースの最適な配分や抜本的なコスト構造の見直しを行う。
ここでは三つの政策がある。
一つは、「 リソースの最適化」だ。
新店建設に関しては極めて厳選。その代わりに既存店改装にリソースを優先的に振り向ける。一方で戦略的閉店により投資資金を確保する。
戦略的閉店には一時的に約40億円の費用がかかるが、年換算では約24億円の損益の改善が見込める。
さらに地区本部制の効果を最大化するために、本社の機能や業務の優先順位を見直し、人材の適材適所への再配置を行う。このために本社スタッフ対象に約100人の早期退職制度を実施する。
また、原材料費や物流コスト、店舗の人員の最適な配置、間接費の更なる削減等で約120億円のコスト削減をする。
もう一つはフランチャイズオーナーに対する財務施策だが、今年度もこれは継続されることが発表された。マクドナルドもフランチャイズビジネスの根幹を最重視している。
これらの政策を実施するために三つ目に220億円の借入実行と借入枠の増額を行った。
リカバリープランを提示し、その実行のためにコスト削減と借入増額をする。
本社社員の早期退職を促し、さらに業績に対する責任を明確にするため、役員報酬を6カ月間、減額する。その額は、代表取締役社長のカサノバは20%、昨年から留任している代表取締役は15%、取締役10%。
記者会見したカサノバCEOは意外にサバサバした顔つきだった。それが日本マクドナルドにとって、ありがたい救いの女神となるだろうことを予感させてくれた。
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